第9話 よかろう。覚悟は受け取った
扉が開く。
玉座に若く美しい女性が座っている。
エレノアだ。
「ジルニーク!約束通りじゃな!待っておったぞ!」
あの時、あの薄暗い牢獄で見たエレノアそのままだ。
「ところで後ろの2名は誰じゃ?それに貴様縮んでおらんか?」
「縮んだのは、なぜか10歳になってしまったからだ!」
そうかそうかと笑うエレノア。
「お初にお目に掛かります。私はノステルリーグ王国第2王子アルーノ・ノステルリーグと申します」
「私は、殿下の従者のグライバ・カールストンと申します」
「わしはラルヴィック魔王国 魔王エレノアじゃ。楽にせよ」
「1人で来ると思っておったが、まあ、細かいことはどうでもいいじゃろう」
エレノアは横に控えているメイドを紹介した。
「わしの従者ドロシーじゃ。よろしく頼む」
「皆様、よろしくお願い申し上げます」とドロシーが挨拶をする。
「さて堅苦しのは終わりじゃ。ドロシー、応接の間に皆を案内せよ」
「かしこまりました。皆様、こちらへどうそ」
と、無事魔王との謁見は何事もなく終了した。
応接の間も豪華だった。
アルーノも豪華だね、うちより豪華なんじゃない?というほどだった。
程なくしてエレノアが現れ、席に座るように促す。
ドロシーがお茶を淹れてくれた。
「さて、2人は事情を知っているのか?」とエレノアが口を開く。
「いや、ここに来たのは魔王に会う約束をしているからとしか伝えていない」
ふむ、と魔王はノステルリーグ王国の2人を見る
「この先を聞けば、もう引き返す事は出来ぬし、貴殿は絶対的な敵である魔王の味方という風に世間は見ることになるが、どうする?ここで引き返す手もあるが?」
「そうでしょうね。ですが、既に私は反乱分子ということになっているそうですので」
「どのみち待っているのは地獄というわけじゃな?」
「そういうことです」
「裏切りには死を持って罰とするが、構わぬか?」
「構いません」
アルーノは即答した。
グライバは「殿下の行く道こそ、私が進む道です」と答える。
「よかろう。覚悟は受け取った。それではこれからのことを説明する」