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月影のもとへ  作者:
32/56

31話

厘は硬直してユウの後ろに隠れている。


「やぁ、こんばんは。君たちが世界のモノ?目的は何?僕たちに何をさせたいわけ?」


-アース…?その人はあなたの契約者なの…?-

-うん…そうだよ-

-なんでこんなにヤバそうな人と契約したんだ?こいつ世界滅ぼせるんじゃね?-

-ちょっと、キール。怖いこと言わないで!-

-怖い-


「生徒会長?夜も遅いので寝ませんか?あちらに休憩室があるので、少し休みましょう」


侺が休憩室に誘導しようと声を掛ける。

だが、全く聞く耳を持たない。どころか、ターゲットは世界のモノらしい。

世界のモノから視線を外さないのである。


-目的は僕から話すよ。そもそも、僕たち世界のモノは、人間界への干渉は禁止されているんだ-


「手短に、話せるよね?アース・クエーク?」


にこりと笑っているように見えて目が一切笑っていない。怖い…。

アースは全力で首を縦に振ると続きを話す。


-僕たちが唯一干渉を許されるのは、1000年に一度程度、魔王が人間界に誕生したときなんだ-


「魔王…?」


-2年前に魔王が誕生したんだ…。僕たちに課せられた使命は、人間界に誕生した魔王を倒すこと-


「それは、君たちだけでは倒せないのかな?」


気付いたらヨウの雰囲気がいつも通りに戻っている。

突然の事に驚いたが、今までの緊迫した雰囲気がなくなってほっとした。

話しの内容から眠気が覚めたのだろうか…。


-僕たちは直接人間界に干渉するすべを持たないんだ。けど、人間と契約することで、僕たちの力を人間界でも使用出来るようになるんだ-


「直接の干渉が許されないから、僕たち経由で人間界への干渉を行うってことか…」


-それと、僕たちの力を人間に分け与えて、更に僕たちの力を上乗せすることが出来る。相乗効果が見込めるんだ-


「なるほど。通常より強い力が使えるようになるから、より強力な人間と契約することが重要なんですね」


うんうんとアースは頷く。

それを見たヨウは近くにあった椅子に座る。すると、すぐに寝息が聞こえてきた。

どうやら限界だったらしい。みんなは心なしかまだ警戒したままだったためか、肩の力を抜く。


「話の流れは理解した。けど、ユウとヨウ先輩は何故選ばれたんだ?」


-それは…いずれわかる時が来る…-


何か事情がありそうだが…話せない内容なのだろうか。

とりあえずは世界のモノは魔王討伐を望んでいるし、俺たちの最終目標も魔王で間違いないのだから、その点に関しては問題ない。

俺たち以外の二人を巻き込んでいいのかと思ったが、世界のモノの反応を見る限り、関係ないわけではなさそうだから気にしないことにする。


今日は一日中特訓していたから、みんな疲れているし、俺たちも一度睡眠を取ることにする。

この地下神殿には小部屋が数室用意されていて、それはもう豪華なベッドが置いてある。

シャワールームも完備されているため、わざわざ外に出ていく必要がないのだ。


食料の問題はあるが、それに関しては大量に持ち込んであるのでしばらくはもつだろう。

まずはヨウをそのうちの1部屋へと運ぶ。こういう時風魔法が使えると楽なのだ。

その後、各々部屋へ入りシャワーを浴びたりストレッチしたりしてから就寝するのだ。

厘と侺は何故か1部屋だけあった二人部屋に一緒に入る。

いつも二人でいる事が当たり前すぎて、別々の部屋という選択肢がなかったのだ。

しかも、なぜかシャワールームも2個完備されていた。

お風呂に関しては冷水派と熱湯派で分かれるため、大変ありがたい。


各々お風呂で疲れを癒し、休憩を取る。

食事は菫が担当してくれており、みんなで地下神殿の隅にあるテーブルで食べる。

ユウも料理が得意らしく、一緒に作ってくれている。


そんな感じで外に出ることなく地下神殿にいる事が可能なため、かなりな時間の訓練が可能となっている。

この仕組みを聞いたヨウが学園に帰りたくないと言い出すくらいには。

ただ、立場上ヨウは学園を卒業する必要がある。


転移魔法が展開されているため、魔法を習得さえすれば、

いつでも来れると言うと、その日中に習得し、毎晩来ると言って帰っていった。

ヨウは元々の能力の高さから、訓練時間がみんなより短いにもかかわらず、かなりな成長を遂げていた。

こうして少しずつ力を付けていく。

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