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012_姫になり損ねた男

011で蒼が気にしていた森里のエピソードです。

森里がどんなキャラなのかを、作者自身は考えてなかったので、

森里自身に、自由勝手に独白させて出来たのが本話です。

その結果には・・・少し驚きました。

ちなみにこの話は、011執筆時に昂輝と中根以外の

部員を考えながら、殆ど一気に書き上げたお話です。

011が難産だったので、いい気分転換になりました。

俺の名前は森里冬也(もりさととうや)、名門帝山学園高校の2年生だ。

身長155cm、48kgという小動物系の美少年。 そう、美少年だ。 間違いなく、

客観評価で美少年だ。 幼い頃から、周りからずっとそう云われ続けて育った。


その為かどうかは判らないが、俺は真性のゲイだ。うん、男が好き。抱かれたい。

抱きたいんじゃない、抱かれたい。 タチでなくネコ。 攻めでなく受け、総受け。

いろんなタイプの男たちから好かれたい。抱かれたい。強く激しく責められたい。


そんな難儀な性癖の持ち主が俺という男だ。 今風に言えば男の娘だろうか?

とにかく男だけしか性の対象に考えられない、純度百パーセントの男好きが俺。


その性癖を自覚したのは中学生。 水泳の授業でむき出しの男の胸に囲まれた時。

ドキドキした。 他の男子は女子の水着姿に目を奪われていたが俺だけは違った。

女子の水着姿に興味を覚えない。 寧ろ男子の視線を集めることに嫉妬を覚えた。


そして悩んだ。 俺、一人子だぜ。 俺が孫の顔を見せてやらなきゃ、誰が両親に孫

の顔を見せてやれるんだ? 創作世界の様に都合よく、男同士じゃ子は()せない。


その現実の前に悩み、なんとか女性に興味を持とうとした。漫画サイトで年齢を

偽ってはエロ漫画を読み漁り、成人向けサイトではエロ動画を次から次へと視聴

しまくりと、なんとか男の本能を目覚めさせようと努力した。 でも駄目だった。

いくら試そうが、俺は女性視点で作品を観ていた。作品中の女性と俺を置き換えて

男に抱かれる、凌辱される自分の姿を想像しては昂った。自ら慰める手が捗った。



そうしてようやく悟った・・・もうどうしようもないと。

俺にはBLしかないと。 両親には養子で我慢してもらうしかないと。

この世界、百合も居るんだからBLだって問題無いよな! と、開き直った。



開き直れば、本当に、気持ちが楽になった。



もうこうなったら、自分の気持ちに真直ぐに、リビドー全開で突き進むしかない。


ということで、男子校の姫になろうと考えて事前調査をしたのだが。


男子校も女子校も、異性の目が無いと野生動物同然になるのが人間らしい。

という残念な現実が立ちはだかることになった。 具体的にはデリカシーが無い。

そして汗臭くてむさ苦しいのが男子校の常態であるという・・・マジか?


俺、何が嫌いかって、清潔感の無い、不衛生な環境が一番嫌いなんだよ。


ということで、共学に変更。 目に付いたのが帝山学園高校のHP。

制服が超可愛い!  俺の目指す可愛い男にぴったりだ!!


偏差値60で推薦無しの完全実力主義⁉・・・厳しいが頑張れば何とかなる。

駅から校舎迄3分⁉ しかもずっと屋根の下、傘要らずだと⁉ 最高かよ⁉

男子生徒が女子の半分? いくら元女子校とはいえ・・・いや、大丈夫だ。


俺は希少な小動物系天然美少年なのだから! 女子なんかには負けない!!


俺は帝山学園高校に決めた! 両親も喜んでくれた! 流石偏差値60の名門。



   ◇ ◇ ◇



何だこいつら⁉ 何なんだ⁉  この、スーパー美少女デュオわあぁ!!

こいつら、ホントに男なのかよ!!! 有り得ないだろうがあぁぁ!!!




目出度く帝山学園高校に入れた。制服が超可愛かった。カッコいい制服も買った。

女子用の制服も、一番可愛いものを自腹でこっそり買った。 何時か着てみたい。

そして柔道部に入った。部活紹介の先輩が好みのタイプだったから。冷徹系最高。

この先輩に、冷めた目で睨まれ、ただ性欲の捌け口として、激しく凌辱されたい。


・・・その思いは柔道場に足を踏み入れて変わった。

もっと好みの、どんでもないイケメンが居たから。しかも逞しい肉体付きで。

誰これ? すっごくいい! 今すぐ押し倒されたい! この巨体に蹂躙されたい!


