50話
侺を連れて悪魔は、魔王のところへ戻っていた。
「魔王様、この度殺された悪魔の周りをうろついていたヒトを連れてまいりました」
魔王は侺を見て息をのむ。
それも一瞬で他の悪魔には気取られない様に、次の瞬間にはいつも通りに戻っていた。
はやる気持ちを押さえつけながら、侺へゆっくりと歩み寄る。
血の気がないが、息はある。だが、このまま放っておいたら死んでしまうだろう。
「ダークシード」
「はっ!」
呼ばれた悪魔、侺を連れてきた悪魔は魔王の前で跪き、次の言葉を待つ。
魔王は自分を律しながら慎重に声を出す。
「勝手な行動は慎め」
「お言葉ですが、魔王様。この人間どもは下っ端とはいえ同法を亡き者にしたのですよ?それを」
「黙れっ!」
「っ!」
「世界のモノが動いたという情報が入ってきている。これから力を付けた人間たちが俺たちを討伐しに来るんだ」
「それは…?どういう事ですか?」
「単独で行動するな。世界のモノを味方につけた人間は強いぞ。油断が命取りになる」
「かしこまりました…申し訳ありませんでした」
「ナイトグルーム、そこにいるな。ブラッドヴェンジェンスとヴォイドレイスにも伝えろ」
「承りました」
ナイトグルームの気配が消える。
ダークシードも下がらせて、侺と二人になる。
「侺…こんな形で再開することになるなんて。大きくなったな?厘は元気か?」
いまだに血が傷口から流れ出ており、息も細くなってきている。
魔王は侺の頭を優しくなでると、本来魔王や悪魔が使えるはずのない光魔法で侺を回復する。
傷口はきれいに塞がり、肺の損傷もきれいに治ったからなのか息も正常に出来るようになったみたいだった。
洗浄魔法を掛け、服も魔法で新しいものに変える。
「ホントは話したいけど、今はまだ駄目だ。しばらくは眠っていてくれ」
睡眠魔法を掛けると、侺を抱き上げて魔王の私室に連れて行く。
ベッドに優しく寝かせる。しばらく侺の寝顔を眺めていたが、そっと部屋を出ていった。




