26話
どのみち、今のユウは二人にとって足手まといでしかない。
でも、その二人が特訓をすると言っているのだ。ユウも一緒に特訓をしないと、今後一緒にいる事が出来ない気がする。
「俺は厘と侺と一緒に行く。それで、俺にも特訓をしてほしい。一緒に戦いたい」
「ユウ!よかった、ありがとう!」
「ユウ、ホントに良いのか?もうクラスメートにも会えないぞ」
「大丈夫だ。厘と侺もクラスメートだしな!」
「そうと決まれば出発だ。けど…侺?」
「わかった。急ぐぞ、厘」
「うん!ありがとう!」
「なんだなんだ?二人だけで会話を成立させるのやめろよなー」
「ふふっ。お二人はお互いの考えが目に見えるかの様ですよね」
一度森を出ると、街の入口へ向かう。
たぶん菫が補助アイテムを設置してくれているはずなのだ。
「「風の精霊よ、我らに守護を与えたまえ!」」
二人の周りから風が吹き上がると、街全体を包むように風が吹いていく。
薄いがしっかりとした膜が学園を含む街全体に出来あがる。
学園に使用した補助アイテムより強力な補助アイテムが使用されている様だった。
「すぅ姉、どんな補助アイテム使ったの?ものすごく強力なんだけど」
「新作です♪」
前回使用した補助アイテムですら、地下神殿製の強力アイテムだったのに、
それ以上の補助アイテムを開発してしまうとは…。すぅ姉恐るべし。
「とりあえず、これでしばらくは問題ないと思います。
生徒会長、あなたが卒業したら傭兵団に入団します。
それまでは、技の訓練をしてもっと強くなります。それでもいいですか?」
「え…?まって、傭兵団に来てくれるの?」
「えぇ、行かせて下さい。俺たちの目的のために、傭兵団に入団したいんです。」
「ありがとう。今回の襲撃、俺が街に行きたいって言わなければなかったかもしれないのに…」
ヨウは街に誘った事を後悔している様だった。
だが、学園の外にうかつに出ていったのはみんな同じだ。
「別に生徒会長のせいではないです。気にしないで下さい。」
学園くらいは卒業しておきたかったのは本音だが、それも致し方ない。
悪魔に目を付けられた時点で覚悟はしていた。
これ以上、学園や他の生徒、教師たちに迷惑をかけるわけにはいかない。
初回の襲撃以外は、あきらかに俺たちを狙ってきたのだから。
学園をやめるのは大きな痛手だが、傭兵団に入れるから別にいいかなと思えたことでもある。
傭兵団の件がなければ何が何でも学園を卒業していただろう。
たとえ何度悪魔が襲って来ようと。
だが、それだと被害が尋常じゃなくなるので、可能ならやりたくなかったのだ。
「むしろ生徒会長には感謝してます。傭兵団に入れて頂けるからこそできる自由です。」
「いや、感謝するのは僕の方だ。君たちみたいな強い人たちが傭兵団に入団してくれるなんて、幸先が良いよ。
傭兵団で待ってる」
何も聞かずに送り出そうとしてくれている。
そんなヨウに感謝しつつ、蜜に連絡は取りあうつもりではいた。
まずはこの混乱に乗じて姿を消す方を優先する。
「では、生徒会長にはこちらを」
それは菫が開発した、遠くに離れていてもお互いの映像を映し出す機械だった。
円盤状のシンプルな形の機械だ。
「菫さん、これは?」
「お部屋の誰もいない場所に設置して下さい。寮はおひとりですか?」
「いや、相部屋だよ」
「そうですね、でしたら、厘と侺のお部屋を使用すると良いかと」
「わかった。二人の部屋に設置するよ」
「えぇ、こまめに確認して下さいね」
「あぁ」
「生徒会長、これがあればいつでも連絡が取れます。今は時間がないので、後ほど説明もかねて連絡します。
それまで待ってもらえますか?」
「わかった、ありがとう」
「では、俺たちは行きます」
「気を付けて!」
ヨウと別れ、4人は森の方へ消えていった。
「これを渡してくれたっとことは。…とりあえず連絡を待つか」
ヨウも街の様子を確認し、教師と会話し今後の方針を確認してから寮へと戻り厘と侺が使っていた部屋へと向かった。
同室の子には今日は別の場所に行くと伝えておいたから、問題はないはずだ。
とりあえず夕食もお風呂もすべてすましてきた。
あとは部屋にこもっていることが出来るから、彼らからの連絡を待つだけなのだ。
今日連絡が来るとは限らないのだが…。
それでも、ヨウは連絡が来ると信じてこの部屋で待つことにした。
どれくらい時間が経ったのだろう。
たぶん、部屋に入って10分くらいだったと思うが、体感ではすでに2時間くらいの時間が経過したようだった。
突然、菫から渡された機会が光って音を発した。
少し大きめの音楽、聞き覚えがあるようなないようなメロディーが部屋に流れてきた。
その中でひときわ明るく青と赤に点滅しているボタンらしき場所がある。
光っている部分のマークが何か棒みたいなものが傾いて浮いているマークと横に置かれた状態のマークだった。
とりあえず、浮いている青い光が点滅している方を押してみることにした。
すると音が鳴りやみ、円盤から何かが浮かび上がってきた。
『あ、繋がった!生徒会長、こっちの状況見えてますか?』




