第84歩 続・観光名所
Fさん一行は寄り道したので思いがけず深夜零時頃、名所に到着した。
珍しくFさんは体調がすぐれず気持ちが乗らなかった。
観光名所だけあって薄暗いながらも所々に照明があったので、
みな思い思いに『観光』を始めた。
Fさんは名物の橋の入口に着いた。
ふと横を見ると本物のSLがある。
『SLがあるとは聞いていたが、こんな橋の前にあるのか』眺めていると
石炭を積む貨車があってその上に白い服を着た女の人が立っており貨車の上を行ったり来たりしている。
『こんな夜中に・・・遊びに来た人かな』
疑問に思いながら見ていると友人たちがやってきた。
「おーい、どうした」
「今、SL見てた」と言うと、友人たちは顔を見あわせ
「どこの?」と聞いてきた。
「いや、このSL・・・」振り返ると
橋の前にあったSLが忽然と消えている。
Fさんは、たった今、此処にあったと言いかけたが黙った。
友人たちが
「おい橋、渡ってみるべ」歩き出したのでFさんもついて行った。
橋を渡りながら前を見ると、いつの間にいたのか見知らぬカップルが前を歩いている。
『あれ?いつの間に・・・どっから来た?・・・』
そのカップルについて一緒に行った仲間たちはなにも言及しなかった。
『なんでみんなカップルの事、何も言わないのかな』
やがて橋を渡り終え右を見て左を見ると
先ほどの、おしゃべりしながら歩いていたカップルの姿はどこにも無かった。
Fさんは『ありゃ・・・幽霊だったのか?さっきのSLといい、もういいな見たくない・・・』
あまり周囲を見ないように各場所をめぐり廃駅と本物のSLを見て車に戻った。
その間、先ほどのカップルがいないか、車はないかと探してみたが
駐車場には自分たちの車しかなく結局、見つからなかった。
あいかわらず友人たちは楽しそうにしているので
水を差しても悪いと思いFさんはおとなしく名所を後にした。
例の家は、それらしき建物があったが、よくわからないし、
ありもしないSLやカップルを目撃して疲れが出てしまい車で眠ってしまったのだという。




