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047_自由過ぎない?

体調がおかしいので休み休みの執筆になりました。

ゆっくりのんびり一週間。相変わらずの遅筆です。


・・・それにしても、長い科白って難しいですね。

ふと考えてしまったりする。 俺は今、何をしているのだろうか? と。


・・・・・・・・・


確かに言った。 生徒会の仕事は基本的に伊藤たちに丸投げするけれど、

俺にしか出来ない仕事は俺がやると。 必要なら遠慮なく使ってくれと。



言ったんだけど・・・でもこれは違くない?



確かに伊藤たちには出来ない、俺にしか出来ない仕事かも知んないけどさ。


・・・・・・・・・


・・・CMタレントって、生徒会長の仕事じゃないと思う。 間違いなく。


・・・・・・・・・


いや、サインはした。 というか、しちゃったんだけど。 秘書の沢瀬が。


・・・・・・・・・


・・・というわけで、説明プリーズ。 マイ・パーソナル・アシスタント。


「 事業の資金と人気集め、そして私の趣味ですよ 」 最後の処、正直で結構。




   ◇ ◇ ◇




発端は書記の友利さんが『 18日の企画に必要なサインをお願いします 』と、書類

を出して来たことだった。 丁度伊藤も仁宮さんも18日に予定していたゴミ拾いの

現地視察で不在だったので、俺がサインをすることになった。 委任状だけだが。


その委任状により沢瀬に権限が委譲され、結果俺のタレント契約が成立したのだ。


・・・・・・・・・


・・・書類をよく読まなかったのは俺のミスだ。


18日の企画というだけで生徒会主催のゴミ拾いの件だと、勝手に判断したのは完全

に俺のミスだ。 まさか伊藤たちがゴミ拾いをしている最中に、CMオーディション

に参加することになるなんて思いもしなかったのだ。 沢瀬たちに謀られたのだ。


『 長居公園に行く前に、ちょっとだけ寄る処が有ります 』


それで梅田のホテルを訪れた。 そして初めて知ったのだ。 此処に来た目的を。


・・・・・・・・・


・・・時計を確認する。 ゴミ拾いが始まる時間だ。 10時から14時迄の6時間。

6時間ものゴミ拾いに参加してくれるボランティアが、100人揃ったと聞いたけど。


・・・気になるので電話を掛けてみる。


「 どんな感じ? ホントに100人も集まってるの? 」

『 うん、こっちは大丈夫だよ。 そっちは大変かもしれないけど頑張ってね 』


伊藤に応援された。 伊藤も知ってたの? いや、友利さんに説明されたのかな?


・・・生徒会正書記の友利さん。 いつもぽけーっとしていて仁宮さんのお世話に

なっている掴みどころのない人。 実はイベント企画会社とコネが有って色々重宝

する人だった。 今回のゴミ拾い企画でも、そのコネが何かと役に立ってくれた。


・・・でもそういうのって、基本的にギブアンドテイクなんだよね。 当然乍ら。


・・・・・・・・・


「 あっ、美倉さんに沢瀬さん、よく来てくれました。 どうぞ、こちらです 」


ホールで俺たちを迎えてくれたポニーテールのお姉さん、名前は友利雪姫(ゆき)。 そう、

友利さんの実姉(じっし)だ。 どこかで見たことあるなーっと思っていたら、流石姉妹だ。

双子とまではいわないけど、かなり顔が似ている。 身長とか胸は似てないけど。


妹の方は俺より背の低い巨乳さんだけど、姉の方は沢瀬より背が高い貧乳さんだ。


・・・まぁ、大きさでは沢瀬には、小ささでも五十嵐には敵わないけどな。


あと、妹はいつもダウナーなぼんやりさんだが、姉は元気溌剌お姉さんって感じ。

そのお元気お姉さんの案内で、俺たちはエレベーターに乗り込んだ。 行き先は

12Fの大ホールだとか。 このホテルで一番広い部屋でのオーディションらしい。


・・・・・・・・・


それって、凄い事なのか? 何か、お姉さんがえらく興奮して語っているのだが?

