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ヴァーベナル英雄物語  作者: 猫じゃらし
巻き込まれハーフエルフの英雄譚
111/117

第111話 陸が空にある・・・

謎の飛空船は、まっすぐこちらの飛空船に近づいた後、横並びになった。

よく見ると、客船用の飛空船ではなく、戦闘用の飛空船だった。


「あ、あれ戦闘用じゃないの。どういうこと?」

「せ、戦闘用?」

と、クーリエが驚いてこちらを見る。


「そう。砲台が付いているわ」


竜戦争の時に乗ったわね・・・音が大きくてびっくりしたわ。


戦闘用の飛空船の船員は、私達の飛空船に乗り込み甲板でこちらの船員と争っている様だ。

突如として現れた飛空船と争いの音で、客室側はパニックとなっていた。


甲板からの扉が勢い良く開き、

「この船は乗っ取らせてもらった!命が惜しければ、黙って壁際に行きな!」


こんなところにも野盗なんているの?

というか、こいつらが飛空船失踪の犯人なのかしら?

どこで、戦闘用の飛空船なんて手に入れたの?


「歯向かったら、船長を殺す!そうなったら、この船は地面に墜落だ。あとはわかるよなぁ」

と野盗はニヤニヤしながらしゃべっている。


「マリー様、どうします?殺しますか?」

「クーリエ・・・物騒だからやめて。それに今暴れると、他の人達も巻き添えにしてしまうわ・・・ここは大人しくしておきましょう」

「仕方ありませんね・・・」


残念そうね?

そんなに好戦的だったかしら?

それにしても、よく巻き込まれるわね、私は。


野盗達は、乗客の腕を体の後ろに廻して、縄で縛っていく。


乗客の一人が、これからどうなるのかと聞いている。

奴隷は黙っていろ!と殴られた。

奴隷かぁ・・・

野盗っていうのは、本当にどこにでもいるのね。


飛空船が動き出す。

どこに向かっているのかしら?


野盗の飛空船に曳航されては飛行してはいるが、なぜかやけに高度を上げていく。

雲にどんどん近づいて、そして雲を越えた。

そして、目を疑う光景に出くわした。


「陸が空にある・・・」

「本当ですね」

「クーリエは驚かないのね?あなたの世界にあったのかしら?」

「いいえ。神の世界は、あんな感じですよ?」

「あ・・・そう・・・そうなのね」

「はい。こちらの世界でもあるんですねぇ」


飛空船が発明されてからだいぶ経つが、空に陸があるなんて話は聞いたことが無かった。

知らない事って多いわね。


空の陸の地下付近に大きな穴があり、飛空船はその穴に入っていく。

ゴン!という大きな音と、何かにぶつかったかの様な衝撃で、飛空船は停止した。


「おい!順番に並べ!これから降りて貰う!」


そう野盗の1人が大声を出し、甲板の扉が開かれる。

捕らえられた私達は飛空船から降ろされ、この空の陸の地下にある大きな牢に入れられた。

おそらくはこれから吟味され、振り分けでもされるのだろう。


しばらくして野盗の見張りが、

「明日それぞれ持ち場に配属される!今日はおとなしくしておけ!逃げ様なんて考えるんじゃねぇぞ!」

と大声で話した。


「持ち場って、何でしょうね?」

「さあ、労働でもさせられるのかしら」

「どうします?」

「そうね・・・」


捕まって檻に入れられた人数は30人程だ。

飛空船の船長と、1人だけ乗組員と思われる人物がいる。

他の乗組員達は、殺されてしまったという事かしら?


近づいて話しをしてみる。


「あなたは船長さんで間違いないのかしら?」

「はい。申し訳ありません、お客様。こんな事になってしまいまして・・・」


申し訳なさそうに頭を下げる船長だが傷だらけだ。


「クーリエ。治療してあげてくれる?」

「はい。わかりました」


クーリエに治療を任せて、知っている事がないか聞く。


「飛空船の失踪事件は、神殿とヘルンを結ぶ航路だと思っていました。まさか、クライネルとブランの航路で・・・」

「つまり、何も知らないと?」

「はい」

「この空にある陸の事は?」

「初めてです。聞いた事もありません」


手がかりは無しね。


「船長。あの乗ってた飛空船は、無事に動くのかしら?」

「動力部分は無傷なはずですし、降りる時に見ましたが破損も軽微だったと思いますので、飛べるかと思います」

「そう。じゃあ、もう少ししたら私達が暴れるから、皆を連れて飛空船で脱出出来るかしら?」

「え?お客様は?」

「私達の脱出は後で考えるわ。出来るの?出来ないの?どっち?」


船長は少し考えてから、無言で頷いた。


船長の腕の縄を緩める。

「これで少し力を入れれば抜けれると思うわ」


そして船長は乗組員と乗船客に、脱出の件を話しに行った。


「あとは・・・時間を見計らってからとりあえず暴れましょう」

「はい。腕が鳴ります!」


いつからそんなに好戦的になったのかしら?









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