表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァーベナル英雄物語  作者: 猫じゃらし
巻き込まれハーフエルフの英雄譚
113/117

第113話 堕天使の力

立派な一軒家の扉を開ける。

中には、見たことのない大柄な種族の大男が座って寛いでいた。


「何者だ。お前達は?」

「それはこちらのセリフよ」


「堕天使・・・」

クーリエは、一言そうつぶやく。


「ほう?良く知っているな。そうだ、私は堕天使となった者だ」

「その堕天使さんが、野盗を使って人を攫っていたってわけ?」

「その通りだ」

「一体何を企んでいるのかしら?」

「そこに遺跡があるだろう?あそこには転移門と呼ばれる、世界を渡る事の出来る門だ。それで神の世界に帰りたいのだ」


「神の世界に帰って、何をする気ですか!?」

クーリエが叫んだ。

「むろん、神を殺し錫杖を奪う為だ。そして私が神になる!」


あまりにも現実離れした内容に頭の処理はついていかないが、堕天使が神を殺せるものなのかしら?


「堕天使となったあなたには、神に対抗する力があるとは思えませんが・・・」

クーリエは天使の翼を広げた。


「天使か・・・なるほど、力を解放したわけか。では、私の力を試してみるといい!」


堕天使が振るった大剣からの剣圧で、私達は後ろに吹き飛ばされる。

「くっ・・・この力は一体・・・」

クーリエが苦しそうに言葉を発する。


「脆弱な・・・」

堕天使はそう言い放つと、クーリエに向かって一気に距離を詰め、大剣を振り下ろしてきた。


私はクーリエに向かって風の魔法を放ちクーリエを吹き飛ばし、大剣の一撃から守る。

私自身も堕天使から距離を取り、クーリエに近づき身構えた。


「マリー様、ありがとうございます」

「クーリエ。逃げるわよ。勝ち目は無いわ」

「・・・そうですね。悔しいですが、堕天使があんな力を持っているとは・・・」


堕天使は大剣を引き上げ、こちらを見る。

「かかってこないのか・・・それともかかって来れないのか・・・」

堕天使は大剣を片手に構えながら、こちらに近づいてくる。


クーリエの土の魔法と私の風の魔法で砂塵をまき散らし、簡易的な目くらましを作り、私達は後ろに見えていた森に一目散で走っていった。


しばらく走って後ろを振り返る。

追ってきてはいない様だ。

鬱蒼とした茂みの中に身を潜めて、少し休憩をする事にした。


「追っては来ていない様ですが、あの力は一体・・・それに、どうやって奈落の底からこちらの世界に渡って来たのでしょう?」


クーリエによると、堕天使として堕とされた場合、天使でいた頃より力は半分以下ぐらいにまでなってしまうそうだ。

そして堕とされた奈落の底では、上位の悪魔達によって襲われ消滅させられるらしい。


「経験したことは無いのですが、奈落の底は悪魔の世界の様で、それはそれは恐ろしい所だそうです」

「その恐ろしい奈落の底で力を付けたって事になるわけか・・・だいぶ厄介じゃない?」

「はい。あの力が本気かどうかは別として、ちょっと無理そうです」


どうして、こう私の前には化け物ばかりが現れるのか・・・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