オーディション初参戦の俺には、普通はどんな処で行われるのかなんて判らんし。


「 そういえば、ちゃんと挨拶をしてませんでしたね。 妹の春姫(はるひ)から聞いている

  と思うけど、姉の友利雪姫です。 一応フリーのカメラマンなんだけど、今は

  AJC芸能プロダクションと期間契約中、今日のオーディションで美倉さんはAJC

  所属タレントということになっています。 私同様に期間契約になりますね 」


「 初めまして、俺は美倉蒼といいます。 ごく普通の高校生に過ぎませんし、

  オーディションと云われても何をすればいいのか、全く判ってもいません。

  そういうことですので、今日一日の間だけでしょうが宜しくお願いします 」


そう、多分は今日一日の関係だ。 改めて契約書に目を通したが、今回のCM企画

に限定した契約だったので、今日のオーディションで選ばれなければそれで終り。

それで契約終了、晴れて自由の身になれる。 つまりは此処で下手を打てばいい。


・・・・・・・・・


というか下手を打つ必要なんか無い。 素人の俺がいきなりオーディションを通る

ことなんか、多分は有り得ないのだ。 プロの仕事はそんなに甘いモノじゃない!


・・・筈だ。 きっと。 多分。 おそらくは?


『 初めまして? えっ⁉ 覚えてない⁉ 』 とか言ってる元気お姉さんだって、

そんなことは判り切ってる筈だ。 何で素人の俺が参加することになったのかは

全く以って不明だが、多分は大人の事情とか、そういうことなんだろうと思う。


エレベーターが12Fに着いたらそのまま大ホールへ直行。 ではなく、隣の準備室

に案内された。 この部屋も結構広くて、室内にはぱっと見で50人くらいが居た。


・・・・・・・・・


オーディションを受けるだろう女の子・・・男子も居るかも知んないけど、服装は

女子、そんな子たちが全体の1/3くらいで後は多分関係者の人たち。 関係者率、

高くね? オーディションってこんなものなの? 知らんけど。 そんでもって、

俺たちが室内に入ったら、静かだった部屋が急に騒々しくなった。 遅刻だった?


「 嘘⁉ リズの女神じゃない!」 「 何で? 彼女は芸能界を避けてるって話じゃ 」

「 ちょっと! あんなのが居るならオーディションなんかにならないじゃない!」

「 無理無理、益々緊張して来た!」 「 木橋さん、私が此処にいる必要あるの?」

「 あー、もう絶対駄目だわ 」 「 折角梅田に来たんだし、蓮にでも行こうかな 」


・・・遅刻じゃなかった。 俺が注目されてたみたいだ。 素人だが一応は経験者

だからかも? よく見たら知んない顔ばかり、ひょっとしたら全員素人なのかな?


「 これは・・・随分と有名な方ばかりが揃っていますね?」

「 そりゃあそうよ! 十年に一度レベルのビッグプロジェクトなんだから!」


・・・素人じゃなかった。 しかし、沢瀬が芸能人に興味があったなんて意外だ。

俺と同じで芸能界には全く興味が無い筈なのに? 女の子には興味があるのかな?


・・・・・・・・・


沢瀬の言葉を聞き、会場を再度見回してみる。 №2さんを捜してみるが居ない。

彼女はトップアイドルじゃなかったのか? それともアイドルとCMタレントは、

別ジャンルになるのだろうか? でも長崎では共演したのに? 意味不明だぞ⁉


・・・そんなことを考え乍ら、室内に危険物が置かれていないか確認していたら


「 ユキちゃん・・・凄いよ! 本当に連れて来てくれたんだ! ありがとう!

