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月影のもとへ  作者:
39/56

38話

ヨウのところへ向かうと、すでに幹部たちはそれぞれの持ち場に戻ったらしく、ヨウとアキラの二人のみだった。

アキラはヨウの秘書的な立ち位置らしく、ヨウへのアポイントメントなどは全てアキラを通して行われるらしい。

曰く、ヨウに任せると全て二つ返事で承諾してしまうため、アキラが管理する事にしたとの事だった。

詰め込めば時間かけてでも対応できると言って夜中まで打ち合わせを入れたおかげでひどい目にあったのだとか。

それはぜひともアキラさんに管理してもらいたいとみんな思っていることだろう。


「ごめんね、本当は休憩させてあげたいんだけど…」


「いえ、それはヨウさんも同じですよね。俺たちは大丈夫です」


「ありがとう。二人を呼んだのは、お願いがあって。まず、この地下運営に関する役割分担として、区画ごとに担当者を決めて管理、運営をして毎朝と夜に報告会を実施したいんだ。街全体となると区画数が多くて二人にも手伝ってほしいんだ。担当者は1区画に4~5人程度を予定してる。菫さん、ユウくんと4人で担当してほしい」


「具体的には何をしたらいいんですか?」


「俺たちが担当者?新人だけど大丈夫なのかな…」


「まず、実施してほしい内容は担当区画内のパトロール。そして君たちに担当してもらう区画だけは少し特殊で、傭兵団が居るこのエリアをお願いしたい。やってもらいたいことは主に2つ。1つ目はパトロールを兼ねた傭兵団メンバーの体調などの確認。2つ目は傭兵団の訓練。実はこれがメインでお願いしたい内容なんだ。」


「訓練って俺たちが教える側ですか?」


「お願いしたい。俺は領土の関係もあって時間が取れそうにないんだ」


「確かにそうですけど…新人の俺たちに務まる内容ではない気がするんですけど」


「そこは大丈夫。君たちの事は、俺が連れてきた講師だと伝えてある」


「それにあの動き、魔物の討伐を見せられたら納得するしかありません」


「そういえばアキラさん、隣町の方はどうなっているんでしょうか?」


「はい、隣町の住人もすでに地下避難所への移動完了済みです。幸い、隣町は住人の数が少ないので避難が素早く済んだため、早急にこちら側に戻ってくることが出来ました」


「そうだったんですね、ありがとうございました」


「この地下は隣町までつながっているんだよ。本当は東の街も繋げたかったんだけど…」


「仕方ありません。あそこは北の街からの支援で成り立っているので」


話しの流れから、ここと北の街の関係はよくないようだった。

近い街ほど関係は良好なように思える。

ムトス内の情勢は思ったより複雑らしい。


領主が住んでいるこの南の街は領主直下の傭兵団が仕切っているのだが、

東、西、北にある傭兵団はそれぞれの地域での自主的な傭兵団となっている。

ちなみに南と西の間にある隣町は、南の街の管轄となっており、ヨウたちが管理している。

また、西北の街は隣町同様傭兵団が居ない地域のため、西側の街の管轄となっているのだが、

隣町との情報共有システムが確立しており、情報伝達が早いらしい。

そのため被害も少なく済んでいる。やはり情報伝達はかなり重要である。


各街の情報をすでに確認できている情報網にも驚きを隠せない。

街を荒らしたモンスターが次にどうするのかというと、ムトスから出て他の領土への移動を考えるだろう。

だが、ムトスには結界が貼られており、モンスターがムトスから出ることは不可能である。

森にも戻ることが出来ない。そうなると、ムトス内に残ったモンスター同士の争いが始まるのだ。

ヨウ率いる傭兵団が地上へ出ていき、モンスターの討伐を実施していくのが今後の任務になりそうだった。

モンスターを排除しきるのに数か月、もしかしたら1年単位での時間が掛かるかもしれない。

しばらくは様子見をしてモンスター同士の争いが落ち着いてきたら討伐に出る。

それまではここでの生活を確立させる必要がある。


幸い、転移魔法が使えるため、ラルク・ウムグへの買い出しは厘たちであれば行える。

もともとこの地下は避難所として作られたため、食料などの備蓄もそれなりにしてあった。

ほぼ普通の生活が出来る様になっていた。


「ここまでの地下施設をよく建設できましたね」


「ムトスは元々ドラゴンが住みついている地域だったから、いつ天災が起きてもおかしくないんだ。だから、先々代の時代から少しずつ地下施設が整備されていったんだよね。完成したのもつい最近で、今は他の地域との行き来が出来る道を繋いでいる段階なんだ。ただ、東の街の方向へは一切進めれてないのが現状だ。隣町、その隣の西の街、更にその隣の西北の街まではつながっているよ」


「ここまでの避難所をそんな昔から…」


常に手入れされていたのだろう。すぐに住むことが出来る建物がずらっと並んでいる。

傭兵団に割り当てられた地域に行くと、すでに部屋割り表が作成されており、部屋の鍵も渡された。

造り自体は傭兵団の寮とほとんど変わらないため、特に問題なく済むことが可能だろう。


一般市民の方は、家族ごとの住まいと単身の住まいに分かれており、それぞれ申請順に割り当てられていく。

次に、住民の役割を決める。公平にしたいのだが、出来る出来ないがあるため希望制にしている。

武器の作製と手入れは必要ないから、食事係、掃除係、食材の仕入れ係に分かれてもらう。

そして、建物ごとに代表者を選出し、週に1度集会を開き情報共有および展開、1週間の仕事内容などを連絡することにした。

そこで生活における要望などの吸い上げも行い、改善していく予定だ。

ここまでの段取りを進めてしまえば、あとは領主に任せても問題ないだろう。


「とりあえず傭兵団で出来ることはこれで終わりかな。あとは領主に任せよう」


「かしこまりました。その様に伝えてきます」


「アキラ、しばらくは兄さんについててくれないか?」


「お言葉ですがヨウ様、カズキ様にはすでに秘書が3人もおります。私までは必要ないかと…」


「必要になるんだよ。3日間だけで良い。よろしく頼むよ」


「は、かしこまりました」

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