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月影のもとへ  作者:
6/46

5話

「俺は他の人たちの救援に向かう。厘はユウを保健室に」


そう言って、侺は踵を返した。


「わかった!俺もあとで行く」


厘もユウを担いで保健室へと急いで向かう。

まだ眠っているユウを保健室のベッドに寝かしてすぐに踵を返す。


その後の二人の活躍は凄まじかった。

侺が怪我している生徒をある程度回復し、厘が風魔法を利用して生徒を体育館へと運ぶ。

倒れている生徒を全員保健室に収容することはできないため、臨時の応急処置場として体育館が使われている。

悪魔襲撃時にも体育館へと逃げる生徒を見ていたが、結構な人数の生徒が逃げ込んでいたようだ。


体育館のは所狭しとマットやカーテンなど布製品が敷き詰められ、怪我人が横たわれるようになっている。

回復魔法が得意な教師や生徒が怪我人を治療して、その他の人たちが軽傷な人やある程度回復された人を手当てしている。

厘のように風魔法が得意な人は外にいる怪我人を体育館へと運ぶ。

まだグラウンドの方にも悪魔の攻撃を受けて重症な生徒が大勢いるため、保健の先生などの回復魔法が得意な人は外で応急処置を実施していた。


一般的なオリジンは魔力が無限にあるわけではない。

怪我をすべて回復せず、応急処置程度に留めて、残りは自然治癒に任せるよう、学園での講義で教わっている内容だった。


そうやって、しばらく怪我人の対応に追われていたがようやくひと段落ついたようだった。

厘と侺は怪我人を体育館へと運び込んで一息つく。

目につく怪我人はほとんど運び込んだはずだ。

厘と侺以外にも怪我人を運んでいる人がいたからあとは任せても大丈夫だろう。


体育館の中には、悪魔と対峙しようとした教員や生徒が大怪我をして横たわっている。

この学園には回復魔法のチェンジャーがいない。

一部の重症患者はオリジン程度の回復魔法では回復しきれないため、教会に回復魔法のチェンジャーを派遣してもらえるよう依頼している。

それまでは、応急処置として止血や、痛みを和らげる程度の魔法をかけて待つ。

幸い重症患者の数が少ないため、数人が交代で対応することでチェンジャーが来るまでの間は問題なく対応できるだろう。


「これで重症者は最後だ。あとは軽傷者のみで向こうへ案内してある」


「わかった、その重症者はここに寝かせてくれ」


侺は周りの回復魔法が使える人が全員対応中なのを見て、自分がその重症者を対応すると申し出た。

治療し過ぎないように気をつけながら、致命傷になりそうな傷をそっと治していく。


厘と侺はチェンジャー能力が開花した際、すべての能力が底上げされた。

もともとオリジンの中では力が強い方ではあったのだが、さらに強化された。


周りを見渡すと、ほとんどの生徒がこの体育館に集まっており、治療も問題なく進んでいるようだった。

教会から派遣されてきたチェンジャーも到着し、全体的に落ち着きつつある。


「とりあえずこれで俺たちの出来ることは終了かな。ユウの様子を見にいってくる」


「あぁ、そうだば。俺もいくよ」


厘と侺はクラスメイトの中でも特にユウとは仲良くしている。

大きな傷は完全回復したから大丈夫だとは思うが、心配なのだ。


体育館内もだいぶ落ち着いてきて、教師が指揮をとって動いているから問題ないだろう。

二人はそっとその場を後にする。

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