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罪の鎖

二話完結のお話です。

あなたが死んで目が覚めた時、地獄にいたら思い当たる節はありますか?



「被告人を死刑に処する!」


 ガタン!

 少女殺害という、無実の罪で捕まった俺は、四月六日月曜日この世界を後にした。


 一瞬で意識を奪われた俺が目にした光景は一面真っ黒な何も無い世界だった。俺が自分が最後を迎えたことを実感していると、背後から首輪をかけられ突如現れたお地蔵様に引きづられた。


 お地蔵様に引きづられた先には光がさしており、お地蔵様は光に目掛けて俺を投げ飛ばした。


 投げ飛ばされた先には、空こそ暗いものの、生前と遜色がない街並みが目の前に広がっていた。街の中には俺と同じように鎖に繋がれている人が大勢歩いていた。鎖に繋がれている箇所も数も、人によって違うものの、その全てが天井にある門へと向かっていた。

「ん、どうしたんだ兄ちゃん。そんなとこに立ち尽くして。」

 自分の置かれた状況に困惑していると首と両腕が鎖に繋がれている小柄な男が俺に話しかけてきた。

「ここはどこなんですか?俺は死んだはずでは?」


 俺は頭に浮かんだ疑問を目の前の男にぶつけた。

「あ〜……お前さん、今さっき死んだばかりの新人さんか、それはご愁傷さま。ここは地獄だ。地獄にいるってことはお前さんが死んだかどうかは説明しなくてもわかるだろ?」


 ここが地獄?生前とそう変わらない街並み。生き生きとした亡者。俺が想像していた地獄とは何もかもが違った。

「まぁ、そう落ち込むなって。特別に俺が地獄を案内してやるから元気だしな!」


 戸惑う俺を見て励まそうとしてくれたのか、満面の笑みで笑いかけてくれた。


 男に連れられ街を歩くが街は娯楽で満ちており。やはり地獄の光景とは思えない。


 ひとしりきり案内をしてもらい、男が最後に連れてきてくれたのは、客で賑わうファストフード店だった。

「ここのハンバーガー、めちゃくちゃ美味いんだよ!せっかくだから一緒に食っていこうぜ!」


 男に連れられ店に入ると、鬼が従業員として働いており。一緒に入った男が二人分のハンバーガーセットを頼み、俺たちは席へと向かった。

「そういえば自己紹介がまだだったな!俺の名前は弥次郎。兄ちゃんの名前は?」


「達也です。あの、案内をしていただきありがとうございました。」


「困った時はお互い様だろ。それで?あんたは何して地獄に落ちたんだ?」


「俺は……」


 弥次郎さんに、自分が無実の罪で捕まり死刑に処されたことを伝えた。

「それは災難だったな……だけどよ、他に地獄に落ちるようなことをした覚えとかないのか?何もしてない人間が地獄になんか落ちるかね?」


「?」


 弥次郎さんに言われ少し考えたが、思い当たる節は見当たらない。なぜ自分が地獄に落ちなくてはならなかったのか甚だ疑問でならない。

「四十四番でお待ちのお客様〜」


「おっようやく俺たちの番号が呼ばれたな。」


 弥次郎さんとハンバーガーセットを受け取りに行き、先に俺がお盆を受け取った。ハンバーガーにポテトと飲み物がついていて見た目はどれも美味しそうだ。


 振り返り料理を運ぼうとすると、後ろに立っていた弥次郎さんとの距離が思いのほか近く、弥次郎さんの肩に料理を乗せたお盆が当たってしまい、弥次郎さんの服が飲み物で濡れてしまった。


「すっすいません!」


 俺が弥次郎さんに謝罪をすると、弥次郎さんは不敵な笑みを浮かべた。次の瞬間、弥次郎さんの左腕についていた鎖に繋がれた腕輪が高速で回転をはじめ、俺の右手に目掛けて飛んできた。


 飛んできた腕輪は俺の腕にピッタリハマり、外すことはできなそうだ。

「大丈夫か兄ちゃん!?あ〜俺から移っちまったか……それについて教えてやるから、とりあえず席に戻ろうぜ。」


 俺と弥次郎さんの二人が席に着くと、ハンバーガーを口にしながら鎖について教えてくれた。

「まず先に謝らせてくれ、本当にすまなかった!ハンバーガーを食べながら話すつもりだったんだがこうなる前に話しておくべきだった。」


 弥次郎さんは周りに聞こえるほど大きな声で俺に対して謝罪した。

「頭をあげてください!それよりこの鎖ってなんなんですか?外れる気配がないので普通の鎖じゃないのはわかりますが……」


「あぁ……その鎖の正式な名称は知らないが俺たちは罪の鎖って呼んでる。誰かに罪悪感なんかを抱いた人間に対して反応し、罪悪感を抱かれた人間から抱いた人間へと移る性質を持っている。」


「別に今のところ問題ないようなんですが、この鎖になにか問題があったりするんですか?」


「さっき言ったろ、これは罪の鎖だ。この鎖が多いってことはそれだけ地獄に来てから誰かに悪いことをしたってことだ。鎖の多いやつに近づくやつはいないし、受けれるサービスも違う。」


 そういい弥次郎さんは自分のハンバーガーセットに指をさした、弥次郎さんのハンバーガーセットは俺のと比べ全体的に量が少なく質素に見えた。

「そんでもって鎖は首に一つ両手両足に二つづつの計五つ最大で付くんだが……最大まで鎖に繋がれたらどうなるかわかるか?」


 弥次郎さんの問いに俺は首を横に振り答えた。

「お前もここに来た時に空に鎖が伸びてるのが見えたろ。五つの鎖に繋がれると鎖が空に引き寄せられ連れてかれちまうんだ。悪いことをしたやつに移る鎖が引き寄せられる……引き寄せられた先に何があるか考えたくもないね。」


「それじゃあ逆に鎖がなくなった人はどうなるんです?」


「いい質問だな!この地獄の中心には下へ下へと下る階段があってな、そこは鎖に繋がれたら状態だと絶対に降りることができない場所なんだ。周りから聞いた話だとその先には天国があるかもって話だぜ!」


 それからしばらく弥次郎さんの話は続いた。ハンバーガーを食べ終わり弥次郎さんにお礼を伝えた。弥次郎さんに聞いた話をまとめてみよう。


 一.誰かに罪の意識を覚えると相手の鎖が自分に移る。


 二.罪の鎖は最大で首、両手、両足の計五つ付くことがある。


 三.五つ目の鎖に繋がれた時空に引き寄せられる(恐らくよくない場所)


 四.地獄の中心には地下へと繋がる階段があり、鎖がなくなることで降りることができるようになる。(天国?)


 五.相手に鎖を移すために自分の中で言い訳をして騙してこようとするやつもいる。

 


 

 

 

 

 


 

 

 

この話は私の夢で見た内容に少し付け足してお話にしたものです。この【地獄の沙汰も気持ち次第】だけではなく私が投稿している作品は全て私の見た悪夢がモデルになっています。これからも自分のペースでまったり投稿していくので、もし少しでも気に入っていただけたら嬉しいです。

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