53話
「「おー!」」
はたまた従業員総出で出航の準備をしてくれる。
感謝しつつ、荷物の準備をする。冷蔵庫も備え付けられているので、
食料を買い込んで持ち込む。
「支払いは後日、アキラに持ってこさせますので請求書を傭兵団まで送っていただけますか?」
「おうよ!見積りが出来ていなくて悪いな。それと頭金サンキュな」
「いえ、今回はこちらが無理を言ったので。本当にありがとうございました」
「よし、準備完了だ!気を付けて行って来いよ!」
「はい、いってきます!」
出航した直後に船に乗り込んでくるものがいた。
みんなが警戒して乗り込んできた人物を確認すると、そこにはブレティラがいた。
「間に合った~!私も一緒に行く!いいよね?」
「ブレティラさんに来て頂けるととても助かります」
「ブレティラ、大丈夫?俺たちは魔王を…いや、悪魔と戦いに行くんだ。無事に帰れる保証はないけど…」
「大丈夫!私はあなたたちだから付いていきたいって思ったの。一緒に戦わせて?」
「ありがとう。すごく心強いよ。でも、無理はしないで。危険だと思ったらドライアドの森に帰すから」
「わかった。厘はやさしいのね。でもこれは私が自分で決めた事よ。大丈夫、私を信じて?」
「わかった。ありがとう」
そこからしばらくはみんなで船の中を確認し、部屋を割り当て、食料などの備蓄量を確認しつつ掃除や料理担当を決めた。
この船は魔力を動力源として動いているため、特に操作する必要もなく、目的地まで自動で運行してくれる。
また、魔力供給には魔石を利用している。魔石に関しては魔物襲撃事件から回収していたため十分なほど所持しているため特に問題ないだろう。
今回は厘と菫で船全体にバリアを展開した。これで弱いモンスターはこの船には手出しできない。
問題は、ジャウザに近づくにつれて悪魔が襲ってくることだ。海の上では逃げ場がない。
しばらくは問題ないと思うから、それぞれ好きなことをして過ごす。
ユウは釣趣味の釣りをしてみんなで新鮮な刺身を食べたりしている時に船に衝撃が走った。
「なんだ!?」
「菫さん、船周りの索敵お願い!」
「えぇ。なにもいません。それに、バリアを通過して船自体に衝撃を与えられたみたいです…」
「すぅ姉!船体の前方に凹みが出来てる!」
「前方から敵襲ですか、厘、気を付けて下さい。バリアはもう意味を成しません」
再び船体が揺れる。続けざまに厘たちのいる甲板にまで何かが飛んできた。
「うわぁ!」
衝撃と共に厘が吹き飛ばされる。厘がいた辺りに大きな黒い塊がめり込む。
これは大砲だろうか…?
「厘、次が来ます」
「わかった、方向さえわかれば!」
「風の精霊よ、飛来するモノを防ぎたまえ!」
風魔法を展開し、飛来物を受け止める。その飛来物を拾い、ユウが飛んでくる方向へ投げ返す。
「うぉぉぉぉぉ!」
「ユウ、スゲー!!」
飛んできたものを風魔法で受け止めて、それをユウが投げ返すを繰り返すこと数回。
攻撃が止まった。しばらく様子を伺うが、大砲が飛んでくることはなかった。
-見てきたけど、悪魔が乗った船が3隻、ユウが投げ返した大砲が見事に直撃していて大変そうだったよ-
「パール!サンキュ!」
「悪魔に私たちの進行がバレているということですね」
「まだ半分しか進んでないのに。厄介だね」
それからは悪魔の襲撃が頻繁にあった。
まず、厘の風魔法で悪魔の突撃を相殺する。
次にユウの身体強化魔法を使った体術で悪魔を吹き飛ばす。
それでも戻ってくる悪魔がいる場合は、菫とヨウの雷魔法で感電させて海に落とす。
この戦い方が悪魔襲撃の際に編み出した一番効率の良い倒し方となっていった。
しばらくすると、悪魔の襲撃がなくなった。
菫の索敵にはしっかり悪魔の気配が引っ掛かっているから、引き続き警戒はしつつ休憩することにした。




