44話
「え!?さっきレベル100以上を見たことないって…」
-菫がレベル100になったのは数日前だね。菫は相当努力したはずだ。じゃなきゃヒトでレベル100なんて超えられない-
「すぅ姉…」
二人は、兄がいなくなってからの菫を知っている。毎日力尽きるまで魔法を使用した訓練を行っていた。
あの時の菫は少し叩いたら壊れそうなほど弱っていた。まるで何かに取りつかれた様に毎日毎日魔法の訓練を実施していた。
「俺たちも頑張らないとだね!侺」
「あぁ」
「僕は世界のモノと契約したのはつい最近なんだけど、なんでレベルが高いのかな?アース、分かる?」
-ヨウはチェンジャーだから。チェンジャーはあるきっかけでレベルが爆上がりするんだよね-
「レベルが爆上がり…?そのあるきっかけって言うのは何?」
-それはヒトによって違うんだけど、ヨウの場合は魔力操作を覚えたことでレベルが上がったんだと思う-
「そういうことか。つまり、世の中のチェンジャーはレベルが高いんだね」
-一般的なノーマルはレベル5前後、オリジンでも8~10、チェンジャーで20前後だと思うよ-
「僕は一般的ではない部類って事かな」
-うん、ヨウはヒトがチェンジャーとして覚醒した中では一番強いよ-
-あ、ちなみに契約前のヨウのレベルは50くらい。その時の厘と侺は40くらいだったよ-
「うん、少し強い自覚はあったけど…そこまでとは」
悪魔を倒したから、残りは凶暴化したモンスターを倒す必要がある。
たぶん、特訓を実施した傭兵団であれば問題なくモンスターを倒すことが出来るだろう。
ただ、西北の街の傭兵団は訓練初日のため、しばらくはヨウたちで対応することにする。
1月あれば今の倍くらいの強さにはなっているだろうという事で、1ヵ月は訓練の機関にあてることにした。
魔力操作は習得できなくても、基礎レベルが上がるため、とりあえずはモンスター殲滅に影響ないくらいには強くなっていった。
「さ、そろそろモンスター殲滅戦といきますか」
街に来た凶暴化したモンスターはあらかた倒し終わっているので、残りは森にいるモンスターを倒せば、
ムトス全体の安全が確保できる。まぁ森から出てこないモンスターは放置しても問題ないと思うのだが、
凶暴化しているから放置するのもよくないなという結論に至った。
「各傭兵団の訓練を終了して、各小隊を組んでからモンスター殲滅戦を開始する」
まず、南の街の傭兵団は5名1チームで小隊を組み、南の森に入り、東側経由で北を目指す。
西側の傭兵団も同様に5名1チームで小隊を組み、更に半分に分けて南と北それぞれを目指す。
西北の街の傭兵団は北をめざしつつ、北までたどり着いたら中央まで向かってボスを捜索、
見つけ次第ヨウに連絡し、ボスを倒しに行くというのが今回の作戦だ。
菫、ユウは南の街にいるため、そのまま傭兵団の小隊に組込まれる。北の街まで行く必要があるため、戦力が必要なのだ。
厘と侺はヨウと一緒に西北の街に残ってボスの発見を待つことにした。
西北の街と西の街の傭兵団はまだレベルが低いため、実践にて経験を積んでレベルを上げよう作戦を実施するのだ。
それぞれ作戦を聞いて準備を開始する。
作戦実行開始は明日の12:00だ。
そしてついに作戦実行開始時間になった。
各拠点とモニターで繋いでヨウは作戦開始を宣言する。
「みんな、これまでの数か月、本当にありがとう。1年かかるかと思っていたモンスター殲滅計画も、あと少しで終了する。
早く終わらせて通常の暮らしを取り戻そう!」
「「おぉー!!!!」」
各拠点からモニター越しにもみんなの闘志が伝わってくる。
この殲滅戦が終われば、次は街の復興だ。まだやる事は山積みだが、避難所からの解放は大きな前進になる。
「作戦開始!全軍出陣!!」
ヨウの号令で傭兵団は一斉に森の方に向けて出発した。
それからは順調にモンスターの討伐が完了していく。
特に、南の街の傭兵団は魔力操作をマスターした人が多く、すごいスピードで北の街まで向かっている。
西の街の傭兵団は数が少ないが、だいぶ魔力操作が出来るようになっていたため、だいぶスムーズにモンスターの討伐が完了していった。
西北の街の傭兵団は経験が浅いが、ヨウが現地にいる事により、士気が向上していた。
大きな問題もなくすべての地域で次々とモンスターの討伐が完了していく。
そんな中、ボスと思われるモンスターが目撃されるようになってきた。
どうやら、ムトス中央の山に向かっている様だった。
それはつまり、山のドラゴンにすら挑戦しようとしているのだろうか?
さすがにドラゴンと戦うつもりはないので、山に入る前に見つけないといけない。
目撃情報があった方向に向かいながら索敵を行う。
「ヨウさん、ここから少し南の方角に強いモンスターの気配があります」
「ありがとう、すぐにそこへ向かおう」
気配のした方へ向かうと、今まで倒したモンスターより明らかに強そうなモンスターが山の方へ向かっていた。
先日倒した悪魔と同等かそれ以上に強そうだった。
「鑑定」
ダークネス・ブラッド、レベル99、属性:風、サブ属性:闇、特性:耐水、弱点:光魔法
「レベル99!?って事はかなり強いんじゃ…」
「いや、厘くん、大丈夫だと思う。ダークネス・ブラッドには弱点が存在しているから、弱点で攻めたらいいんじゃないかな」
-さすがヨウ、その通り。弱点があるモンスターは弱点の魔法で倒すのがセオリーだ-
「光魔法ならすぅ姉の得意分野だ。侺、あの技試してみようぜ!」
「あれってあれか?」
「うん、上から光が降ってくるやつ!」
「あれは複数相手に効果を発揮する技だぞ」
「うん。だから、それを1点に集中させて串刺しに!どうかな?」
「まぁ、やってみるか」
「うん!」
「じゃあ僕は足止めしようかな?」
「助かります!ヨウさん!」
「風の精霊よ、彼の者を捕らえよ」
山の方へ向かっていたモンスターを風の檻で閉じ込める。