ん⁉・・・何だ? 何か居るのか? 少し身体の位置をずらして先を見る。


そしたら居た。


彼の巨体に隠れて何か居た。 それも二体、何だこいつら⁉ 何なんだ⁉ ・・・



   ◇ ◇ ◇



圧倒的な美貌の二人も柔道部に入部するそうだ。

さらさらロングはもう人間じゃない! これほど美しい人間を見たことがない!

ギャルゲはぎり人間! 人間の最上級! ファッション誌の表紙とかに居る奴!


美しさを数値化したら、俺は偏差値70だと思っていたが現実は63だった。

本物の70はギャルゲ、鬱陶しい前髪にぼさぼさセミロング迄が可愛く見える。

さらさらロングは75・・・いや、採点不能だ。こいつを測る基準が存在しない。


どうしても頭から離れてくれない敗北感に、全身の力が抜け落ちるのを感じた。

少し押されでもしたら、そのまま倒れるのではないかと思う程に力が入らない。


そんな状態でも頭だけは動いた。 嫌な事ばかりを想像してしまった。


まさか、お前らも、この大型イケメン狙いか? それだけは止めてくれ!

素直に認めるから。 認めざるを得ないから! 俺とお前らじゃ次元が違うと!

お前らには勝てるわけがないと! 素直に認めるから、そのイケメンは俺にくれ!



   ◇ ◇ ◇



俺の王子様、いや皇帝陛下の名前は藤堂昂輝。 超逞しい肉体を持つクールな

イケメン・・・ああ、もうたまんねぇ。 早くその巨体に組み敷かれたい♡


その藤堂が構うのは、いつだってさらさらロング。 嫉妬もするが許せもする。

こいつ、むっちゃ病弱で頻繁に寝込む。 藤堂は幼馴染というより、殆ど保護者。

これはもう・・・許してやるしかないだろ? 俺、ゲイだけど、鬼じゃないから。


なによりさらさらロングは恋愛偏差値ゼロ、完全にお子様だ。 色恋に興味なし。

神が造形したかのような美しい肢体に、余計な筋肉を付けたがってるだけの馬鹿。


目を引く艶やかな髪も望んでのモノではなく、姉に玩具とされた結果のようだ。

『邪魔だ!切りたい』といっては、女子部の連中から勿体ない! と止められる。

なんというか・・・羨ましいとか、妬ましいとかを通り越して、単純に呆れる。


そんな奴。 馬鹿な子ほど可愛いというが、そんな可愛さについ絆されてしまう。

男漁りなんかしようともせず、お菓子をくれる女子部の先輩たちに懐いている。

そんなこいつに懐いて欲しいと思う俺がいる。俺って、内面は完全に女なのかな?


とにかく藤堂はフリー! 凄い鈍感男(ぼくねんじん)だが・・・いつか攻略してやる。


そしてもう一人の超美形であるギャルゲ、こいつは酷いコミュ障だった。

さらさらロングには懐いているが、女子に囲まれると、むっちゃキョドる。

俺もよく経験したがあれは辛いよな。と、同情する余裕が出来る程メンタル雑魚。


わざと野暮ったく見せている様な、ぼさぼさ頭と目を隠す程長い前髪。

ギャルゲーの主人公そのものといった髪型は、過去に嫌な事があった証拠だろう。

コミュ障も、その過去によって育てられたものだと思う。 女顔は弄られるから。


下手すりゃ・・・性犯罪の対象になるから。


俺も中学時代に、性犯罪に限りなく近いことをされたことがあるから解かる。


尤も、俺はむっちゃ(たの)しんだがな♡ 一応、嫌がるフリはしたけど。


でも、こいつはコミュ障になった。 顔を隠すように、自らを隠すようになった。


きっと、トラウマになる何かがあった。 羨まし・・・じゃない、同情しかない。


そんなギャルゲを『一緒に筋肉付けようぜ!』と、大男揃いの柔道部に引き込んだ

さらさらロングは、無邪気というより無邪鬼・・・悪気無しで考え無しな鬼かも?


