48話
まずはブレティラをヨウに紹介すべく執務室に向かう。
「ヨウさん、戻りました」
「入ってくれ」
ノックし、挨拶をする。ヨウの返事が返ってきたから扉を開ける。
私はこれで、と言ってアキラが部屋から出ていく。
「おかえり、思ったより早く帰ってこれたみたいだね」
「はい、アースの作戦通りで無事に事が済みました」
「お手柄だったね、アース」
-あったりまえだよ!-
「僕の契約者は頼もしいね。それで、そちらの子は?」
「はい、この子をまず紹介しようと思いまして。この子はブレティラ、ドライアドの子です」
「はじめまして、ブレティラよ。お兄さんは?」
「ご丁寧にありがとう、ブレティラ。僕はこの傭兵団の団長のヨウだ。よろしく」
「ヨウ、傭兵団って何をするところなの?」
「大まかには街の護衛だよ。住民救助やモンスター退治がメインの仕事になるかな」
「モンスターとも戦うの?」
ブレティラはキラキラした目でヨウを見ている。あまりブレティラの話を聞けていないが、モンスターと戦う事を期待している様だった。
クリビアから聞いた話だと、ブレティラは好奇心旺盛で、少しヤンチャであり、好戦的という事だった。
本人は好戦的であることを隠しているようだが、周りには目に見えてわかっていたそうだ。
安全なドライアドの森に居たらモンスターにも遭遇出来ないから、森から出たくて仕方なかったらしい。
ただ、まだ幼いからと周りのドライアドが過保護に対応していた。
クリビアは今までの厘たちの戦いを見ていたらしく、ブレティラを預けても安全だと考えたらしい。
魔王と戦う事が安全かといわれると違う気もするのだが、そこも含めて役に立ってこいとの思いも込められているらしい。
過保護なのか鬼畜なのかどちらなのかわからないが、ブレティラは厘たちに預けられたのだった。
「戦いますよ。ブレティラさんは私と一緒に行きましょうか」
「菫姉さまと一緒に?わかった!」
すでに菫の強さに惹かれているみたいで、菫にかなりなついている様だった。
ユウも気になっているみたいだが、ユウは直接は戦闘には出ないため、今回は菫についていくみたいだった。
「ユウさん行きましょうか」
「はーい」
「厘、俺たちも行くぞ」
「りょーかい」
今回は厘と侺、菫とユウの2手に分かれての行動だ。
凶暴化していないモンスターしかいないから、街に入ってくることはないのだが、
狩にも出ることが出来ないくらいモンスターとの遭遇率が上がっているらしく、
少しでもモンスターの数を減らすのが今回の任務だ。
厘たちは西に向かって、菫たちは東に向かってモンスターを一蹴することにした。
今まで戦っていた傭兵団の人たちには今日は休んでもらう。
休みを交代しながらモンスターの討伐を実施していく予定だ。
「ユウさん、行きましょうか。みなさんの食料を確保しに」
「…たまに菫さんの発言ってズレているんだよなぁ」
菫は聞こえていたけど聞こえなかったふりをして街の外へ向かう。
ユウもそれに続いて移動を開始する。
まず、街の外に出た瞬間に待ち受けていたモンスターの襲撃にあった。
ゴブリンが棍棒を振り上げて待ち受けていたのだ。
「あら、索敵にしっかり反応していましたよ」
視線は進行方向に向きながら、サイドから襲ってきたゴブリンを闇魔法で倒す。
数十匹いたが打ち漏らすことなくすべて仕留める。
ユウも気を引き締める。
速度、防御、攻撃力全てアップ。
菫の索敵で場所を教えてもらい、光魔法を使った弓矢でモンスターを倒していく。
ブレティラも植物を操りながらモンスターを倒す。
「いっくよー!」
ブレティラは巨大な植物を召喚し、その植物の口の中に蔓で縛り上げたモンスターを次々と投げ入れていた。
大きな花の形をした、牙だらけの歯が生えた植物が投げ込まれたモンスターを噛みちぎる光景は少しおぞましかった。
思った以上の戦力に菫とユウはブレティラの邪魔をしない様に戦った。
西の街まで全速力で移動しながらすべてのモンスターを倒した。
傭兵団のメンバーも数日に掛けてモンスターの数を2/3までには減らしていたのにもかかわらず、
わずか数時間で倒し切ってしまった。
一方、厘たちも東の街に向けて出発していた。
「厘、あっちに5体、鳥系のモンスターがいるから頼む!俺は向こうのスライム系モンスター10体倒しに行ってくる」
「了解!」
索敵に引っかかるモンスターをなるべく得意分野のモンスターと対峙するよう、手分けして倒しながら進んでいた。
あと少しで東の街に到達しそうなところで悪魔が近づいてくるのが分かった。
「厘、悪魔が来てる」
「え!?悪魔?だったら街から離れた方が良いよね」
侺の返答を待たずに厘は来た道を戻っていく。
侺もそれに続いて後退する。
「来る」
侺が言葉を発した瞬間悪魔からの攻撃が厘と侺に向けて繰り出された。
それを紙一重でかわすと、反撃に出る。
しかし、二人の攻撃は軽くかわされる。
「侺、こいつかなり強い」
「あぁ、ちょっとヤバいかもしれない」
-俺様達も加勢するぜ!-
キールとレインも臨戦態勢をとる。
世界のモノたちは直接悪魔に攻撃する事も出来るが、基本的には自分の力を契約者を通して強化する方法をとる。
今回もキールの炎の魔力とレインの氷の魔力をそれぞれ厘と侺へ送る。
地下神殿で何度も練習を重ねたから問題ないが、最初のころは大量の魔力を渡されて魔力酔いをしていた。
かなりな魔力量を譲渡される。
その力を持って二人の最大の技を繰り出す。
「炎龍よ、すべてを焼き尽くせ!」
「氷龍よ、すべてを凍てつかせろ」
炎で形造られた龍と氷で形造られてた龍が絡み合って悪魔へと真っすぐ向かっていく。
炎の龍と氷の龍で悪魔を覆いつくすと、大きな爆発をおこして龍たちは消えていく。
全て焼き尽くしたと思ったのだが、煙の中から人影が見えてきた。
「え、まさか俺たちの攻撃が効いてない…?」




