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目が覚めるとそこは…異世界だった!Ⅱ エステルマギの埋蔵金  作者: 鷹茄子おうぎ
第4章 お守りの持ち主達

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追い詰め、追い詰められ

「急に飛び上がっちゃうから、びっくりしちゃいましたよ~」

屋根から降りると、アリューシャの家の前に陣取っていたフェリシアさんからも小言を言われてしまった。穏やかな笑顔が逆に怖い…。


「犯人を見つけられるかと思ったんだが…無理だった」

でも、俺だって何の考えもなしに飛び上がった訳ではない。そこはちゃんと言い訳しておこう。


「駄目ですよ~。勝手なことをしたら」

でも、普通に無視されてしまった。よくよく考えれば、不可視の錫杖だけ飛ばせばよかった話なんだよな…次からは気を付けよう。


「ユリーシャは?」

今どこにいるのか?さすがに気になってきた。


「家の中を調べています…私達は応援でここに駆け付けたことになってますから、そのつもりで行動して下さいね」

先程のことがあるので、フェリシアさんにはしっかりと念を押されてしまった。まあ、仕方がない。


「それから、家の中で亡くなっている女性はアリューシャちゃんのお母さんのシャーラレイさんのようです…」

事が事だけに、フェリシアさんも声を潜めている。


「そうか…」

改めて無力感と罪悪感に苛まれるが、俺達は今できることを最大限やるしかない。ティアリスを伴い、奥の寝室へと向かうと、そこではユリーシャとアマユキが部屋を調べていた。


今日のユリーシャはフードをしっかりと被っているので、アリューシャもユリーシャだとは気が付いていないようだ。逆に今までよく気付かれなかったよな…。そのアリューシャは泣き止んではいるが、怯えたような目つきで俺を見ている。可愛い女の子に怯えられるというのは精神的に堪えるね…。


「大丈夫だよ。彼も応援で来てくれた軍の魔法戦士だ」

そこはカレンがちゃんと説明してくれるが、さすがにこの部屋は居心地が悪い。ここはユリーシャとアマユキに任せて、俺達は別の部屋を調べることにしよう。アリューシャの許可を取り、俺達は隣の部屋へ移った。ここは納戸のようだ。


「ショウ、気付いたか?」

再び裏ティアリスさんの登場である。


「何がだ?」

悪いがなんにも気が付いていないぞ?ティアリスは呆れたように俺を見つめ、海よりも深いため息をついた。


「寝室には本棚があっただろう…上下逆さまになっている本があった。連続して刊行されている小説も、並びがおかしくなっている所があった」

氷のように冷たい眼差しを向けてくるティアリスにたじたじとしながらも、その観察眼には舌を巻いてしまう。寝室にいたのなんてほんの数秒だったはずだ。そのわずかな間でそこまで観察していたなんて…。


とすると…この部屋もパッと見は分からないけど、荒らされている可能性があるよな。よく見ると、タンスの引き出しがわずかに開いていた。


引き出しを開けてみると、そこには乱雑に物が突っ込まれていた。やはりここも荒らしていたのだ。さらにその下の引き出しを開けると、ここは衣類をしまっているようだが、服がぐちゃぐちゃに突っ込まれていた。


「これまでとは違うな…」

手分けして引き出しを確認し終え、自然とそんな感想が出てきた。


「何が違うのでしか?」

分かってるくせに。だが、ここは汚名返上だ。


「ソルタスを暗殺した時には、事前に金庫の番号まで調べ上げていたと考えるのが妥当だろう。そこまでやっていたから、ナターリアさんもお守りが盗まれていることに気が付かなかったんだ」

どうやって調べたのかは未だに分からないけどね。


「ファゼルの時もそうだ。ヤツらはファゼルがお守りを常に肌身離さず持ち歩いていたことを知っていた。それをツザナがスッたんだ」

あの手口は見事だった。魔剣の機能を使ってあの場面を何度も何度もスローで見返して、それでやっとそれっぽい動きが分かったくらいだ。さすがはスリの名人、伊達じゃないな…。


「それらと比べると、今回はお守りがどこにあるのか分からないまま襲撃したように見える。だから、寝室もこの納戸も荒らしたんだ。たぶん、他の部屋も荒らしているはずだ…」

或いはヤツらも追い詰められているのかもしれない。今のアインラスクは魔法戦士がウロチョロしている状況だからね…。


「お守りはどうなったと思うでしか?」

「どうだろうな。ヤツらが手に入れたのかもしれないし、手に入れられなかったのかもしれない。何とも言えないさ」

アリューシャが何か知っているかもしれないが…今それを聞くのは酷だろう。


「このタイミングでの襲撃についてはどうでしか?」

そこで俺は大きく息を吐いた。認めたくはないが、認めざるを得ないだろう…。


「いるのかもしれないな…内通者が」

つくづく面倒な事件だぜ。


「だが、ウルマリスにとってもこれは次善の策だったはずだ。それを確認したいところなんだけどな…」

最善の策は、騒ぎを起こすことなくお守りを手に入れることだ。


「そろそろ来るはずでしよ」

ティアリスが俺に呼び笛をビシッと見せながら無邪気に言った。応援で誰が来るのかは分からないが、それまでの間は他の部屋も確認しておくか。

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