  これで今日は決まったも同然だ! ボーナスは約束通り期待していいから!」


どたどたと、髭面のおっさんと痩せた青年がやってきた。 おっさんの方だけど、

太ってもいないのに、動作がもたもたとぎこちない。 脚が悪いのかも知んない。


その髭おっさん、元気お姉さんと話した後に、俺に向かって右手を伸ばしてくる。


「 久しぶりに会えたね。 君がユキちゃんの妹と同じ学校だとは知らなかった。

  けんもほろろに断られた時は、もう駄目かと思ったけどね・・・これは縁が

  有ったということなのかな? と、いうことで、改めて挨拶をさせて貰おう。

  俺がAJC芸能プロダクション社長の海野(うんの)だ。 これから一緒に仕事をすること

  になるが宜しく頼む。 そしてこいつがアシスタントの岩見。 見た目よりは

  丈夫で力持ちな健康優良児だから、安心して扱き使ってくれればいいからね 」


岩見誠治(いわみせいじ)だよ。 宜しく、そしてお手柔らかにね 」 「 ・・・久しぶり?」


俺は二人と握手し乍ら、自己紹介と沢瀬への確認を行う。 首肯しているから何処

かで会っているのだろうが正直記憶に無い。 まぁ今日一日だけの付き合いだろう

から、確認する必要もないだろう。 スルーしても問題無い。・・・それにしても


「 CMオーディションって、僅か三日で、ここまで準備が整うモノなんですね?」


単純に早さに感心した。 俺が書類にサインしたのは四日前だから、それが届いた

のは早くても三日前になる。 たった三日で俺たちのネームプレートや待機所まで

用意出来ているのだから・・・その対応の速さたるや感嘆に値するものだと思う。


「 いや、オーディションの応募締め切りは一ヶ月以上前、11月末だったけど?

  12月一杯を掛けた書類審査を通った者だけが、此処に集められたのだけど?」


髭おっさんが何を言ってるのだ? という顔で俺を見る。 ふむ・・・どゆこと?

髭おっさん、ひょろP、俺、三人の視線が元気お姉さんに集中する。 どゆことよ?


「 春姫、妹が絶対にサインさせるって言うから、応募を先に済ませましたあ!

  勝手なことを致しましたあ! でも反省はしますが後悔は有りません!! 」


「 「 ナイス判断! グッジョブだ!! ユキちゃん!!! 」 」


元気お姉さんの開き直り発言を、揃って全肯定する髭おっさんとひょろP二人組。


・・・これが芸能界というモノなのか?


そして沢瀬、この事態に表情一つ変えようとしない。 全て知っていたという事だ。

沢瀬が敵陣営に(くみ)している以上、俺に抗う術はない。 これはもう仕方がないのだ。




   ◇ ◇ ◇




俺たちが準備室に居たのは15分間。 オーディション参加者で最も遅かった俺が

開始時間15分前なのだから、他の参加者はどれくらい早くから来ていたのだろう。


・・・普通は30分以上前らしい。 これくらいの規模の場合は。 by 髭おっさん。


別に気にはならんが。 だって俺、CMとかオーディションとか、興味無いもん。


・・・・・・・・・


なんて、言っていられなくなりそうな気がしたんだよ。 こいつの顔を見た時に。

オーディション会場の特設ステージで、マイク片手に語り始めたお洒落眼鏡野郎。


十二支会最年少、城山翔太郎(きやましょうたろう)27歳、城山(きざん)グループの若き総帥。 通称キタロー。

俺と姉ちゃん二人に同時求婚中のふざけた両刀派エロ猿。 蔑称はスキタロー。


・・・・・・・・・


こいつの顔を見た時に、こいつの話を聞いた時に、色々諦めるしかないと思った。




   ◇ ◇ ◇




「 御出で頂いた皆様には心よりの感謝を、そして謝罪を、本企画の発案者であり、

  共同スポンサーのひとりである私、城山グループ会長城山翔太郎本人の口から

  申し上げることに相成りました。 単刀直入に申し上げます。 本日この場で

  行われる予定でありました、カグヤプロジェクトのメインキャスト、カグヤの

  選定オーディションは中止と決定しましたことを、今、ここに発表致します 」



 『 『 『 『 『 『 『 ・・・・・・・・・・・・  』 』 』 』 』 』 』



  『 『 『 『 『 『 『 えええええええぇぇぇっっ⁉ 』 』 』 』 』 』 』



・・・・・・そうきたか。 いや・・・やっぱ、そうなるか。


・・・・・・・・・ホント・・・もう諦めるしかない。


「 ちょっとお待ち下さい! いきなり中止と云われましても、理由も説明も

  頂けない様では、私たち、この場に居る全員が納得致しかねるのですが⁉ 」


・・・この意見は当たり前にも思えるが、当たり前過ぎるからこそ失言になる。


「 尤もなご意見ですね。 ですからその件を説明させて頂きたく思いますが、

  合わせてお聞きになりたいことがありましたら、説明に入る前のご質問を

  お願い致します。 説明をループさせることは時間の無駄になりますので 」


当然に説明されるであろう事だから。 馬鹿な質問は自身の品位を落とすだけだ。


・・・・・・・・・


何だろう? 長崎で見た馬鹿の様に、芸能関係者は社会経験値が低いのだろうか?

