表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖精計画〜鬼の子と桃の花〜  作者: 洗井 熊
第1章 Sランク
7/14

7.火龍

 火竜より圧倒的なブレスを消火魔法ゼロフレイムは無情に掻き消してゆく。ブレスを吐ききった火龍は無傷の俺達を見て唸っていた。

 どうやら『消火』は火龍の火をも無効化する。となると、俺の火を火龍が無効化出来るかだな。


 火龍は警戒してかジッと俺達を睨みつけたままなので、俺はその間に2人に隠れる様促した。火龍は俺から目を離さない。

 最早火龍にとって水晶果実も2人も眼中になしって感じだ。


 この場から2人の気配はどんどん離れていく。火竜もいそうにないから大丈夫だろう。


 さてと、本当に久々だ。


 冒険者になった数年前からずっと隠してた俺の、俺自身の本気の魔法。



『鬼火』



 火の精霊達みたく、俺自身の魔法にも名前をつけた。

 普段使ってる火の魔術なんかとは比べられない程強力な魔法だ。もしかしたら俺の魔術が強いのはこの魔法の影響もあるのかもしれない。

 龍すら簡単に焼き殺す、それが俺の魔法・鬼火だ。



「見せてやる。かつて、トウカが褒めてくれた俺の火を!」



 俺は火龍に向けて手を翳した。火龍は咆哮をあげた。

 戦闘開始だ。



青天火(セイテンカ)


 青い火が顕現し俺の腕に纏われる。俺はその火を火龍に向かって放った。

 火龍は敢えてだろうか、俺の火をその身で受けた。

 先程への対抗心だろうか?



「馬鹿な奴だ。青天火は燃やした相手の(つよさ)を奪う『強奪』の火。そして奪われた(つよさ)は俺へと還元する」


 龍の強さが俺へと流れる。反対に龍が弱体化していくのも分かる。

 言葉は分からないが恐らく察したのだろう、龍は激昂する。

 だがもう遅い。

 下手な対抗心で喰らったお前が悪い。



黄天火(オウテンカ)


 今度は黄色の火が顕現し、俺の腕へ纏われる。

 俺は再び火龍へ向けて腕を翳した。黄色の火は火龍へ向けて放たれ、火龍の胴体を一瞬で焼き貫いた。

 火龍は血を吐きその場へ倒れ込む。



「黄天火は『刹那』の火。一瞬で相手を焼き貫く。流石のお前でも防げなかったな」


 それでも火龍は爪や尾を振り暴れ回る。俺はその攻撃を躱しながら何度も黄天火を火龍へと放った。

 火龍は焼き貫かれながらも暴れ回るが、次第に弱っていき遂に地面へと横たわった。


 保険で青天火をしたが必要はなかったかもしれない。しかし、油断は禁物だ。


 横たわる火龍と目があった。

 火龍は生を諦めたのか、目を閉じると、段々と息が小さくなり、そのまま息絶えた。





「……ふぅ。火龍が現れた時は流石に焦ったけどなんとかなったな」


 龍の威圧は凄い。

 対峙するととんでもなく集中力がいる。一瞬でも気を抜いてたらやられてたのはこっちだった。

 現に油断してたせいで龍の接近に気付けなかったし。



「さてと、遺体(これ)どうすっかな? 持って帰ってギルドに引き渡す訳にもいかないしなぁ…」


 物凄く高値で引き取ってくれそうだけど、今以上に面倒事が待ってるだろう。となると取れる方法は一つしかない。



「収納にしまうしかないな」


 焼いて消滅させるには惜しい素材だ。それまでは隠し持っておく他ない。時が来たら高値で売ろう。





 しばらくして、俺は2人を呼び戻しに行った。


「なんと、火龍を撃退したのか⁉︎」

「いや、追い払っただけだよ」


「それでも信じられないです」

「いや、なんか知らんけど途中でどっか行ったんだ」


 俺は当たり前の様に嘘をついた。

 実際今までもランク以上のモンスターを倒した際は収納魔法にしまって、逃げられたで通してきた。

 素材はランクが上がる度に少しずつ提出してきた。

 今回は龍種だから、SかS Sランクになるまで世に出る事はない。



「さてと、それじゃあ他の冒険者や火竜に見つかる前に帰るんだな」


 俺は収納魔法から1つの箱を出して、それに水晶果実を入れるように2人に促した。

 2人は箱に水晶果実を入れ、何度もお礼を言いながらこの場から去っていった。



「暗くなってきたな」


 今日中に帰るのは無理そうだ。

 まぁ転移魔法を使えば一瞬だけど、そんな事は今更しない。

 あと一頭火竜を狩ったら野宿して、朝一帰るとしよう。





数時間後


 残りの火竜を狩り終えた俺は、適当な場所でキャンプした。火をつけ、軽く料理を作る。収納魔法から調理器具と食材を取り出す。


 今日は火龍のチーズ焼き。


 火龍の肉にチーズを乗せてじっくりと焼くだけ。


 一口かぶりつく。



「んん〜美味いな」


 たまに奮発してお店で食う龍の肉はただ焼いただけなのに美味い。この火龍の肉もめっちゃ美味い。おまけにチーズとよく合う。



「そうだ! あれも、と」


 俺は収納魔法からとある瓶を取り出した。知り合いの料理人さんから少し分けて貰ったソースだ。

 これが肉によく合う。



「美味すぎるだろ!」


 俺は一気に平らげた。やはり龍種の肉は絶品だ。お店だと少量で高値だ。こんなに大量なのをかぶりつけるのは1人の時しかない。



「ふ〜満腹満腹」


 俺は少しだけ横になった。次第にウトウトとしてきた。





【とある研究施設】


「お肉って美味しいのかな?」

「さあ、食べた事ない」


「私もだよ。君は両親は?」

「知らないな。トウカは?」


「私もだよ。気づいた時には物乞いしてたよ」

「俺は、その、盗んだりしてた。ある日捕まって、奴隷になって、そのままここさ」


「似たようなものだね」

「違うよ。トウカは物乞いだろ。俺は…クズだった」


「そんな事ないよ。盗みをした自分をクズだって言えるなら君はクズじゃないさ」

「やった事には変わりないだろ」


「大丈夫、これからしなければいいだけさ」

「ここから出られたらな」


「出られたらじゃなくて、出るんでしょ? ここから出たらちゃんと働いて皆んなで美味しいお肉を食べましょ」

「そうだな」


「あ、私は料理を覚えるね。ここみたいな味のしない料理じゃなくて、ちゃんと料理したやつを」

「そうだね」





 気づいたら朝だった。

 まだ日は昇ってないが明るくなり始めてた。火も消えてた。俺は出してた道具を全部収納魔法でしまった。



「さてと、帰りますか」


 ザックとミラさんはどうなったかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