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妖精計画〜鬼の子と桃の花〜  作者: 洗井 熊
第1章 Sランク
3/13

3.夢

 数時間後

 俺は転移魔法で北の街付近へ転移し、北の街からゲートで王都ザムスガルへと帰還した。

 転移魔法が使える事は皆んなには内緒にしている。面倒事に巻き込まれたくないからだ。 

 面倒だが毎回人目があるところでは極力珍しい魔法は控えてる。



「ただいま戻りました」

「……相変わらず早いですね。まぁもう慣れましたが」


 受付のお姉さんは呆れていた。

 俺の依頼完了時間は毎回早いらしい。初めて冒険者になった頃はこれで毎回ギルドが大騒ぎだった。

 俺何か…今では懐かしい思い出だ。


 俺は依頼にあった氷結の花と氷猿ブリザル達の部位を提出し報酬を受け取った。


 報酬金は2つ合わせて、50万ドラ。普通に生活すれば数ヶ月くらいは余裕で暮らせる額だ。 

 まぁこれだけあれば装備も新調できるし、ザックにお小遣いをあげても、貯金が出来そうだ。



「あ、そういえば…」

「?」


「イフト様のクランのリーダー、アイリス様より言伝があります」

「…聞かないとダメですか?」


 嫌な予感しかしない。



「私が怒られるんで聞いてください」

「はい」


「コホン、『イフトへ、さっさとSランク昇級試験を受けろ。Sランク任務の処理が全く追いついてない。うちには戦力を遊ばせておく余裕はない。これだけ言ってまだ受ける気がないなら仕方ない。お前には1週間後に行われる合同任務・火竜討伐クエストを受けてもらう。昇級試験か火竜討伐、どちらか好きな方を選べ。拒否は認めん、以上! 追伸、ギルドには報告済みだ』だそうです」


 あの苛烈女…強硬策に出やがった。

 俺が Sランクになる気がないから、五竜討伐させて無理矢理 Sランクにする気だ。

 くそ!

 マジで面倒になってきた。


 しょうがない。

 本当にしょうがないが火竜討伐にしよう。

 それならあと1頭、竜種を倒さないといけないからSランクになるまで先延ばしは出来る。

 うん、丁度『消火』も試したかったしな。



「分かりました。火竜討伐任務に参加します」

「畏まりました。その様に受理しておきますね」


 手続きは…リーダーがしてるんだった。

 俺はサインだけしてさっさとギルドを後にした。





「ただいま〜」

「お、帰ったかイフト」


 泊まってる宿に戻るとザックが出迎えてくれた。



「なんだその格好は?」

「へへ、いいだろ! 今度のデートはこれで行くぜ!」


 それはなんとも言えない格好だった。決してダサいわけではない。寧ろカッコいい気もする。

 だって胸に髑髏だぜ?

 指にも髑髏の指輪だぜ?

 なんかカッコよくない?


 ただ…ザックの年では似合わない気がしてならない。

 俺みたいな15歳くらいが着そうな格好ではあるが、20歳そこそこのザックには些か幼稚な格好に思えた。



「少し幼く見えないか?」

「おう、若者っぽく見えるか?」


 遠回しな言い方では伝わらなかった。



「ガキっぽい格好だからやめた方がいいと思う」

「そ、そうか? 店員さんは若者の流行りですって言ってたが…」


「若者の流行りだろ? 無理して大人が合わせる事ないだろ、却下だ。ミラさんが恥かくぞ」

「わ、分かった…」


「ったく、いくらしたんだよ」


 俺はザックが着てる服に付いてる値札を見た。



「10万ドラ⁉︎ マジかよ⁉︎」


 こんなのが10万ドラとか…

 古着ならもっとカッコいいのが何着も買えるぞ。



「すぐに返品してこい。それからオススメの古着屋教えてやるから、そこで何着か色々買って…」

「それが…店主が…返品は出来ないって…」


 マジかよ⁉︎

 どんだけセンスないんだザックの奴。

 服を買うお店選びでこれだと、まだ俺の方がセンスありそうだぞ。



「なら5万ドラやるから、それで古着ありったけ買ってこい。一緒に当日の服決めるぞ」

「お、おう。サンキューな」


 俺はザックに5万ドラ渡すと、店の場所を教えてあげた。

 ザックは意気揚々と部屋を後にした。



「はぁ〜マジかよ。結局全部俺が出してんじゃん。てか、5万はちょっと多すぎたな。古着なら1万でも十分すぎるくらいだし」


 俺は自分にも呆れながらベッドに横になった。



「目標額までは…まだまだだな」


 俺には幾つか夢がある。

 その1つが貯金で、正確には王都に家を買う事なのだ。その為の資金繰りだ。


 それは俺の初恋…とある女の子との約束でもあった。





【とある研究施設の一室】


「ねぇねぇ、そういえば君には夢ってあるのかい?」

「なんだよいきなり…」


「私には夢があるんだ」

「へぇ、どんな夢?」


「ふふ、いつか王都と呼ばれる大きな都にデッカい家を建てるのさ」

「おうと?」


「王様が住む大きな街さ」

「へぇ王様か〜」


「そこには広い庭があって、犬や猫がいて、家の中には暖炉があって、大きなお風呂があって、綺麗なトイレもあって、服やドレスや靴なんかも沢山あって、台所には食べきれない食材が山積みなのさ」

「へぇいいな」


「でしょ?」

「うん、俺も住んでみたいな」


「なら研究が終わってここから出られたら一緒に暮らそうよ」

「いいの?」


「勿論! …ゅう君や、…るちゃんも一緒さ」

「それは楽しそうだ」


「でしょ! あ、それなら庭にプールや遊べる場所も欲しいよね」

「はは、そうだね」


「約束よ」

「ああ、約束だ」


俺たちは指切りした。



「君にはないのかい、夢は?」

「俺の、夢か…俺は…」





 いつ間にか眠っていた様だ。



「トウカ…」


 懐かしい夢を見た。

 トウカの夢がいつの間にか俺の夢にもなっていた。

 俺自身の夢…今では思い出せない。



 土地はもう買ってある。何年か前に依頼の関係で安く買える事が出来た。

 広いお屋敷が三棟は立つくらいの広い土地だ。だが土地だけで、屋敷を建てる程のお金は残ってない。

 別に焦ってる訳ではないが、確かにこのままではいつになるか分からない。



「Sランク、か…」


 面倒な事はしたくないし、命を落とすリスクも当然上がる。

 だが、報酬はそれに見合うだけのものが約束されている。

 夢の実現の近道ではある。


 俺はギュッと拳を握りしめた。



「やるか」


 俺は決めた。本当に今更だけど、Sランクになると。





数秒後


「ただいま〜と」


 ザックは山盛りの服を買って帰還した。差し当たって、ザックの服選びからだな。

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