021_招かれざる客
ストック分20話を予約投稿するだけでも、結構大変な作業になりました。
全話誤字脱字の最終確認をしながらの投稿になったので、本当に疲れた。
おかげで少し体調を崩してしまいました・・・我ながら情けないと思う。
体調を崩すと決まって筆の進みが鈍るけど、今回は特に酷かったですね。
頭痛を覚えながら執筆したら、寝込みそうになったので2日間完全休養。
エピソード22執筆前にショートエッセイを書いたりして過ごしてました。
夏休み気分は抜けたが依然残暑が厳しい9月半ばの教室では、試験はまだ先だと
いう安心感と体育祭が近いという高揚感が感じられた。 それはクラス一番の元気
娘も例外ではない。 俺の姿を確認するなり挨拶と共に寄って来ては話を始める。
「・・・最近女子率高いわねぇ?」 「 ? 」 「制服の話よ」 「ああ・・・」
朝一番から五十嵐に問われた制服の変化、以前は男子A服を姉ちゃんや沢瀬から
教育的指導を受けるまで着続けていたが、田辺との同居以降は毎日制服を変えて
いる・・・田辺が俺の着るものを、前日の夜に用意してくれるようになったのだ。
それこそ下着や靴に至るまで。着せ替え遊びの一環だろうが何気に助かっている。
「あんた、下着まで田辺に用意して貰ってるの?」「本人が喜んでしてるんだよ」
何が面白いのか解かんないけど、本人が楽しんで俺は楽出来るからWINWINよ。
「田辺が満遍なく選んでいるから、男子用と女子用が半々になってるってこと?
今更聞くのもなんだけど・・・美倉って女装することに抵抗感とか無いの? 」
「最初はあったけど、今は何とも思わないな。 じゃなきゃビキニなんか無理よ」
「OK! 言質は取ったわ!」 「 ? 」 「体育祭では一緒にチアガール宜しく!」
「 えっ? 」
なんか・・・風邪で休んでいたらそういうことになっていたらしい。
・・・まぁ別にいいけどね。 裸踊りよりはずっとマシだろうから?
◇ ◇ ◇
「・・・ということで、チアガールをやることになった」「それは楽しみですね」
病み上がりなのでチア練は自粛、映研部室でのんびりまったりなひと時を過ごし
ているのだが・・・にやこたの2人が居ない。 ひょっとして辞めたのだろうか?
「あの2人は田辺ちゃんと一緒にバック担当になったそうですよ。 だからそちら
の方に参加しているのでしょう。 体育祭迄あと2週間になってしまったので」
先週の木曜日から昨日の月曜日まで、5日寝込んでいただけで目まぐるしく状況が
変化するのが2学期の特徴だ。 イベントが多過ぎてすぐに取り残されてしまう。
しかしあの2人がバックか・・・田辺は解かるが2人も絵が好きなのだろうか?
ちなみにバックとは応援用背景画のことで、単純な作業量では実行委員や応援団
を大きく超え、体育祭三役の中では一番の外れと見做されている。 去年は五十嵐
の推薦で俺が選ばれ、昂輝も付き合ってくれたが連日大忙しだった。 そのせいで
体育祭当日には寝込んでしまったが、競技の方は戦力外だったので問題無かった。
「ところで、蒼君は何の競技に選ばれたのですか?」
「二人三脚と借り物競争・・・まぁ妥当なとこだな」
どちらも配点が小さなお遊び競技、いつ休むかもしれない俺がメイン競技に選出
されることはない。 確かに気楽だが少し寂しくもある。 チアで頑張るしかない。
・・・そのチアも昨日に続いて今日も、そして明日も練習を休んでしまうのだが。
・・・・・・・・・
モニターでは世界で最も人気が高いだろう日本の映画スターが高雄を駆逐した。
何もしたくないし、何も考えたくない、そんな時にはこういった映画が一番だ。
音声を消し、ぼんやりと眺めているだけでもそこそこに楽しめるところがいい。
・・・・・・・・・
気が付けば震電が飛んでいた・・・どうやら少し寝ていたらしい。 病み上がりは
