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ヴァーベナル英雄物語  作者: 猫じゃらし
巻き込まれハーフエルフの英雄譚
109/117

第109話 ちょっと、何してるの?スコット

クライネルに到着する。


序章の開幕は、あのハーフエルフから始めよう。

屋敷に行き、見慣れた顔に挨拶をし、マリーを呼んで貰う。


「あら、スコット。久しぶりね」

「お久しぶりです」

「どうかしたの?」

「実は、ちょっと試したい事がありまして」

「試したい事?」


そう言って、少し離れた地面に、魔法陣を描き魔力をありったけ込める。


「ちょっと、何してるの?スコット」


魔法陣から黒い騎士が現れた。

上手くいったと、少しホッとする。

さて、始めまようか。


「全ての人族に制裁を・・・マリーさん、あなたが最初です。あなたに恨みは・・・ああ、ありましたね。申し訳ありませんが、死んで頂きます」


黒い騎士に命令を出す。

黒い騎士は、マリーに向かって剣で切り掛かった。


マリーの前に光の防御壁が現れ、黒い騎士の攻撃を防いだ。


「マリー様!」

「ありがとう!クーリエ!スコット!これはどういう事?」

「私に話しかけている場合ですか?」


黒い騎士は執拗にマリーに切り掛かる。


「たしかにね」


黒い騎士とマリー、クーリエが戦っている音に気付き、屋敷の護衛騎士達も続々と参戦してくる。


「スコットを捉えて!」

マリーは護衛騎士達に指示を出す。


クーリエの光のハンマーで黒い騎士はのけぞり、風の魔法の突風で黒い騎士を壁に打ち付けた。


スコットは護衛騎士達を相手に善戦していたが、魔力を込め過ぎたせいか足元が少しおぼつかない。

護衛騎士達は一斉にスコットを捉えに掛かったが、黒い騎士に全員なぎ倒された。


「なるほど・・・召喚者を守るわけね・・・初めて知ったわ」

「?マリー様。黒い騎士の様子が変ですよ?」


クーリエにそう言われて、黒い騎士をよく見てみると、スコットに剣を向けて頭を振っている。

スコットは何か言っている様だが、少し遠くてこちらには聞こえない。


しきりに頭を振る黒い騎士。

少し苦しそうだ。

そして、黒い騎士の剣がスコットを貫いた。


「スコット!!」

「これはどういうことでしょう?」

「クーリエ、来るわよ!」


黒い騎士はスコットから剣を抜き、こちらを向きなおす。


「召喚者の命令に従わなかったということは、暴走でもしているって事かしら?」

「だとすると見境なしなのでは?」

とクーリエのまともな返答後、黒い騎士との戦闘が再開される。


黒い騎士の一撃をかわしながら、風の魔法で応戦するマリーと、光のハンマーを振り回すクーリエ。

少しづつマリーが押され始めるが、クーリエの防御壁の展開が上手く、一進一退の展開が続く。


(暴走しているのなら、見境なくなっているのなら、ここで倒してしまわないと!これ以上、被害を出すわけにはいかない!)


マリーは魔王エレノアを苦しめたという父親の拘束魔法を展開する。

黒い騎士の動きが鈍り、やがて止まる。


クーリエの光のハンマーで横転する黒い騎士、マリーが肌身離さず持つ父親の炎の剣で首を切りに掛かる。


「くっ・・・硬いわね」


そこにクーリエの光のハンマーのダメ押しの一撃を炎の剣に打ち込み、見事首を落とすことが出来た。


黒い騎士は黒い霧となり消えていった。


「はぁー、なんとかなった・・・」

「マリー様ぁ。スコット君は大丈夫だとか言っていませんでしたか?」


こればかりは何とも言えない。

悪魔アスコットは確実に焼失させた。

スコット自体が歪んだとしか考えられない。


「たぶん、スコット自身が歪んだんだと思うのだけど・・・真相は永遠に不明ね・・・」

そう言って、こと切れているスコットを見る。


「そうですね・・・」

クーリエは周りの犠牲になった護衛騎士に目をやる。


その後、ヒューゴ達屋敷の者で、亡くなった護衛騎士達を安置所に運ぶ。


「スコット君はどうしましょうか?」

とヒューゴが聞いてきた。

「一応、灰になるまで全てを燃やしなさい。あの紙と本もね。悪魔アスコットに関係する物は全て排除よ」

「承知しました」

ヒューゴはスコットの遺体を郊外に運び、灰になるまで燃やしに行った。


「マリー様?」

「ああ、大丈夫よ、クーリエ。ごめんね。フィレーネ様からお預かりしているのに、危険な目にあわせちゃって」

「いえ、それは構わなのですが・・・本当に大丈夫ですか?」

「ええ、スコットはどうして歪んでしまったのかしら?全ての人族に制裁を・・・か」

「本当に何があったのでしょうね・・・」


スコット・・・

本当になにがあったの・・・


こうして、スコットによる謎の襲撃は終わった。


スコットが真相を語る前に亡くなってしまった事件は、関係者にものすごい後味の悪さだけを残していた。


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