第2話 約束
「いいじゃろう。提案というのはじゃな、神の討伐じゃ」
「見ればわかると思うが・・・私はもはや動くこと・・・も叶わぬ・・・」
「わかっておる。簡単にいうとじゃな、今から魔王たるわしの力の半分を貴様に注ぐ、これで動けるようになる。で、残りの半分の力を使ってヴァーベナルに転移させる。転移後は”姿替え”の道具で姿を変えるようにな。見つかるとやっかいそうじゃからな」
「それから・・どうしろと・・・いうんだ?」
「私が居なく・・・なったら、魔王があ・・・やしまれる・・・のではなないか?」
「そんな力はないと思っておるだろうから心配はないぞ。完全に回復しきってからおろされておるのでな、毎回。大丈夫じゃ・・・と思う」
「勇者召喚の儀というのは、魔王が出現してからでないと発動しないようなのじゃ。神のお告げという形で神聖国の神官に復活が告げられ、儀が行われる。そしたらわしを見つけてくれ」
「わしを魔王としておろすことで争いを起こして楽しんでおるのじゃろう。くだらんしどうでもいいのじゃ。わしはこのループの鎖さえ立ち切れれば良いのじゃ。憎いのじゃろう?ジルニーク」
「だが、どのよ・・・うに、神パスカルブ・・・を?」
「貴様も天使だったからわかるじゃろうが、管理者たる神パスカルブが世界を管理しきれなかった場合、どうする?」
「直接介入・・・か」
「そうじゃ。神パスカルブがヴァーベナルに直接介入してきたところで討伐する」
いろいろと問題はありそうだが、私には話に乗らなければ行先は奈落の底で堕天使だ。
「わかった」
「ではそろそろ始めるぞ。わしの力を注ぐということは半分程魔族になるからな?天使と魔族のややハーフじゃからな?神聖な力が弱まることは知っておいてくれ。その代わり天使では使用できない闇の力が使えることにはなる」
「あとは貴様自身で確かめてくれ」
そう言うと魔王は私に力を注ぎ始めた。
神聖な力が弱まって、闇の力が入ってくるとはどういう感覚なのか?まったくわからん。
しかし、身体が楽になったのは間違いなく、まともに動けるような気がしないでもない。
あとややハーフって何?
あっさりと魔王は半分の力を私に注ぎ終えたようだ。
「ふぅ。それでは転移させる」
私の体のを中心に青白く光る魔法陣が形成される。
「必ず見つけるのじゃぞ、わしを。ジルニーク」
「約束しよう。必ず見つけることを。魔王エレノア」
そうして私はヴァーベナルのどかか知らない大地に降り立つこととなった。