42話
「二人には西の街の傭兵団の底上げをしたら西北の街に来てもらいたい」
「もちろんそのつもりです。そのためのモモさんたちを希望しました。彼女たちなら俺たちの代わりに訓練出来ます」
「さすがだね!とっても頼もしいよ。じゃあ、僕は出来る限り悪魔の気を引くからよろしくね!」
ヨウはスピードを上げると一人で先に西北の街へ向かってしまった。
「はやっ!」
「俺たちじゃまだまだヨウさんに敵わないな…鍛錬あるのみだ」
「おう!」
少しスピードを上げて進む。ちなみにモモ部隊はもう少し後ろを進軍中だ。
団長をはじめ厘たちは化け物だと誰かが呟いていたが、誰だったかはわからない。
西の街に着いてからはすぐに住人の避難の指示を出し、傭兵団には訓練を実施するため集まってもらう。
思った以上に傭兵団の人数が多かったため、住人の避難の手伝いと訓練の2手に分かれてもらった。
「まずは実践します。これ見て要領つかんだ方は各自で訓練して下さい」
「次にドレインもします。無理やり魔力を動かすので、魔力酔いした場合はすぐに教えて下さい」
早速訓練を始める。厘は実践で、魔力の流れを可視化して見せる。
要領が良い人はそれを見ただけでイメージは湧く。訓練を開始する。
ノーマルの人を集めて侺が菫直伝のドレインを発動していく。
ノーマルの中でも半分の人が魔力摘出に成功した。
これで少しは底上げになっただろう。この後は訓練あるのみだ。
「魔力操作は早くて2か月弱かかります。それくらい難しい内容ですが、確実に強くなれます」
「すぐに出来なくて当たり前と思って、訓練を続けて下さい。近いうちにここは戦場となります。
少しでも力を付けて、敵と対峙しましょう」
「それと、今日の訓練だけでもきっと成果を感じられると思います。
各自、魔法を発動してみて下さい。普段より強力な魔法が発動できるはずです」
「おぉ!ホントだ。威力が上がってる!」
「少し魔力の流れを意識しただけでこんなにも威力が変わるのか!?」
「これは…魔力操作出来る様になったらどれだけ強くなれるんだ…?」
「それには私がお答えしましょう」
住民の避難を誘導していたモモが、訓練場の方へ交代の知らせにやってきた。
今まではこのくらいの威力だったと、魔力を弱めて魔法を発動する。
その後、魔力操作を完璧にこなした状態で魔法を発動する。
目に見えて、5倍以上の威力に上がっていた。
また、モモはもともと魔力の流れを把握することは早かったため、厘みたいに魔力の流れをエフェクトを付けて披露したことにより、
より魔力の流れと威力が伝わったみたいで、訓練を受けた傭兵団のメンバーの士気向上につながった。
避難誘導係と訓練側の交代を行い、再び訓練に入る。
訓練に入る前に、モモの魔法実演を見せたおかげか、最初から傭兵団のメンバーのやる気が物凄かった。
無事に伝えれる内容を伝えた二人は、住民の避難が完了したタイミングでヨウのいる西北の街に向けて出発した。
残りはモモたちに訓練を引き継いでもらった。
「魔力操作は訓練あるのみです。菫さん直伝のドレイン、習得しましたので気を失う直前まで実施しましょう!」
怖い言葉を聞いた気がするが、聞かなかったことにして西の街を後にする。
「なぁ、侺…死人でないよね…?」
「たぶんな。そこまで鬼じゃない…と思う」
どちらにしろ俺たちが悪魔を倒せなかった時点でムトスは全滅する。
少しでも戦力の底上げしてもらってまずは地上のモンスターを討伐してもらうしかないのだ。
ほぼ1日遅れでヨウのいる西北の街にたどり着いた。
地下の入り口を確認し、周りに悪魔やモンスターがいないことを確認し中へと入る。
すると、怒声が聞こえてきた。いや、これは訓練している時の返事だろうか。
「「オス!!!!」」
「はい、じゃあ解散して各自特訓開始!」
「「オス!!!」」
最大級のオスという言葉が地下内に響き渡る。
しばらく訓練の様子を確認していると、ヨウがこちらに気付いて近寄ってきた。
「厘くん、侺くん。もう来たんだ?」
「はい。住人の避難はすぐに完了したので、訓練はモモさんたちに任せてます」
「それにしてもヨウさん。外まで訓練兵の声聞こえてきたよ」
「あはは。ちょっと張り切っちゃった」
「悪魔はまだここにはいないんですね?」
「うん。周りを探索したけどいなさそうだった」
「探しに行きましょうか?」
「そうだね。早いところけりを付けた方が良いだろうし、ね」
ヨウと3人で地上に出る。早速モンスターに出会うが、1体のみで大きめのサイの見た目をしたモンスターだった。
あまり悪魔と対峙する前に消耗したくないから、魔法は使わず剣で対応することにする。
傭兵団から剣を借りてきたのだ。ただ、訓練用の量産型の剣のため、強化魔法は使用する。
ユウほどではないが、強化魔法はそれなりに使えるのだ。
「よっしゃ、まずは俺から行くぜ!」
「あぁ、頼んだ」
厘がまずモンスターの前に躍り出る。すぐさま剣を振り上げて切りつける。
さすがにサイなだけあって、皮膚が硬い。
「うぉぉぉぉ!」
厘は力で押し込もうとするが、モンスターは厘の剣から抜け出す。
その抜け出した方にはすでに侺が待ち構えていた。
「はぁぁぁぁ!」
侺はモンスターの目に剣を突き刺す。
モンスターは断末魔の叫びを上げながら倒れる。
「二人の連携はさすがだね」
「ずっと一緒に訓練してきたから、なんとなく動きがわかるんだよな」
「はは、厘くんは感覚派だからねぇ。侺くんは計算して動いているけど」
え?そうなの?などと雑談しているところへ急激に魔力の塊が近づいてきた。




