34話
それから3日間は街に出てお店の配置を確認し、ショッピングやカフェでスイーツを食べたりと久々にまったり過ごした。
菫が気に入るスイーツ店が数店舗見つかり、テンションがとても上がっていたのをみて二人はほっとした。
業務を始めたら他にも必要なものが出てくると思うから、今はむやみやたらと購入せずにどこに何が売っているかの把握をした。
そんな感じで街中を確認し、更に街の外の大まかな地形の確認も同時に行っておいた。
人目の付かない場所であれば風魔法を利用した高速移動が出来るため、街の外周を回るのにさほどの時間が掛からなかった。
「街は結構きれいな円形になってるんですね。それと街へ入る門は東西南北それぞれに1か所ずつ」
「風の影響か北側の塀は高く頑丈に作られていましたね。反対に南側は低く風通しが良くなっていました」
みんなで街の周りについて気付いたことを共有しながら寮への帰路につく。
すると、山のふもとの森の中から1匹のモンスターが出てきた。
森までの距離が一番近い街であるが故に傭兵団の駐屯地として利用されている場所でもあるのだ。
「早速お出ましだ。あれは狩ってもいいモンスターだよな?」
「えぇ、確か食材としても利用できる種類のモンスターと記憶しております」
「お?って事は俺の体術で倒した方が効率が良いのかな」
ユウが楽しそうに構えをとる。
それを見て、他のメンバーはここはユウに任せるのが一番だなと一歩下がる。
熊みたいな巨大なモンスターがユウに焦点を合わせて突進してくる。
ユウは自身に強化魔法を多重掛けし、構の姿勢を取る。
突進してきたモンスターを両手でしっかりと抑え込み、相手の進行を止める。
完全に止まったのを確認し、モンスターを持ち上げて身体を反らし、頭からモンスターを地面にぶつける。
脳震盪を起こしているモンスターの首をすかさず捻り上げ、ノックアウト。
流れる様な動作で一瞬にしてモンスターを仕留める。
半年間鍛え上げた成果がしっかり出てユウも喜ぶ。
「よっしゃー!期待通りに身体が動いた!完璧」
「すごいきれいな動きだった!ユウ、ナイス」
「近くに川があるので血抜きをしてから持ち帰りましょうか」
そうしてモンスターの血抜きを実施していたら、街の方から傭兵団の人たちが走ってやってきた。
どうしたのか?と思ったら、物見係が森の方からモンスターが出てくるのを発見したから傭兵団に討伐要請を出したらしい。
何故街の外にいるんだ、危ないだろう、凶暴なモンスターを倒せて凄いな、ありがとうなどいろいろな言葉をもらいながら、
倒したモンスターを担いで傭兵団の人たちは寮へと帰っていった。
厘たちもそろそろ帰ろうと思い帰路についた時に森の方から異変を感じた。
「厘、今の感覚…」
「ヤバイ何かがいる。悪魔…だよね」
「そのようですね」
「マジかよ!」
でも、俺たちに気付いているわけではなさそうだな。
菫が慎重に探っているが、気づかれる可能性が高いためあまりわからなかったと言いながら教えてくれる。
「モンスターたちの魔石に魔力を注いでいる様です…」
「それはいったい…」
-すごいね、菫。そんなことまでわかるなんて-
-つまり、モンスターを凶暴化させているってことだよな-
-うん、そうだと思う…思ったより重大ね-
それを聞いて、さっき倒したモンスターの魔石を取り出す。
これは、魔石に悪魔の魔素が付与されている…。無理やり凶暴化させられたのか…?
「もしかして…!急いで街に戻ろう!」
「そうですね、大変なことになりそうです」
街に戻りながら厘とユウに説明する。すると二人は青ざめる。
早く戻ってヨウに報告し、対策を考えないと。
4人は急いで寮へと戻るのだった。
寮に戻ってすぐにヨウの執務室へ向かう。
ノックをするとすぐに返事があり、侺ですと告げるとすぐに部屋に通してくれた。
「突然すみません、ヨウさんにお話があります」
「よっぽどの事が起こったのかな?話を聞くよ」
「はい、その前にお聞きしたいことが。隣の町の人との連絡手段は何かありますか?」
「伝書バトを使用した書簡のやり取りが一番早いかな」
「わかりました、それでは、話し終えたら俺が直接向かいます」
「え?確かにその方が早いかもしれないけれど…わかった。何があったのかまずは聞かせて?」
「はい。先ほど、街の外で1匹のモンスターに襲われました」
「物見から連絡があった森から出てきた1匹のモンスターかな?討伐してくれたんだね、ありがとう」
「はい、たまたま居合わせたので倒しました。ユウが。それで、これなんですけど」
「これは…魔石?少し大きいけどよく見る…!これは…!」
「ヨウさんにもわかりますか?悪魔の魔素がかすかですけど混ざってます」
「悪魔が近くにいたってことかな?」
「はい、森の中に居ました。幸い、悪魔は作業に夢中で俺たちには気付いていませんでしたけど…」
「その悪魔が行っていた作業って言うのが、モンスターへの魔素注入って事かな…」
「はい…これはすぅ姉が探ってくれたので間違いありません」
「そういう事か…早速大仕事だよ。すぐに準備に取り掛かる!君たちには入団前だけど協力してもらう!」
「もちろんです。まずは隣の街に行きたい、誰か一緒に行ける人いますか?」
「手配する、少しだけ待って」
「わかりました」
寮全体に拡声器を使って業務連絡を出来るような設備が完備されている。
すぐさまヨウは全体放送を始める。
『緊急事態発生、至急アキラは団長室へ。その他メンバー全員はグラウンドへ集合。
繰り返す、緊急事態発生、至急アキラは団長室へ。その他メンバーは全員グランドへ集合』
放送終了と同時に団長室をノックする音が聞こえた。




