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ヴァーベナル英雄物語  作者: 猫じゃらし
神討伐の英雄譚
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第6話 助けは必要ですか?

先頭の兵士が、「第2王子 アルーノ・ノステルリーグ!王への謀反の疑いにより捕縛させて頂く!」


「謀反だと!?」とアルーノ。


「王子を捕縛せよ!かかれ!」


「殿下に近づくな!」とそのアルーノの部下が前に出る。

他数人の部下も前面に展開し戦いが始まった。


軍隊の後ろに控えていた立派な鎧の騎士が前に進み出てきて、一撃でアルーノの部下を貫く。


アルーノの部下達は盾を構えながら応戦する。

部下達は見事な動きでアルーノをかばうが、その間にも屈強な兵士達に刺され、剣で切り裂かれていく・・・


人ってあんな簡単に死んでしまうんだなぁと眺めていたら、アルーノの部下は1人の騎士を除いて動かなくなっていた。


アルーノは問題ない様だが、地面から氷の槍が生えてきたり氷の壁が出現したりといろいろと大変なことになっていた。


これ助けて恩を売っておいたほうがいいかなぁ、王子だし銀貨40枚ぐらいはくれるでしょ。


ということでスルスルとアルーノの前に出た私は、力いっぱいハンマーを地面に叩きつける。

ドゴォォォン!!と大きな音が鳴り響き地面が大きく揺れ、兵士はバランスを崩して倒れたり尻餅をついている。


と、そこで振り返って、

「助けは必要ですか?」と聞く。


「子供だと!?なんだ、その力は?」

「そんなことより、今は助けがいるかどうかを聞いています」と再度尋ねる。


アルーノは先程のハンマーの一撃のこともあり、

「無論だ!手助け頂けるのならお願いしたい!」

と落ち着いた様子で答えた。

さすがは王族と言ったところか?


「いいでしょう、わかりました」


「なんだ!あの子供は!」

身体にそぐわないハンマーを振り回しながら、

「このハンマーで潰されたい者から掛かってきなさい!」

我ながらかっこいいセリフだと思う。


数人の兵士をハンマーで吹っ飛ばす。


すると、「撤退!」と立派な騎士は兵士達に告げる。

兵士達は街とは別の方向に撤退していった。


「アルーノ様!いつまでもお逃げ続けられるのは難しいかと!」と立派な騎士が言う。


「兄上が王位を継げばよいだろう!私には王位を継ぐ意思はないと何度も言っているではないか・・・どうしてこんな・・・」

アルーノは悲しそうな顔で返答する。


「・・・今回はここで引かせていただきます。ご無事で」と立派な騎士は小声でささやくと撤退していった。


「ご助力に感謝を申し上げる。先程、子供と言ったことは大変失礼した」とアルーノは言った。

「あ、気にしなくていいです」

恩を売るためだが、まずは顔を繋いでおくことが大切だ。まあ良しとしよう。


「私はノステルリーグ王国第2王子のアルーノという。君の名前を教えてくれるか?」

「ジルといいます」


「再度お礼を言わせてくれ。ジル殿、ご助力感謝する」

「私からも殿下をお助け頂いてありがとうございます」と1人生き残った騎士が言う。

声からして老人のようだが、よく生き残れたもんだと感心していた。


「さて、殿下。急いで別の国なりに移動して、御身をお隠しになった方がよろしいかと進言致しますが・・・」

「そうだね、じいの言う通りだね」


そうだ!と思い出した様にアルーノはジルに声を掛けた。

「ご助力のお礼がまだだった。何か望むものはあるか?」

これは・・・船代をおごってもらえる絶好の機会ではないか!!


「あの・・・エスタシング島に行きたくて。ただ船に乗るのに銀貨40枚必要だと言われて・・・」

年相応の返答だろう。


「船代が銀貨40枚?妙ですな?」と老騎士がつぶやく。

「そうだね。金貨4枚と言えばいいはずだけど・・・厄介払いか?」

「そうかもしれません。我々も身を隠すのであれば海を渡るというのも良い考えだと思います。彼の船代も私達で支払い、とりあえず王国を出てはいかがでしょうか?」

「うむ、そうしよう。ジル殿。港に案内してもらえるか?」

「はい。わかりました。それと”ジル”でいいです」


ということで、なんとか船に乗ることに成功した。

船代の銀貨40枚は、やはり厄介払いの嘘で、本当は銀貨4枚だった。

成人の姿にしておけば良かったと後悔した。


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