いつもこんな感じになる。 以前なら授業終了後はすぐに帰宅していたが、昂輝や
沢瀬と一緒に登下校するようになってからは、映研部室で昂輝を待つ様になった。
「・・・うたた寝迄撮るんだ?」 「ふふ、とても可愛い寝顔でしたよ」
これはさぞ退屈しているだろうと沢瀬を見やれば、いつものカメラを構えていた。
そうして日常撮りの時には最早恒例と言える、大して意味の無い質問が始まった。
「体育祭に臨んでの抱負なんかは有りますか?」「頑張り過ぎない・・・かな?」
「・・・去年は頑張り過ぎちゃいましたからね」「うん、確かに少し燥ぎ過ぎた」
そう、燥ぎ過ぎた。 皆でわいわいと背景画を仕上げていくことが凄く楽しくて。
居残りが解禁されたら皆で夜遅く迄残って、学校に泊まり込んで絵を完成させて、
・・・そのせいで当日の朝は起き上がることが出来なくなった。完全に自業自得。
去年はそれでも良かったけど・・・チアは当日が一番重要だから用心しないとな。
だから他の皆がしっかり練習していても、こうやってしっかりサボって休養する。
今日だけでなく明日も、場合によっては明後日も・・・
◇ ◇ ◇
俺百合説も考えてみたら当然かも知れない。 そう思うようになった今日この頃。
朝は俺と昂輝と沢瀬と、俺にくっついて離れようとしない田辺と一緒に登校する。
それは帰りも同様で、おまけに俺と田辺の同棲説迄加味された結果が俺百合説だ。
同棲ではなく同居だと主張したところで、そんなことは言葉遊びにしかならない。
今こうやって、俺に纏わり付いている田辺を見れば、誰だってそう考えるだろう。
・・・つまりは田辺、全てはこいつが原因だったと気が付いた。
・・・それに気付いたところで今となってはどうにもならんが。
・・・・・・しかし、それにしても田辺のスルースキルは凄い。
沢瀬の圧を含んだ笑顔をスルー出来る、田辺のスルースキルは本当に凄いと思う。
俺だけでなく昂輝ですら・・・周りの乗客ですら沢瀬の方を見ようとしないのに。
それ程のオーラを放っている沢瀬が、すぐ隣に居るというのにマイペースな田辺。
『今日のご飯は何にしましょうか?』とか『今日の入浴剤は何がいいですか?』
とか『今日も一緒に入りましょうね?』なんて科白を電車内でも平気で口にする。
まぁ・・・腐りまくったBL発言を口にすることが減ったのは謎な幸いであるが。
このベタベタ新婚カップル的発言もそれなりに問題が有ると思わないでもない。
・・・何といっても沢瀬が怖い。 僅か二駅、たった4分の体感時間の長いこと。
30分程肉食獣の檻に入れられているかのような、そんな緊張感を感じてしまう。
・・・沢瀬の奴、何でただの妹分に過ぎない田辺をこんなに意識するのだろうか?
一緒に風呂に入っているからだろうか? でも田辺は髪を洗うのが凄く上手だし、
何より俺のちんKOを《 もの凄く残念なもの 》を見る目で見たりはしないのだ。
・・・あの冷めきった目でちんKOを見られる切なさは、多分男しか解からない。
そのことを沢瀬には説明済みなのだが、何故か大きな溜息で返された。理不尽だ。
・・・ということで、どうでもいいから早く駅に着いて欲しいと思う残り35秒。
◇ ◇ ◇
「多分ですが沢瀬先輩は、失うものが無い私に対して少し苛立っているのですよ」
だから俺が気にする必要は無いと、謎発言を口にする田辺と一緒に駅二階にある
専用ゲートを潜ってマンション通用口を目指す。 駅の専用ゲートからホール迄は
マンションの住人以外は立ち入ることが出来ない構造になっている。 主に保安上
の理由からだが、そのセキュリティレベルの高さは流石セレブ専用といった処か。
尤も・・・うちのマンションで電車なんかを使っているのは俺たちくらいだが。
だからこの通路は実質俺と田辺の通学専用路となっている。何とも大業なことだ。
で、その通路から中央ホールに出ようとしたらコンシェルジュさんに止められた。