でもその鬼を守護する藤堂が、鬼と一緒にギャルゲ迄護ることになっている。

しかもギャルゲにはもうひとり強力な守護がいる。 同年の八鹿(ようか)、一目惚れした

宮川先輩の上位互換な冷徹系イケメン。 なんとこいつはギャルゲに惚れている。


真性ゲイの俺なら判る。いや、俺だから判る程度だが絶対に、熱烈に惚れている。

八鹿・・・諦めるのはあまりに惜しい俺好み。 俺、3Pとか4Pとか全然OKよ。


ともかくそんな守護二人に護られたらもう安全・・・ではないのが帝山柔道部。


2年、3年の先輩たちは普通の高校生だが、同年・・・一年生が怪物揃い過ぎる。

先ず、藤堂同様黒帯スタートの経験者中根は、体格こそ藤堂と変わらないが凶相。

目が合っただけで恐怖に怯え、その興奮に狂い身体を差し出したくなる。犯して!


そして野獣の如き巨漢が斎藤、こいつは身長こそ藤堂や中根よりも低いが、体格

では圧倒的なNo.1。 中学ではラグビーをやっていたらしい。 何でラグビー部

のない帝山に来たのかが解からない。 顔はおっさんだから俺の好みじゃない。

でも全然好みじゃない、嫌な相手に無理やり犯される・・・堪んない♡ 犯して!


一年生最後の一人山田もいい! 高校生離れした体格の4人と違い、普通に体格が

いいという程度でさわやか系のそこそこなイケメン。 その普通っぽさがいい!

趣味は全然普通じゃないけど、それは無視出来る。 山田となら高校生らしい恋愛

が出来そうな気がする。 普通に映画観たり、買い物したり、最後に公園に寄って

ベンチでキス・・・そこに中根と斎藤が現れて二人共犯される。あぁ・堪んねぇ♡



ということで、帝山柔道部の一年生は逸材揃いだ!

顧問の猿石先生も、逸材揃いと喜んでいた通りに!

まぁ・・・逸材の意味は少し違うかも知れないが。



とにかく、俺はここで姫を目指すのだ!!



   ◇ ◇ ◇



半年後、俺は二年生や三年生の先輩方に混じって柔道部を辞めた。


先輩たちが止めた理由は、俺を除く一年生全員に完全下克上されたショックから。

経験者で最初から強かった藤堂や中根、ラグビーで鍛えた巨漢斎藤だけなら許容

出来ただろうが、山田にも、少し筋肉が付き身長も伸びたギャルゲにも、そして

何より華奢なまま、美少女なままのさらさらロングにも圧倒されるようになった。



・・・そりゃあ、キツイわ。 男のプライド、多分ズタズタ。

二年生、三年生の半分がそれで辞めることになったのは、多分無理の無い事だ。


俺は別の理由、全然強くならないとか万年最弱なんか、小動物系には寧ろ勲章。


辞めた理由? そんなもん決まっている! 無理だと判ったからだ!!


全然姫に成れないから! 姫どころか殆ど相手にされてない!! 唯一相手して

くれるのが、馬鹿なお人好しのさらさらロングだけ。 ホント、こいつはいい奴。

『頑張って筋肉付けて皆で強くなろうぜ!』の一言は余計なお世話でしかないが。


イチ推しの藤堂は朴念仁の極み、正に究極形態。 完全無視に心が折れた。


中根は気が付きゃさらさらロングに夢中で、こっちもガン無視。 八鹿も同じ。

あの冷徹そうな顔で一途にギャルゲを想い続けてやがる。 邪魔するの野暮過ぎ。

斎藤は藤堂や中根に追い付こうと柔道一筋、色恋沙汰なんかまるで眼中にない。


山田は論外過ぎた。 あそこまでの変人だったとは思ってなかった。 絶対に無理!


ということでさらばだ、色々残念な柔道部!

俺はクラスの姫を目指すことにしたから!!



そして今・・・俺は料理研究部に所属している。

何といっても男は胃袋よ! 胃袋さえ掴んでしまえばこっちのモノさ。



ついでに言えば小悪魔系も止めた。清楚系にクラスチェンジを進めている。



だって、清楚を極めた方が・・・凌辱された時の悦びが大きくなるから♡


蒼と高梁が周りからどう見られていたか? を書いてみましたが、

今回の主人公 (?) 森里、変態だけどその元気は羨ましいですね。

皆様はどう思われましたか? 特にぶっ飛んだ性癖とか?

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