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月影のもとへ  作者:
37/56

36話

ユウも持ち場に到着する。学園の先輩たちが戦っているのが見えた。


「先輩、俺も加勢します!」


「ユウくん!?危ないから下がってて!」


制止されるが、ユウも戦うために来たので引くわけにはいかない。

大丈夫!と言いながら先輩たちの前に出る。身体強化を自身に掛けて身構える。

さっきも倒した要領でモンスターたちをなぎ倒していく。

それを見た先輩たちは驚きつつも、ユウに合わせてモンスターを攻撃していく。

そこでユウはふと気づく。先輩たちにも身体強化掛けれるかも?

掛けちゃえ、と強化魔法を重ね掛けする。

すると、見違えるくらいの威力を先輩たちが出し始めて、ユウの出る幕がなくなってしまった。

そっか、俺支援系が得意なのか!

そこからユウは支援魔法と回復魔法を駆使し、先輩たちの補佐をすることにした。

ユウも時々はモンスターを倒しに行くが、支援を優先した。

この持ち場も問題なく対応出来るだろう。

菫は移動中の前衛部隊に合流した。

持ち場に到着すると、すでに十数体のモンスターが森から出て来ていた。

前衛部隊の5人は菫は回復担当として派遣されたと思ったのか、菫を囲むフォーメーションを取った。

だが、菫の一番の得意魔法は闇魔法であり、攻撃魔法が得意なのだ。

前衛部隊に守られながら、闇魔法を発動する。

すると見える範囲のモンスターは全て闇に飲まれて骨となって転がっていた。

その魔法を見た前衛部隊のメンバーは菫にひれ伏すと共に絶対の服従を誓ったのだ。

厘は前衛部隊に追いつきつつ、先に向かうと言って一人かけていく。

持ち場に着いたと同時に炎の範囲攻撃を繰り出し、モンスターを殲滅する。

危うく森に引火しそうになり、遠くから水が飛んでくるのが見えた。

森から出てきたモンスターを倒していたら少し東から炎の柱が見えた為、危険を察知して森に雨を降らせたのだ。


「あのバカ、森に引火したらどうするんだよ」


そんな事をつぶやきながら、目の前の敵を氷の剣でなぎ倒していく。

前衛部隊が到着するころにはすべてのモンスターは切り倒された後だったという。

そんな感じで第1陣は押しのけることが出来た。

だが、この後に争いに負けた種族がまとまって森から出てくる。

今倒した比じゃない数のモンスターが出てくるはずだ。それを全て倒し切らないといけない。

これからの事を考え、各前衛部隊はそれぞれ作戦やフォーメーションの確認を念入りに行う。

それでもたった6人ずつで対応出来る量のモンスターではないと予想される。

少しでも時間稼ぎをし、防壁を作成しつつ、更に遊撃隊の準備も進めている。

住民の避難は順次行っており、地下フィルターに移動中だ。

街への被害は最小限に抑えたいところである。

これからの戦いで一番不利なのは、厘のところであろうか。

森を焼きかねない為、厘が全力で魔法を使えないためどうしても威力が落ちるのである。

森から少し離れた所へ誘導して倒すことも視野に入れているが、うまく誘導されてくれるかがわからないため慎重に判断しないといけない。

どれくらいの時間が経ったのだろう。

たぶん、時間的には30分程度なのだが、数時間経った気がしている。それほどみんな気を張り詰めているのだ。

そろそろ第2陣が来る頃だろう。

森の方から獣の咆哮が聞こえてくる。

これは勝利の雄叫びだろう。という事は、負けた種族が森から出てくるはずだ。


「そろそろ第2陣が来るので、準備お願いします」


厘とユウは感覚で、侺と菫、ヨウは気配や足音で第2陣の到来を確認した。

傭兵団の人たちはそれぞれ驚愕しつつ、ヨウとヨウが派遣してきた人材という事で絶対の信頼を寄せていた。


「各人備えて!」


そこからは森から出てくるモンスターを倒して、回復して、倒しての繰り返しだった。

菫とユウはサポートに徹して、厘と侺、ヨウはサポートしながら中心となってモンスターを倒していく。

最初は順調に倒していったのだが、次第に森から出てくるモンスターの数が急に増えてきた。

戦っても勝てないと戦闘放棄する種族が出てきているからだ。

さすがにすべてのモンスターを相手にするのが難しくなってきた。

魔力もだいぶ消費しており、疲れもあって動きも鈍くなってきている。

さすがにこれ以上戦い続けることは不可能だろう。

一度街の状況を確認する必要があるため、ヨウは一度持ち場を離れると伝える。


「僕は一度街の状況を確認しに行く。その間に避難完了の伝令が来たら迷わず撤退してくれ」


「ヨウさん、ここは俺たちに任せて!」


タイミングよく厘がヨウのエリアに到着する。

隣町の避難が終了したため、アキラが厘の元へ駆けつけてきたのだ。

それを機に、厘は撤退、侺は様子をみつつある程度足止めしつつ撤退、その後菫、ユウと合流し、

順次撤退してくる予定になっている。

厘だけはその内容をヨウに伝えるために一人で先に戻ってきたのだ。


「厘くん、了解。よろしく頼むよ」


「はい、侺たちもすぐに合流予定なので、通信機で連絡下さい!」


「わかった、行ってくる」


そうして、魔物をある程度倒しつつ順番に撤退してくる。

そして侺たちが厘のところまで撤退してきたタイミングでヨウからの通信が入った。


「侺くん、みんな、待たせてごめん。撤退して!住人の避難は完了した」


「わかりました。撤退しましょう」


みんなに聞こえる様に、風に声を載せる。


「みなさん、ヨウさんから連絡がありました。住人の避難完了しました!撤退します!」


その言葉を聞いた後の傭兵団の人たちの動きは早かった。

常日頃から撤退時の訓練を実施しているらしい。

ヨウらしい訓練内容の徹底で頼もしい限りだった。

厘たちはしんがりを務め、モンスターを引き剥がしながら撤退する。

街までたどり着いたところで北門の閉門が確認できた。

これでモンスターたちを2度目の足止めと出来るのだ。

では、自分たちはどこから街の中に入るのか。

北門の真ん前にワープホールを作成しておいた。

転移魔法と違って、ワープホールに入った人を強制的に移動させる効果がある魔法だ。

傭兵団の人たちはまだ転移魔法が使用できないので、ワープホールを使用することにした。

厘と侺以外の人たちは無事にワープホールを通って避難所への移動が完了した。

後は、モンスターを引き付けてから二人がワープホールへ入り、魔法を閉じれば完了だ。


「厘、5秒後に俺らもワープホールへ入るぞ!」


「了解!」


「5、4、3、2、1、行くぞ」


二人はワープホールへ入り、避難所に着いたタイミングでワープホールを閉じた。

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