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妖精計画〜鬼の子と桃の花〜  作者: 洗井 熊
第1章 Sランク
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5.ドラッセン渓谷

【ドラッセン渓谷】


 ここは火竜が縄張りにしている住処だ。

 澄んだ川が流れており絶景ではあるが、人が足を踏み入れていい場所ではない。



「それでは先程話した通り、各々火竜を討伐したら、角や牙、爪など、討伐した火竜の一部を回収。討伐数が50頭に到達したら任務完了だ。速やかに撤退する。討伐隊本部はここに設置しているから、何かあればすぐに報告しろ、以上だ!」


 討伐隊の隊長である、他 Sランクの人が最後の号令をかけた。

 それを皮切りに、各々編成隊を組んで渓谷の奥地へと進んでいった。

 ニャコナさんを含む3名のSランク者と補給部隊、救護隊なんかはここで待機だ。



「行きますか」


 俺も奥地へと進んだ。





数時間後



「これで、9体目! ファイヤーボール!」


 真っ直ぐ放つ火の火球が火竜を燃やす。



「! まだいたか!」


 別の火竜が現れる。恐らく番いだろう。火竜は火のブレスを放つ。



「火魔法ゼロフレイム」


 新たに習得した『消火』の魔法。火竜の放つブレスは一瞬にして霧散した。

 火竜の必殺技だが、ついに俺に当たる事は無かった。



「ファイヤーソード!」


 俺の手に握られてる愛刀・火鬼丸から火が伸びると剣の形を形成し、そして上空にいる火竜目掛けて腕を降るった。

 火竜の首は一刀両断され、地面へと墜落した。



「これで10頭か。俺的にはノルマは達成したかな」


 俺は一度報告のため、討伐隊の本部へ戻ることにした。勿論討伐した火竜は収納魔法『火炉』の中へ丸ごと収納した。

 部位の剥ぎ取りは面倒なので、あとでギルドの人にやってもらおう。





「お疲れにゃ〜イフト」

「あ、お疲れ様です」


 本部にて休憩しているとニャコナさんが話しかけてきた。



「1人で火竜10頭か〜、流石イフトにゃ」

「そうですか?」


「出たにゃ。イフトの『何かやっちゃいました?』。それ聞くのも久しぶりにゃ」

「いや、まだ言ってませんよ」


「同じことだ」

「あ、ファルガさん」


 すると、クラン『銀狼の牙(シルバーファング)』、『衝撃』のファルガさんが声をかけてきた。

 ファルガさんもニャコナさんと同じSランクのベテランだ。


 ファルガさんは『狼人族』で、『猫人族』のニャコナさんと同じ獣人と呼ばれる人種だ。

 因みに夢魔族のミラさんは見た目は人に近いが、亜人と呼ばれる人種になる。



「にゃにゃ、ファルガ何しに来たにゃ!」

「お前ではない、鬼髪に声をかけただけだ」


 ふしゃーとニャコナさんはファルガさんを威嚇する。2人は犬猿の仲ならぬ、狼猫の仲?で依頼でも度々衝突する程だ。

 まぁ俺からしたら喧嘩する程…ってやつだ。



「全く…お前程の奴がAランクなのは、『王者の剣』の層が厚いからと思っていたが、やる気が無かっただけと知った時は怒りに震えたぞ」

「はは、すみません」


 返す言葉もない。



「おまけに竜種を探してるそうだな」

「まぁそうですね。 Sランク昇級試験はめんどくさいんで。さくっと竜殺しで Sランクになろうかと」


「全く、同じクランの奴なら叱ってるところだぞ」

「にゃにゃ、イフトはいつもアイリスにゃんに叱られてるにゃ」


「いつもじゃないですよ」


 多分…



「Sランク冒険者は10数名程しかいないんだ…さっさとなれ」

「10名しかいないのに火竜討伐に3名来たんすね?」


「数年前の『虹竜』で Sランクが沢山死んだから今は育成期間にゃ」

「俺が冒険者になる前ですね」


「どうだ? 鬼髪の火魔術で虹竜は倒せそうか?」

「いやいや、虹竜ってSS案件ですよね? 俺Aランクですよ。火龍ならまだしも虹竜なんて無理でしょ」


「火龍もSランク案件だにゃ。今のイフトには無理だにゃ」

「いやいや、こう見えて俺だって結構やりますよ。火龍なら頑張ればなんとか…」


「いや強さ的な意味じゃにゃくて、Aランクじゃ普通にSランクの依頼を受けれないにゃ」

「…そりゃそうですね」



 そんな他愛のない話をしていると、俺たちに近づいてくる影があった。



「イフト、申し訳ないがもう少しだけ火竜を狩ってきてくれ」


 もう1人の Sランク、今回の任務の総責任者、『激昂』のザムドさんが声をかけてきた。ザムドさんは王都最強のクラン『十六夜天魔(イザヨイテンマ)』のメンバーだ。



「ザムドさん、お疲れ様です。まだ討伐数達成しないんすか?」

「本来は数日がかりのつもりだったのだが、今回のメンバーは優秀でな。お前があと数頭狩ってくれたら今日中に済みそうなんだ。お前が大丈夫なら狩ってきてくれないか?」


 夕暮れまでまだ時間がある。それまでに済めば今日中には帰れそうだ。ザックの事も気になるし今日帰れるのなら帰りたい。



「分かりました。もし帰れなかったら明日の朝まで待って下さい」

「了解した。昼になっても戻らなければ何かあったと判断して捜索隊を出すぞ」


「なら渓谷の東の方で狩りをするので、何かあればそこを探して下さい」

「分かった、ノルマは6頭だ。それで済むはずだ」


 割と多かった。まぁ多分大丈夫だろう。



「気をつけて行ってくるにゃ〜」

「はい」


「戻ってきたら追加報酬で竜種の情報をくれてやる」

「ありがとうございます、ファルガさん。毒竜の情報ならいらないんで」

「…」


「すまんな」

「大丈夫っす、ザムドさん」


 そう言って俺は渓谷の奥地へと再度入って行った。

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