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ヴァーベナル英雄物語  作者: 猫じゃらし
巻き込まれハーフエルフの英雄譚
115/117

第115話 命のやり取りは目的ではないわ

大悪魔デストロメアとは戦わなくなったとはいえ、この空の陸から脱出するにはどうすればいいのかしら?

飛空船はおそらく堕天使達のところにはあるだろうけど・・・


「大悪魔デストロメア。この空の陸から脱出するには、どうすればいいのかしら?」

「飛空船を使うしか手は無さそうだが、堕天使のところにある訳だろう・・・戦わずして奪取するのは難しそうだが」


戦わずしてか・・・ さっきの事を考えると、戦わないというのは無理そうね。

なら、戦って勝たないと飛空船は手に入りそうもないわね。


考え込んでいる私を見て大悪魔デストロメアが提案する。


「だいぶ疲れた顔をしているな。あそこでよければゆっくり休むと良い」


大悪魔デストロメアの言葉に今は甘えておこう。

宣誓もしているし襲ってくることもないだろう。

何より魔力が膨大なだけで、実力は無いらしいし。


「ありがたく休ませてもらうわ・・・」

「そうすると良い」


大悪魔デストロメアは、そう言い残すと奥に消えていった。


私はクーリエを促して、大悪魔デストロメアの指定した場所で寝ることにした。

見た目は横穴だが、中はとても広い空間だ。


光の魔法の明かりが心地よい明るさで眠りを誘う。

牢の中よりは居心地が良いわね。

そうして私達は、眠りについた。


どれほど眠ったのか、横穴の中では朝なのかも分からない。

ただ、良い香りがして目覚めた。


大悪魔のデストロメアが朝食を用意していた。


「起きたのか。朝食だ」


大悪魔デストロメアは、それぞれに個別に分けてくれた。

私は、大悪魔デストロメアの向かい側に座って、出された食事に手を付けた。


スープにサラダが付いていて、どれも美味しい。

クーリエも起きてきて、大悪魔デストロメアにお礼を言った後、私の横に座った。


「さて、昨日の話からすると、我が静かに暮らす為には、その堕天使をどうにかせねばならんという事だな?」

「私達が帰る為にも飛空船は必要だしね」

「そうだったな」


「あの遺跡の転移門が世界を渡る門だと言っていたわ。あの門が動いて堕天使を渡らせれば、話は終わると思うんだけど」

「転移門か・・・作動させる方法は我は知らぬが、堕天使は知っているのか?」

「どうかしら?でも知っているから、人を攫って作業させているのだと思うのだけど・・・」


「ふむ。であれば、堕天使と交渉するのはどか?」

「交渉?ですか?」

とクーリエがいぶかしげに聞く。


「そうだ。堕天使の目的は神の世界に移動する事、貴様達の目的は地上に帰る事、我の目的は静かに暮らす事だ」

「そうね、その通りよ。命のやり取りは目的ではないわ」

「我は世界を渡る事が出来る。我が堕天使を渡らせてしまえば、全て解決するだろう?」


「その、貴方の世界渡りは確実に神の世界に渡れるものなのですか?」

「いや、こればかりは渡ってみないと分からないのでな。ただ、結果だけを考えれば、この世界から堕天使の排除は可能だ」


クーリエは黙って考え込んだ。


「他の世界に押し付ける形になりますね・・・」

「そうだな。だが、作動するかどうかも分からない遺跡に頼るよりは、あっさりと終わると思うが?」


たしかに、大悪魔デストロメアの言う通りだ。

しかし、他の世界に渡ってしまう恐れがある以上、他世界の天使であるクーリエとしては判断に困るものとなるだろう。


「まあ、貴様達の目的が果たされる方法ではある。試してみて損は無いと思うが?」


大悪魔デストロメアの提案に乗ってみるのもいいかもしれない。


「・・・そうかも知れないわね。クーリエ、私としては一考の余地があると思うけど?」

「そうですね・・・堕天使さえ居なくなれば、攫われた人も助かるでしょうし、今後飛空船の失踪というのも無くなる可能性はあります・・・それに・・・このままここに居ても埒があきませんし」

「決まりだな」


と言うわけで、堕天使を大悪魔デストロメアが渡らせる方法を取る事にした。


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