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ヴァーベナル英雄物語  作者: 猫じゃらし
巻き込まれハーフエルフの英雄譚
104/117

第104話 スコット?スコット・・・アスコット!

ヘルンに来てからのクーリエは非常にがっかりしていた。

竜族の街なのに竜族らしくない、というのがクーリエの主張だ。

クーリエの竜族に対するイメージは一体どんなものなのだろうか?


クーリエのがっかり具合を少しでも上向きにさせる為、お店に入って食事を頼む。


特に竜族らしい物は無く、少しがっかりした表情のクーリエだったが、運ばれてきた食事は美味しかったらしく、表情は明るくいつもの感じに戻っていた。


なんとか持ち直したか、とホッとする。


食事が終わりお茶を飲んでいると、1人の青年が私達の前に現れ深々とお辞儀をした。


「これはご丁寧にどうも。どちら様でしょうか?」

「私はスコットと申します。昔あなた達に大変お世話になったものです」


(はあ・・・知らないわね)


「私達?」

「はい。250年ぐらい前でしょうか・・・ルーク島といいましたか、あぞこで」

「ルーク島・・・悪魔アスコットを葬った島ね・・・スコット?スコット・・・アスコット!」


私とクーリエは身構える。


「どうして!?あの時確かに・・・」

「そうです。私は、いえ、悪魔アスコットは消滅しました、完全に」


「では、あなたは?」

とクーリエが警戒したまま聞く。


「あの時、あなた方の結束がうらやましくて、願ったんです。生まれ変われるなら、人としてと。そしたら、人として生まれ変わりました。なぜか記憶付きです。不思議です」


「確かに不思議ね。私達に復讐でもしたいのかしら?」


「いいえ。そんなつもりはありません。ここであったのは単純な偶然です。それでぶしつけで申し訳ないのですが、少しお聞きしたい事がありまして」


聞きたい事?悪魔が?いや、今は人族か。


「それで?聞きたい事というのは?」

「ルーク島で私が使っていた家に、紙が数枚あったと思うのですが、白紙の。ご存じありませんか?」


あったわね。

あの紙に何かあるのね・・・

今はクライネル家が預かっているはず。


「何のことかわからないわ」

「見なかったということでしょうか?」

「そうね。見ていないわ」

「そうですか・・・」


スコットは考え込んでいる。


「その紙に何かあるの?」

「あ、いえ、私の調査結果が記されているだけなのですが」

「何の調査をしていたのかしら?」

「大悪魔デストロメアです」


「大悪魔?あの英雄王アノールと英雄アキーラが倒したという、大悪魔デストロメアかしら?」

「そうです。あ、厳密には大悪魔デストロメアを倒したのは、聖女マリアンヌです。英雄王アノールと英雄アキーラは、大悪魔デストロメアが召喚した黒い騎士を倒したのです」

「聖女マリアンヌが?」

「そうです。彼女は僧侶なのに、前衛としてとても優秀でして、天使の様な冷酷な悪魔の僧侶として有名でした」


「その後、大悪魔デストロメアと部下の悪魔1体は、ノステルリーグ王国の地下深くに幽閉されたと聞いています」

「それを復活させようとしていたの?」

「いいえ。大悪魔デストロメアの黒い騎士の召喚方法を探っていました。もちろん当時の私がです」


「今も召喚しようとしているのかしら?」

「いいえ。今の私では無理でしょう。召喚方法は解読しきれていなかったはずです」


「では、どうして探しているの?」

「大悪魔デストロメアは実は非常に弱いのですが、その魔力の膨大さと回復力のみで大悪魔になったそうです。話では、消滅させられた訳ではなく、消耗しきった所を魔力封じの腕輪で捕縛して幽閉しているそうです。ただ魔力封じの腕輪は、魔力の回復は疎外出来ませんので」


「魔力封じの腕輪を自力で破るということ?」


「そういうものも含めた調査の結果というか、記録をしていたのです。ただ、紙は無かったので、もう分からずじまいですが・・・」

「それ?もしかして、ちょっとマズイ状況?」


「紙を確認しないと何とも言えませんが・・・もう250年前の話ですから。魔力封じの腕輪は既に限界ではないかと。自力で破るには十分な時間ではないかと思います」


「なるほどね・・・今の話は信じられる話なの?」

「紙の調査内容を確認しないと、何とも言ええません」


「嘘はつかないしついていないと、神ジルニークと地母神エレノアに誓えるかしら?」

「はい。誓えます」


「ちなみに私は、どちらとも仲が良いから、誓いを破ったらひどい事になるけど、それでも誓える?」

「はい。誓えます。悪魔アスコットの記憶があるだけで、私自身は人族ですから」


「裏切る事も無いとも誓える?」

「はい。誓えます。むしろ、抗ってもあなた方には敵わないでしょうから」


ここまで誓えるならば、いいでしょう。

今は人族の様だし、悪魔だた時よりはたやすいでしょう。


「わかったわ。紙は本と一緒に、保管してあるわ」

「本当ですか?」

「ええ、ついてきなさい」

「わかりました」


終始クーリエは黙って聞いていた。

口を挟んでこないなんて意外ね。


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