近くにいる髭とかひょろとか元気とかも、社会人としてどうかと思う処が有るが?


・・・・・・・・・


・・・不用意な発言が続くことは無かった。 誰も同じ轍は踏まないということだ。



「 他に質問は無いようですので、説明に移らせて貰います。 オーディションを

  中止する理由は単純にその必要が無くなったから、オーディションを行う迄も

  無く、メインキャストに最適な人物が居ると、本企画の発起人で総統括である

  私と、私と共に共同スポンサーであるKAIENグループ会長の坂本女史の意見が

  一致したからです。 最終決定権を持つ二人共が、同じ人物を推した段階で、

  オーディションを行う意味が消失したのです。 オーディションを行っても、

  この場の全員に時間を浪費させるだけ、という結果になってしまうからです 」



KAIENグループ会長・・・恵海姉さん迄絡んでいたのか。 最悪だよ。 ホント。


・・・まさか、こんなことになるとはなぁ。


坂本恵海・・・通称恵海姉さん(但し美倉家限定)。 俺と姉ちゃんの姉弟二人を、

『 私と秋帆お姉様の子供 ♡ 』と公言するかなり危ない百合おばさん。 おばさん

呼びすると激怒されるから本人には云わないが。 十二支会でも俺たち姉弟を溺愛

するツートップが恵海姉さんとキタローの二人になる。 もうどうにもならん。


・・・この二人が、懐に飛び込んだ俺を手放すこと等考えられんな。 諦めよう。


「 それでは次に、何故オーディションも無しに、そんな人物を選ぶことが出来た

  のかという疑問に応えたいと思います。 これは私が本企画を立案した時の話

  になりますが、オーディション対象であるカグヤは、ある人物をイメージして、

  その人物が演じることを想定して産み出されたキャラクターなのです。 ただ

  その人物には『 興味が無い 』の一言で切捨てられてしまったのですが・・・」


そうなんだよなぁ、確かかぐや姫がどうとか言ってた様に思うけど?

あんまり興味を感じない話だったからな。 その場で断ったんだよ。


「 それなのに、どうしたことか、断った筈の本人が応募していたのです。 自分

  の目を疑いましたね。 その応募が現実であることを確認した後に行ったのは、

  背後関係の調査です。 調査開始後直ぐに、本人の承諾なしに提出されたもの

  だと判明しました。 書類を提出して来た事務所が、彼女をスカウトしたその

  場で断られたことと、それでも彼女を諦めきれずに応募していたものだという

  ことが確認出来ました。 私はその応募書類を有効と認め、そして待ちました。

  万に一つ、いや、億に一つ、或いはそれ以下の可能性であっても、彼女が此処

  に来てくれることを・・・(くだん)の事務所が彼女を口説き落としてくれることを!」


・・・あぁ、ホント、何でこんなことになったんだろうねぇ?

いや、俺の注意不足が原因だって解かってはいるんだけどさ。


「 ・・・彼女がこの会場に現れた時点でカグヤ役は決定したのです。 彼女の名

  は美倉蒼。 学校の後輩がトラブルで困っていた為、一度きりの約束でCM出演、

  そのCMが現在業界で話題を独占している、業界嫌いの《 リズの女神 》です 」


女王とか・・・女神とか・・・そんな二つ名は欲しくないなぁ。


「 皆さんは『 彼女なら仕方ない 』という思いと同時に、疑問もお感じでしょう?

 『 何故彼女がカグヤ役を受ける気になったのか?』 と。 ついでに種明かしも

  しておこうと思います。 彼女と契約に至った事務所関係者の妹さんが、彼女

  と同じ学校に通う、同じ生徒会のメンバーだったのです。 つまり彼女は10億

  のオファーは学業優先と言って袖にしても、友人の頼みだったら断れない様な、

  そんな真面目で成績優秀な・・・そして友達想いの、とてもいい子なんです 」


・・・これは全くの嘘。 完全に印象操作。 キタローの腹黒さ。


・・・・・・・・・


確実に俺が来ると見込んだ上で、敢えていきなりの中止を演出した可能性もある。


・・・・・・・・・


そうなると、此処に集められた人たちは皆ただの道化・・・気分の悪いやり方だ。


・・・・・・・・・


ステージのキタローを睨みつけてやる。 お前、やり過ぎ!という想いを込めて。


・・・一瞬だけ、ほんの一瞬だけ情けない表情を見せた。 ふん! 小心者め!


