第8話 会いに来たぞ!魔王エレノア!
翌日朝、馬車乗り場で合流し一緒にラルヴィックに向かう事となった。
老騎士はグライバという名前だったことをこの旅で知った。
もっと先に聞いておくべきことだったことを今更ながら反省した。
馬車での旅4日目に山越えが始まった。
険しい山で登るほど寒くなっていく。
山を越えたのは、それから6日後だった。
そして、サーグゥインを出発して17日目。
魔王城のある王都ラルヴィックに到着したのだった。
「ここが、ラルヴィック・・・」
「大きいね。さすが王都だね」
街の中心に向かって歩いていると、人々の会話が聞こえてくる。
やはり魔王は復活したようだ。
ということは、勇者の召喚もまもなくということになるのか。
「ジル?どこか行きたいところでもあるのかい?」
「あ、ええ、その、魔王城に」
「ああ、魔王城!観光にはぴったりだよね」
呑気なのかワザとなのか。
アルーノの言葉にうなずきながら、
「ぜひ見たいですね」と呑気に返答しておく。
魔王城は街の一番奥にそびえたっている。
外観は整っており、アルーノ曰く美しい城だそうだ。
立派な門の前に衛兵が立っている。
「この辺で引き返すのが良いでしょう」とグライバが言う。
「そうだね、でもジルは中に入りたいんだろう?」
見透かされるなアルーノには。
それか態度に出ているのか?
お金を全て出してくれたのは彼等だ。
ここまで連れてきてもらったも同然だ。
隠しておくのは失礼だろう。
敵対はしたくはなかったが、そうなったらそうなったまでだ。
私は約束を果たさなければならない。
「今から話すことは真実です。突拍子もない話ですし理解も出来ないかもしれません」
グライバが何か言いかけたところを右手で制止、アルーノは「続けて」と言った。
「私の本当の名はジルニークといいます。魔王とは約束をしているのです。復活したら会う約束です。ですのでここまで来ました。門番には私の名前を告げれば通してくれると思います」
「そう言えば、魔王が復活したと街でも噂になっていたね。私達も会えるのかな?」
「それは分かりかねますが、私の連れであれば可能ではないかと思います。彼女は話が分かる方だったと思うので」
「彼女・・・つまり魔王は女性なのかい?」
「はい」
「わかった。話してくれてありがとう。ジル、君は私達の恩人だ。もし何かの間違いで君が攻撃される可能性もある。付いて行ってもいいかい?」
「もちろんです。黙っていて申し訳ありませんでした」
「いいんだ、気にしなくていい。ジル、為すべきことを為す様に」
アルーノはやはり王族だな。
様になっている。
会いに来たぞ!魔王エレノア!
門番に話しかける。
「私の名はジルニーク。魔王エレノアとの約束を果たす為参上した。後ろの2名は私の連れだ。お目通りの許可を願う!」
そう言うと門番は、
「お待ちしておりました、ジルニーク様。エレノア様から仰せつかっております。案内をご用意致しますので、門の奥の階段前でお待ちください」
ということで、門を潜り階段前で待つ。
数分後、案内役が到着し魔王エレノアの待つ謁見の間へと案内された。