「美倉様・・・蒼様をお待ちのお客様がホールに居られます」 「 俺を⁉ 」
ここのコンシェルジュさんは一般的なサービスの提供も行っているが、職責の最
たるものが住人の安全確保・・・言うなれば警備の仕事こそが本分になっている。
そして肩書こそマンションコンシェルジュだが、全員がMSSのエリート社員だ。
常駐の4人全員が格闘技の高段者で、昂輝並みかそれ以上の体格で威圧感が半端
ない。 不審者や悪質セールスなんかが侵入出来る隙等全く無いから安心出来る。
そんな、プロレスラーみたいなコンシェルジュさんが、客の到来を告げてくれた。
「御蔵貴治様と仰る方で、先程迄は茜様とホールで面談なさっておられました」
「本人確認は?」 御蔵貴治・・・その名前には覚えがあるが会ったことは無い。
「現在照合中でして・・・と、終わったようです。 本人に間違いありませんね」
「映像を見せて貰えるかな? それと、姉ちゃんから何か聞いてる?」
「どうぞこちらを・・・茜様からは以降の来訪はお断する様にと伺っております」
モニター越しに見る従兄殿はモデル張りのイケメンで、体格もかなりいい。
身長も筋肉も昂輝並みか或いはそれ以上かも知れない・・・少しムカつく。
だけど姉ちゃんが出禁を指示したことから、中身は凡庸以下と推察出来る。
来訪の目的も凡そ推測出来ることから、俺が従兄殿と面談する必要は無い。
「俺は会う気が無いから、適当に追い返しておいて。 それとこの人はクルマで
来たのかな? だとしたら、それも見せて貰える?」 「こちらを御覧下さい」
打てば響くといった感じで、プリントアウト写真の入った封筒が差し出される。
写真に写っていたのは若草色のベントレーコンチネンタルGT、グリルの形状から
最上級の・・・なんて名だったかな? まぁそこはどうでもいいがクルマの趣味は
悪くない。 ・・・そして好都合。 これだけ目立つクルマだと用心が容易になる。
「帝山学園にも不審車登録願いを提出しておいて貰えますか?」 「承りました」
これで我が従兄殿はこのマンションには二度と出入り出来ないだけでなく、学校
での出待ちも事実上不可能になる。 大学の方は姉ちゃん自身で対処済みだろう。
これだけ明確に拒絶の姿勢を示したのだから、諦めてくれるだろうと思いながら
俺たちは中央ホールを避ける為、住人専用の三階エレベーターホールに上がった。
「話にあったお客様は・・・美倉様ということは蒼先輩のお身内の方ですか?」
「美しい倉じゃなくて御蔵財閥の御蔵な、母ちゃんの実家で貴治は俺の従兄よ」
「事情は聞かない方が宜しいでしょうか?」 「知りたいなら説明するけど?」
別に隠す事でも無いし、知られて困るものでも無いので田辺に話すことにした。
「俺の母ちゃんは財閥の御令嬢の癖に、政略結婚で詰まらない男に嫁ぐのが嫌で
御蔵の家を飛び出した家出娘だったんだよ。 今では立派な実業家だけどな」
実家からは御蔵の名を使うことを禁じられたけど、美倉への改姓だけで済ませて
事業を展開、小さな中古家電店だった美倉商会を現在の美倉グループにまで育て
上げた女傑が俺の母ちゃん。 実家の御蔵式経営術を元に改善に改善を重ねた美倉
式経営術の成果は経済誌にも取り上げられ、《平成の奇跡》と持て囃された程だ。
「おぉ! 流石は師匠のお母様ですね! 凄いです!」
「・・・奇跡も半分以上は母ちゃんの美貌を揶揄してのものだったらしいけどな」
「・・・それは?」 「色仕掛けで成功を掴み取った。等と謂われていたらしい」
「・・・・・・」 「でも俺の母ちゃんはその侮りすらも利用して成り上がった」
利用出来るものは全てを利用して、最適解を積み重ねて美倉グループを凄まじい
勢いで成長させていった。 比べて御蔵財閥は先代の祖父に続き当代の伯父も凡庸