「 ・・・ということでカグヤ役が決定した訳ですが、こちら側の都合で一方的に

  オーディションを中止とすることには違いありません。 ですから補償として

  此処にお集まり頂いた方々には、本日含む三日分のギャラと交通費,宿泊費を

  お支払いするものと致します。 もしそれでもご不満だと、オーディションを

  行うべきだとお考えの方が()られましたら、今、この場で挙手をお願いします。

  その場合は中止を撤回して、最終決定権を持つ者が揃って合格者を決めている

  という、無駄としか思えない従来通りのオーディションを行わせて頂きます 」


「 尚、そうなった場合には、先程お約束したギャラや交通費をお支払いする理由

  も失われるという事になってしまいますが。 さぁ、ご判断をお願いします 」




ここ迄云われて手を挙げるような馬鹿は・・・流石に居なかった。




   ◇ ◇ ◇




『 蒼ちゃんの事を想ってやったことなんだよぉ! だから怒らないでよぉぉ!』

等と縋り付くキタローを振り払い、俺たちは長居公園に向かっている。 時刻は

既に1時を回っている。 終了には間に合うだろうが、解散前に着くだけだろう。


「 十二支会がスポンサーだから、不正行為は無いだろうと安心していましたが、

  まさか蒼君とスポンサーの方が、そんな関係だったとは知りませんでした 」


沢瀬もそこ迄は知らなくて当然なので、オーディションの中止には驚いていた。


「 普通のオーディションで俺が選ばれると思ってたの?」 「 当然です!」


・・・この自信が意味不明で理解不能だ。 俺、とことん素人なんだぜ。

《 リズ 》のCMが受けてるのだって、№2さんのおかげなんじゃないの?


・・・・・・・・・


まぁ、こうなってしまったら・・・もう、どうでもいいことだけどね。


・・・・・・・・・


それにしても・・・友利姉妹といい、沢瀬といい、キタローといい、揃って俺の

『 芸能界なんか興味ない! 』 という意見を無視した上で、好き勝手してくれる。



ホント・・・皆して、自由過ぎない?




   ◇ ◇ ◇




長居公園に着いたのは解散の10分前だった。  友利さんを除く皆、申し訳ない。


『 いえ、来て頂けただけで十分です。 それと、合格おめでとうございます!』

こんな感じで歓迎されたのが少し心苦しい。 言い出しっぺなのに全然ゴミ拾い

に参加していないのだ。 だから最後の参加賞配布だけでも加わることにする。


・・・何故か俺の前だけ大行列。 伊藤の『 仕方ないよ 』が解からない。


「 女神本人の手から受け取りたいのですよ 」 「 それが解からないんだよ 」


沢瀬の言葉も解からない。 誰から貰っても同じ化粧品なのだから、態々(わざわざ)行列に

並ぶ意味なんか無いと思うのだが? 等といっても仕方ないので配布に専念する。


ゴミ拾いの参加賞はきくりんから送られてきた大量の化粧品。 限定5000セット

というコンプリートセット。 欲しいとも思わないのに100セットも貰ったのだ。


バラで買い揃えるのと同額で、専用の化粧箱が付いているからお得らしいのだ。


それが予約で完売したらしい。 しかも予約受付初日の受付開始6時間後に。

そんなことがあってか、フリマ市場では凄いプレミアが付いているのだとか?


・・・お得が売りの商品なのに、プレミア価格っておかしくね?


おまけにバラの商品さえもが大人気で店頭では欠品続き、入手困難なんだとか?


そんな状況だから、自宅の隅に放置されていた100セットを放出することにした。


放置されていたというか・・・正直に言って、貰ったことを忘れていただけだが。


・・・・・・・・・


・・・とにかく、そんな理由で放出を決めた。


そして同じ放出するなら、ただ配るよりも何かのイベントにしようと思ったのだ。

その結果が、大きな公園でのゴミ拾いボランティア活動ということになったのだ。


俺だけ参加賞配りイベントになってしまったが。


だから俺だけが配っているというおかしな状況にも、文句なんかは言えないのだ。


『 握手をお願いしてもいいですか?』 別にいいけど? はい、握手ね。

『 サインをお願いしてもいいですか?』 いや、サインなんか無いから。

「 すみません、今度考えておきます 」 沢瀬も余計な事言うんじゃない!


