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箱館・怪談散歩  作者: オブチアスマ


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第65歩 がっつり鳴って

 廃棄物処理会社のSさんから聞いた話。


Sさんは毎週日曜日が休みだが、その他は仕事で聞けば

「盆も正月もないですよ」と忙しい日々をこなしている。


「世の中が祭日でもゴミだけは毎日、出ますからね」


朝も早く、毎日5時起きだという。


 ある日、現場は昭和時代の廃病院だった、解体されるのだという。

医療の特殊廃棄物は別日に終わっておりSさんは4人で現場に入った。


 指令は

「建物に、くっついていない物はすべて運び出し処分しろ」と出ていた。


建物は二階建てで細長く学校の校舎にも似た感じの病院だった。

建物に沿って特殊ダンプカーが横付けされ、まずは二階窓からダンプの

荷台に直接捨てられ進んでいく。


ベッドを工具でバラして運ぶ者、椅子や机を運ぶ者、各部屋のTV台から部屋番号札、スリッパ、カーテンと燃えるゴミ・燃えないゴミ・金属ゴミに分別されていく

時間との勝負もあるので現場は戦場のようになる。


早朝から取り掛かって午後からは一階にかかる。

何時迄になろうと終わらせる勢いだ。


お昼ご飯を食べて体を休め、午後から一階で作業を始めると

二階で誰かが走っている。


―ドンドンドンドン・・・・


「おい、二階に誰かいるのか」


メンバー4人共、一階に居る。


「解体班、明日からの下見に来たか?一人、二階に行って見てこい、

それと窓、全部閉めてきてくれ」


一人が二階に行き確認したが「誰もいない」と報告してきた。


―ドンドンドンパタパタパタ・・・


足音が二階から、また聞こえてくる。


「すいませーん、ちょっとお」今度は二階から誰かが呼んでいる。


「なにぃ?・・・」作業していた、みんなが顔を見合わせた。

「誰もいないはずだろ?」

「俺ちょっと見てくるわ」

今度はSさんが二階に確認に行った。


午後の日差しに家具のなくなった病室は静まり返り、

只、一階で作業する仲間たちの働く音が階下から響いているだけだった。


「誰もいないわ・・・」


「・・・・いいからやるべ」皆、作業を続けていると

今度は何処からか複数人らしい話し声がする。


気にせず無視して作業を続けていると受付にある赤い公衆電話が突然、

大きな音で鳴り出した。


―ジャーン、ジャーン、ジャーン・・・



「なんだ?」というと作業メンバーの一人が顔面蒼白になり


「Sさん、あの電話繋がってないっス俺さっき線切ったから・・・」


―ジャーン、ジャーン、ジャーン・・・


電話の周りに皆が集まりSさんが電話に出ようとして受話器に手をかけた瞬間


ピタリと音が止んだ。


すぐに電話を確認すると確かに線は切られていて何処にも繋がっては、

いなかった。


赤電話を収集車の荷台に思い切りぶん投げた。

――ガシャーン・・・


「ま、いいや、早く片付けるべ」


無口になったメンバーは作業に集中して

暗くなる前に余裕でゴミをダンプに運び終わり病院から出ようとした時

メンバーの一人が後ろから力強く肩を誰かに

「ギュッ」掴(つか)まれて

振り返ってみたが誰もいなかった。


からっぽになった病院を後にダンプを出し無事、作業終了。


「確かに電話がっつり鳴ってましたけど俺たちそんなの、いちいち深く考えないっすよ」と

Sさんはタバコに火をつけた。

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