で二代続けて・・・半世紀に亘って鳴かず飛ばずの有様だ。 そこで母ちゃんとの
和解を打診してきた。 まだ御蔵の方が圧倒的なうちに美倉グループとの経営統合
を経て、最終的には美倉グループの吸収を目論んでいると母ちゃんは考えている。
「・・・そんな話を、夏休み前に姉ちゃんから聞かされていたんだよね」
「・・・それじゃあ、さっきの人が師匠と面談していたのは?」
「多分、政略結婚絡みだと思う」 「従兄さんですよね?」 「でも結婚出来る」
「 「 ・・・・・・・・・ 」 」
「じゃあ従兄さんが蒼先輩を待っていたというのは?」 「実は従姉も居るんだ」
「・・・その従姉さんの為に蒼先輩の為人を確認しようと?」「・・・多分そう」
「 「 ・・・・・・・・・ 」 」
「政略結婚にキレて家を出たお母様の子供に政略結婚を仕掛けて和解ですか?」
田辺は余りにも馬鹿げた話に驚いているが、いい意味で親に似なかったのだろう。
お坊ちゃん生まれが忖度されまくって成長すれば、自分の希望は叶って当たり前
といった考えを持つ馬鹿に育ち易いのだ・・・その結果が伯父の考え無しの暴挙。
・・・・・・・・・
・・・母ちゃんを手放して、そんな馬鹿を後継にした祖父の考えが理解出来ない。
ひょっとしたら優秀過ぎる母ちゃんを疎んじたのだろうか? 自分を超えるから?
「・・・それでも、あの御蔵財閥なんですよね? 話も聞かずに追い払って大丈夫
なんでしょうか?・・・師匠だって一応は面談をなされていたという話ですし」
田辺も流石はお嬢様・・・御蔵の巨大さを知っているかして俺の従兄殿への対応に
不安を覚えたようだ。 俺の独断で怒らせても大丈夫なのか?といったとこだろう。
そんな不安を持たせたままというわけにもいかないので、安心させることにする。
「何の問題も無いから、姉ちゃんも俺抜きで話を終わらせて出禁にしたんだよ。
俺の従兄殿はそんな程度の・・・無視しても問題無いただの盆暗という事だ。
そして御蔵財閥本体だって、十二支会に喧嘩を売るという馬鹿な真似はしない」
御蔵に真面な人物が居れば十二支会に喧嘩を売る愚は犯さない筈だ。 もしそんな
人物が居ないなら寧ろ好都合、夏休み中に御蔵の攻略法は完成しているからそれ
を発動させて、十二支会が全力で御蔵を喰らいに掛かるまで・・・田辺を後回しに
することになるが、遠坂の抑えは済んでいるし本丸も攻略済みだから問題は無い。
・・・喧嘩の結果は御蔵財閥の、旧財閥系の一角・・・名門の崩壊。
それでも他の旧財閥系が御蔵を助けることは無い。 ・・・彼らだって外資の圧力
に晒されており他人を助けるような余力は無いから。 現状維持ではなく変革を、
若き強者との提携を選択することが正しいという現状を認識しているだろうから。
・・・田辺の家もそうだが、優秀な社員を薄給で扱き使うことが出来なくなった事
で、本格的に経営者の質が問われる時代に変わったという事、血で仲良し倶楽部を
形成していればいいという時代じゃ無くなったという事だ。 なのに政略結婚かよ?
・・・・・・・・・
・・・本当に伯父の愚かさには呆れてしまうし、アポ無しで訪ねて来る従兄殿にも
同様に呆れるしかない・・・御蔵は十二支会と争わずとも崩壊する運命なのかも?
・・・・・・・・・
・・・こんな身体で無ければ、御蔵を喰らうなんてことも面白そうだな。
「蒼先輩はやっぱり師匠と姉弟ですね」「 んっ? 」「同じ悪い顔をしてました」
「 んー・・・・・・ 」
同じ顔と喜べばいいのか? 悪い顔と凹めばいいのか? ・・・難しい処だ。
◇ ◇ ◇
翌日の夕方、また同じようにコンシェルジュさんに止められた。
「蒼様をお待ちのお客様がホールに居られます」 「 今日も⁉ 」
「最初は茜様との面会を求められ、不在を告げますとそれなら蒼様と」
また姉ちゃんにアポ無しの客かよ・・・だったらサークル関係の人じゃないな?