「 俺は芸能人じゃないんだから 」 「 今日から芸能人ですよ?」


・・・そういやそうだった。 いつの間にか、そんなことになっていたんだよな。


・・・・・・・・・


17時30分に解散になった。 何で1時間30分も掛ったのか? 全く理解出来ない。

参加賞を配り終わっても行列が続いていたのだ。 全員がゴミ拾いの参加者だった。


『 握手をお願いしてもいいですか?』 別にいいけど? はい、握手ね。

『 ハグをお願いしてもいいですか?』 別にいいけど? えっ! 駄目なの?


どうやらハグは駄目らしい。 沢瀬とにやこたに止められた。


そんなこんなで1時間30分も掛ってしまったのだ。 ホント、理解が出来ない。



解散後は近くのファミレスで、生徒会一同による打ち上げ会になった。



・・・今日は朝から、本当に疲れる一日だった。



・・・でも最後だけは気分のいい疲れ方だった。




   ◇ ◇ ◇










・・・私は残酷な女だ。


・・・愛する蒼君が最も嫌う仕事を押付けた。


・・・・・・・・・


私の愛する蒼君は、子供の頃から好き嫌いが激しくて、嫌いなものがとても多い。


そんな子供の様な蒼君が最も嫌いなもの、それは約束することと期待されること。


約束することを嫌うのは、約束を破ることが嫌だから。


期待されることを嫌うのは、期待を裏切ることが嫌だから。


・・・・・・・・・


体の弱い蒼君は、本当にいつ倒れるか、いつ寝込んでしまうのかが判らないから。


約束を破る。 期待を裏切る。 その二つを何よりも辛い事だと感じているから。


自分の意思に反して約束を破る(たび)に、期待を裏切る度に、酷く悲しんでいたから。


だから蒼君は約束をしない。 注目されることを嫌う。 人から(のが)れようとする。



・・・私はそんな蒼君を人前に引き摺り出し、周りから注目させようとしている。



体が弱くて、直ぐに疲れて眠る蒼君に、生きる為に必要のないことを強いている。



・・・茜さんとは全く異なる動機で。



茜さんも誰より大切な蒼君に、生きる為に必要のないことに色々挑戦させている。



・・・辛い現実を忘れさせる為に。



辛い現実を忘れてしまう程に、夢中になれる何かを、蒼君に見つけ出させる為に。



・・・・・・・・・



・・・私は本当に残酷な女だ。



私は蒼君が安心しない様に、安心出来ない様な、本当に嫌がることを強いている。



人に注目されてしまう事を、期待されてしまう事をする様に約束させてしまった。



安心してうっかり油断をしない様に。 油断してうっかり逝ってしまわない様に。



・・・蒼君は本当に迂闊な処があるから。



・・・・・・・・・



・・・私は本当に我儘で残酷な女だ。



蒼君がどうしようもない程に意地っ張りで、どうしようもない程にお人好しで、

どうしようもない程に努力家であることを知り乍ら、辛い努力を押付けている。



安心して眠らせたりなんかはしない。 楽に逝かせたりなんかはしない。 絶対に!


愚かな程に義理堅い蒼君が、忌避して止まない約束という名の鎖で呪縛してやる!


蒼君がどれ程に苦しみ藻掻(もが)こうが、愛して、期待して、この世に縛り付けてやる!



・・・・・・・・・



・・・私は本当に愚かで我儘で残酷な女だ。



自分の我儘で望み得ないことを望んで、一番大切な人を苦しめようとしている。



・・・私自身よりもずっと大切な人を苦しめようとしている。



愛する人が苦しむ姿を見続けることが、どれ程に辛いことなのかを知り乍らも。



・・・・・・・・・



・・・私は本当に愚かで我儘で残酷な・・・そして哀れな女だ。

№2さんを  :少し顔を見なくなったらまた渾名。 蒼はかなり薄情な処が有る。


意味不明だぞ⁉:単にオーディションで求められるキャラと、№2さんのイメージ

        がそぐわないだけです。 求められていたのは清楚系黒髪美人。


ひょろP   :多分ひょっろっとしたピープルでひょろP。 蒼は相変わらずだ。


ツートップが :勿論、実の両親二人を除いてのツートップになります。


う~ん・・・沢瀬には独白させるべきでは無かったかも? ちょっと怖い。


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