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月影のもとへ  作者:
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39話

「アキラさんもう行っちゃった。行動が早い人だね」


「そうなんだ。彼には本当にお世話になっているんだよ」


「なのになんで3日間もお兄さんの方へ行かせたりしたんですか?」


「兄さんたちが今の状況に慣れるまで3日はかかると思うんだ。次期領主がポンコツだと言われないためにも、アキラに手伝ってもらって完璧に住民たちの指示を得ないと、これからの生活が難しくなるんだ。通常時に領土を管理するのは当たり前で、非常時にどう動くことが出来るかで良い領主かどうかが判断されるんだ。もちろん領主だろうと人間だし突然の事に混乱すると思うよ?けど、一般市民には領主に導いてもらわないといけないんだ。そのために税金や年貢を納めてもらっている。非常時にどう動けるか、最初が肝心なんだ」


「難しいことはわからないけど、なんとなくわかった。とりあえず、アキラさんはかなり出来る人で、

 大事なタイミングで領主さんたちを助けてくれる存在って事ね」


「ふふ、厘くん、そんな感じだよ」


「傭兵団の部屋割り、住人の振り分け手順、係の決め方と配置も全て対応してくれたのはアキラなんだ」


アキラさんが主導する事で回りも動き、スムーズに対応できるようになったらしい。

たしかに、冷静に対応人がいるとその人に影響を受けて周りが見えてくることがある。

淡々と自分の役割をこなしているアキラの姿は、確かにみんなに影響を与えていただろう。


「なるほどね」


「アキラさんってすごい人なんだね」


それぞれ違う感想ではあったが、ヨウの言わんとしていることを二人ともそれぞれ理解したみたいだった。

あとは食糧調達の件はどのように対応するのかを話し合っているところらしい。


「食料に関しては、傭兵団で地上に出てモンスターを狩ってくる方法を実施しようかと思っているんだけど、どう思う?」


「モンスターを狩りに行くのは問題ないと思います。野菜などの他の食材は地下で栽培しているものもあるって聞いたのでそこも問題ないかと」


「水道も引かれてて特に不自由はなさそうですよね」


「そうなんだ、二人とも情報をしっかり仕入れてくれていて助かるよ。でも一つだけ問題があって」


「調味料ですよね」


「そう。塩も砂糖もストックがあるにはあるんだけど、さすがにそれだけだと飽きてしまうから。

 食事のレパートリーは生活において最も重要視するべき項目なんだ」


避難所生活とはいえ、なるべく普段通りの生活が出来ないと、得も言われぬ不安に駆られる。

その不安が犯罪者を生む可能性も秘めているのだ。

そこで、いつも通りの生活が出来るように工夫していく必要がある。

もちろん、無理な場合はどうしようもない。

だが、不可能ではないのだ。


「地上に出て取りに行く事も出来ますけど…しばらくは悪魔を警戒した方が良いと思います」


「うん、そうだよね。たぶん悪魔が巡回しているはずだ。そしてムトスから出られないことでどういう行動に出るかわからない」


「悪魔を倒すのが今回の最終目標で良いですか?」


「うん。そうなるね。大変だけど」


「わかりました。ではまず地上の情報収集に行きます」


「そのついでに調味料を街から拾ってきてくれると助かる。まぁ他にも入手ルートはあるのだけれど」


「それは最終手段として取っておきましょう」


厘は今日の晩飯狩りに行くぞとやる気満々だ。

まずは調味料の調達、食料となるモンスターの狩り、悪魔の所在地確認が急務だ。

様子見もかねて一度地上を見てこよう。


「出入口は傭兵団の団長室に作ってあるからそこを使ってくれ」


「わかりました、行ってきますね」


二人は団長室から地上へ向かう。


街の破損状況を確認すると、建物は思ったよりは破壊されていなかった。

凶暴化させられているとはいえ、自我はかなり残っているようで、人の気配を探りつつ街中を移動していたみたいだった。

だが、破壊を好むモンスターもいるから、いつ街の建物が破壊されるかはわからない。

今でも破壊されずに残っている建物にはバリアを貼っておくことにする。

少しでも被害が減るならそれに越したことはないのだ。


「この街は比較的被害が少ないっぽいね」


「そうみたいだな。モンスターも人の気配がする方へ向かって行ったんだろう」


「そうだね。今のうちにバリア貼って被害を減らさないとね」


バリアを貼りつつ、調味料の調達、モンスターの気配があったら狩ることを繰り返す。

ある程度バリアを貼り終わった頃には食べられるモンスターの捕獲も完了した。

悪魔も今はこの街にはいないらしく、遭遇することなく終わる。


「よし、一度地下に戻ろう。肉が足りないようならもう一度狩りにこればいいし」


「そうだな。戻ろう」


30頭の牛型のモンスターと10羽の鳥型のモンスターを持って帰る。

早速食事係に渡す。

各区毎に分かれて作業することになるみたいで、それぞれにモンスターを支給していく。

これで今日の食事は何とかなりそうである。

日の光がなくても育つ食材も栽培できる施設が備わっている。

ここまで充実した避難所は見たことも聞いたこともないから本当にすごいと思った。


「あとは訓練?今日から実施するのかな?」


「あぁ、今から訓練を実施した方が良いだろうな」


「訓練自体は2組に分かれてやる感じだよな?俺とユウが実践」


「俺とすぅ姉が魔力の流れだな」


「よっしゃ、やりますか!」

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