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月影のもとへ  作者:
29/57

28話

-いいよ。力を分けてあげる-


何気なくつぶやいた。その言葉に返事があるとは思わなかった。

突然頭の中、ではなく頭上の方から声が聞こえてきた。

それと同時に淡い光がヨウの中に入ってくる。


-君、力の使い方上手だからかなり強くなるね-

-だけど、それだけじゃ魔王には勝てない-

-そうだね、そろそろみんなと契約しに行こうか-

-お!やっと俺様の出番か?よし来た!-

-あ、ちょっと待って!…行っちゃった-

-忙しないんだから…僕たちも行こうか-

-うん-


丸い小さいふわふわしたいろとりどりの光が話し出したかと思うと、すぐに南の方へ飛んで行った。

その様子を驚いてみていたヨウのもとに一つだけ黄色い光が残っていた。

しばらくヨウの頭の上の方で漂っていたが、他の光が見えなくなるとヨウの目の前までふよふよと移動してきた。


-あ、君と契約するのは僕だよ、よろしくね-


そう、光から話しかけられる。


「え、えっと…??」


-?君が望んだんだよね?力が欲しいって-


「え?もしかして…世界のモノ??」


-そうだよ!君が呼んだんだよ-


「えっと、まさかホントに応えてくれると思ってなくて…」


-僕たちは君たちの要請がないとこの世界には干渉できないんだ。君に力をあげるよ。契約をしよう?-


「その、さっきから言ってる契約って?」


-君たちの要請がないとこの世界に干渉が出来ないって言ったよね?更に、ヒトと契約することで僕たちもこの世界で力を使う事が出来るんだ。

 そして、君たちも僕たちの力を使うことが出来るようになるんだよ-


「…つまり?」


-つまり…僕たちの力が使える…って事なんだけど…-


「うーん。君たちの力というものが、僕にはわからないんだよね…」


困ったように言うヨウに、黄色い世界のモノはとても驚く。

今では昔と違って世界のモノはヒトとの関りがないため、存在すら知られていないのだ。


-わかった!とりあえず契約しよう!そしたら君も更にもっと今より強くなるから!!-


そう言われ、契約の儀式をすることになる。

契約者の血を1滴と、名前を世界のモノへ付与することで契約が完了するらしい。

名前の付与と聞いてどうしたものかと悩んでいたら、契約時にふと浮かんだ言葉が世界のモノの名前になるらしい。

契約してみればわかると言われたので、まずは契約の儀式に臨む。

世界のモノが契約のための魔法陣を呼び出す。

その魔方陣の中心に、ナイフで指の先を少し切り、血を1滴落とす。

するとその血が光となり世界のモノに集まり、更に光り輝く。

その様子を眺めていると、ふと頭の中に言葉が浮かんできたため、その言葉を発する。


「アース・クエーク!」


世界のモノの名前を発した瞬間、そのアース・クエークとの強いつながりを感じた。

そして、光が全て世界のモノへ吸収されていく。

今まで光としか認識できなかったアースの容姿が認識できるようになった。


「君が、アース?」


-うん、そうだよ!僕の事見える様になったみたいだね!-


「うん、なんというか、絵本でよく見る妖精みたいだね」


アースは手のひらサイズの透明な羽の生えた、いわゆる妖精の様な姿かたちをしていた。

少年の様な幼い顔立ちに金髪をくりくりさせ、目がくっきりしたとてもかわいらしい容姿だった。


-まぁ妖精のモデルは僕たちだしね!-


世界のモノがヒトと契約するのは、稀にある事らしい。

よっぽどな事がない限り契約はしないのだが、数千年に1度の割合で魔王がヒトの世界に出現するため、

その魔王を討伐するために世界のモノがヒトに力を貸すというイベントが発生するとの事だった。

昔はヒト好きな世界のモノが気に入ったヒトを見つけて契約することも結構あったみたいだが。今はそれ自体が珍しいそうだ。

そして、世界のモノもどのくらいの数が存在していて、どこにどの属性のモノが居るのかわかっていないそうだ。

たまたま近くにいた5人の世界のモノが集まって、今回ヨウのもとに訪れた。


のちに小さな黄色い世界のモノが語ったことだが、初めて出会って契約したヒトに自分たちの説明を丁寧にしていたら、突然…


「それって、今話す必要、ある?」


と、ものすごく圧がすごい笑顔で言われ、怖かった…と。

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