大学関係でも会社関係の人でも無いだろうし・・・まさか御蔵の従姉殿か⁉
「いえ、香坂悟様と仰る男性の方で、茜様のサークル関係でのお知り合いとか」
「 あっ⁉ 」「ん? 田辺は知ってるの?」「アレですよ、百合漫画の眼鏡さん」
田辺に指摘されて思い出した。 そういやそんな名前だった気がする。
・・・でも姉ちゃんはともかく、俺と会う理由なんかあるのだろうか?
「師匠への伝言か何かを頼みたいのでは?」 「かも知れないな、会うとするか」
俺たちは中央ホールで待つ百合眼鏡に会うことにした。 一応は将来の安全の為に
専用通路からではなく、一旦外に出てから正面入口を通ってホールへと向かった。
・・・勿論来客の件は、正面入口にあるコンシェルジュ窓口で聞いた風を装って。
久しぶりに正面入口から中央ホールに向かって歩いてみると、改めて警備体制の
徹底ぶりには驚かされる。 入口正面のコンシェルジュ窓口はトーチカだし、階段
から中央ホールは城で言うところの虎口だ。 恐ろしいことに釣り天井擬きの構造
にもなっている。 よく建築許可が下りたものだし、審査に通ったものだと思う。
災害時のシェルター化を名目に鉄筋コンクリートの檻になるのが中央ホールだ。
そんなおっそろしいホールで、のんびりとコーヒーを飲んでいる百合眼鏡、
このマンションの正体を知っても同じ様にのんびりしていられるだろうか?
・・・・・・・・・
・・・そういや昨日の従兄殿も同じ様にのんびりコーヒーを飲んでいたな?
この中央ホールの、独特な形状や構造に違和感を抱かなかったのだろうか?
俺も大概庶民感覚だが、御蔵の従兄殿は俺以上に庶民感覚なのかも知れない。
そんなことを考えていたら、百合眼鏡も俺たちに気付いたようで立ち上がっては
手を上げて挨拶をしてくる。 マンイチで会った時よりイケメン度が上がっている
のは何故なのだろうか? 伊藤には及ばないが顔だけなら山田並みになっている。
「久しぶりだね蒼ちゃん、今日も男装なのかい?」
こいつは俺を女だと勘違いしているようだが、他人だからいちいち否定しない。
「お久しぶりです、かおるざかさんは今日は化粧をされているんですか?
前に会った時とは随分と印象が違うのですが?」
「薫坂・・・ペンネームで呼んでくれるということは、僕の漫画が気に入って貰え
たのかな? 嬉しいよ、君に気に入って貰えて。 でも化粧なんかはしてないけど
・・・前に会った時は五徹明けだったから、酷い顔をしていたかも知れないね」
すまん、名前は間違えただけだ。 にしても五徹だと⁉ 良く死なないものだな?
「初めまして、私はアカネ師匠の弟子のルカといいます。
それで、香坂さんは師匠にどういった用件が御有りで?」
田辺が話に入って来た。 予想外だったが、考えてみれば漫画の話だと俺より田辺
の方が適任だろう。 だから後は田辺に任せればいいと判断したが・・・違った。
「いや、アカネさんには挨拶だけで、ここに寄らせて貰った目的は妹の蒼ちゃん、
君にある・・・美倉蒼君、僕と付き合って欲しい。恋人になって貰えないか?」
・・・・・・・・・
「 「 へっ!!?? 」 」
・・・いきなりだな、おいっ⁉
映研部室で蒼が視聴を想定している作品は《 ゴジラ-1.0 》です。
MSS :美倉セキュリティサービス、蒼の母親が経営する総合警備会社。
蒼の住むマンションの警備担当は全員がMSSでも屈指の実力者。
常駐の4人:正面入口にある窓口に2人、客から見えない監視室に2人。
それと蒼たちの下、22階はMSSの役員寮を偽った秘密支所。
優秀な社員を薄給で:日本有数の大企業の重役が成長の理由として記者に答えた
言葉で、昭和の経済成長は企業のブラック労働の成果です。
その成功体験が現在のブラック企業を生んだのでしょう。




