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ヴァーベナル英雄物語  作者: 猫じゃらし
巻き込まれハーフエルフの英雄譚
114/117

第114話 命拾いしましたね!大悪魔デストロメア!

「とりあえず、船長達を逃がす目的は達成出来ているわけだから、あとは上手く隠れながら、私達も戻ることを考えましょうか?」

「そうですね。でしたら高い場所の方が見晴らしもいいし、監視も出来るのでは無いでしょうか?」

と目の前の山を指して提案してきた。


「そうね。ちょうど、暗くなっている今が良さそうね」


少し疲れてはいるが、堕天使の部下の野盗達がその辺にいるかもしれない。

さっさと暗闇に乗じて、隠れ場所を探すのは良い案だ。


警戒をしつつ山肌に沿って登っていくと、横穴を見つけた。

登ってきた道からも、少し見にくい位置にある。

絶好の隠れ場所を見つけた私達は、すばやく横穴に潜り込み身を潜めた。


小さな明かりを魔法で作り、奥に入っていく。

横穴は、思った以上に奥があるみたいだ。


「あれ?先の方に明かりが見えますよ?誰かいるのかもしれません・・・」


クーリエの言う通り、先の方で明かりが灯っている様に見える。


「明かりを消して、静かに近づきましょう」


そうして、音を立てない様に気配を殺しながら進んで行き、明かりの点いているところを曲がり角から覗く。


少し年を取った老人が居るだけで他には誰もいない。


「こんな所で何をしているのかしら?」


ふとクーリエを見ると、顔を強張らせて引きつっている。


「どうしたの?クーリエ」

「デ、デストロメアです・・・」


は?大悪魔の?


「冗談でしょ?」

「冗談ではありませんよ。大悪魔デストロメアです!」


とクーリエが大きな声を出してしまい、大悪魔デストロメアと呼ばれる老人に気づかれてしまった。


「誰かだ?そこにいるのは?」

そう言って近づいてくる大悪魔デストロメア。


「ん?お嬢さん方、何故こんなとこに居る・・・いや、天使とハーフエルフか、何の様だ」


目の前には大悪魔、外に出れば強力な堕天使。

逃げ場の無い私達は、死を感じながら大悪魔デストロメアに、経緯と見てきた事を話す。


「ほう?堕天使・・・そんなに力が強かったのか?」

「ええ。天使のクーリエの話では、異常な力だったと言っていたわ」

「なるほど・・・」

大悪魔デストロメアは考え込んだ。


「そう言えば、大悪魔デストロメアは何故こんなところにいるのかしら?復活したのは分かっていたけど」

「ああ、静かに暮らしたくてな。どの世界も悪魔は敵対対象にされるし、悪魔の世界は居心地悪いからな。ここは手つかずだったから丁度良いと思ったのだが・・・そうか、あの先客はそんなに厄介だったのか」


「それで隠れて暮らしていたの?」

「そうだ」


「なんか、話とはだいぶ違うわね?人族に戦いを挑んで、敗れて幽閉されていたわけよね?復活したんだから、また攻め込まないの?」

「まあ、あれはいろいろと理由があった訳だが、我はそこまで好戦的ではない。・・・まあ、人族に侵攻したのは事実だからな。我を討伐するか?」


そう言われても、復活してから何か悪い事をしている訳でもない様だし。


「いや特に何もしていない様し、討伐する理由がないからしないわ」

「変わったハーフエルフだな。そこの天使は納得していない様だが」


クーリエは警戒心を露わにしたまま、顔を強張らせている。

天使と悪魔・・・一般的には相いれないわよね・・・


「クーリエ。この世界の勇者と魔王の話は知っているでしょ?何も悪い事をしていないのに毎回討伐対象にされる魔王。そのおかしな事実に世界が気づいて、今は魔王を討伐対象とは見なしていないわ。大悪魔デストロメアも今はまだ悪い事はしていないわ。そうでしょ?」

「・・・マリー様がおっしゃるのなら・・・命拾いしましたね!大悪魔デストロメア!」


クーリエは一応納得してくれた様だった。

だいぶくやしそうが・・・


大悪魔デストロメアは、敵対するつもりは無いという事を天使であるクーリエに宣誓し、クーリエは受け入れる事にした。


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