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月影のもとへ  作者:
25/56

24話

厘と侺の気配が消えた…?

悪魔の気配も消えている。どういうことだ?


「菫さん、厘くんと侺くんと悪魔の気配がなくなった!」


「えぇ、把握してます。おそらく異空間へ向かわれたのでしょう。

 今のうちにけが人の避難と治療を。あと、学園への応援はどのくらいで着きますか?」


「異空間…?わかった、まずは街の人たちの避難を優先する。学園からの応援はもう間もなく到着する」


けが人を誘導しながら菫と会話していると、学園からチェンジャー含む精鋭部隊が到着した。

ヨウは状況とけが人の誘導および治療を応急処置班に任せると、菫、ユウと合流した。


「ひとまず、街の人の対応は学園の応急処置班が対応してくれる。今の状況を確認したいんだけど、良いかな?」


「えぇ、分かりました。先ほど、この広場の南側に森がある事をお二人には伝えました。

 おそらく、今森の方へ向かっていると思います」


「菫姉さん、森へ向かってるって、厘たちは今どこにいるんだ?」


「お二人はここから半層ずれた空間にいます」


「半層…?」


「えぇ、ユウくんは光魔法が得意なのですよね?」


「うん、光魔法は得意」


「その光を切り裂くイメージでそちらの空間を切ってみて下さい」


「光を切り裂く?…こう、かな?」


言われた通り、ユウは空間を切り裂く。

すると、空間に亀裂が入った。


「え?」


一瞬だが、厘と侺が見えた。森の方へ悪魔を誘導しながら戦っているのが見えたのだ。


「やっぱり、ユウくんは素質がありますね、ふふっ」


「菫さん、今のはどういう…」


「すみませんが、生徒会長。今は先に森へ行きましょう。お二人に合流します」


聞きたいことは山ほどあったが、確かに先を急いだほうが良さそうだと判断し、まずは森へ向かう。

異動しながら考える。光を切る…とはどういうことなのか。

また、それを難なく実行したユウは…?

一番は、異空間とやらに入って悪魔と同等に戦いながら森へ誘導しているあの二人は何者なのか…。

この戦いに生き抜いたらおのずとわかるだろう。それに、バリアに関しても。

菫は、どちらの方向に悪魔や厘と侺が居るのか分かっているらしく、菫の誘導で移動する。




異空間の中で、悪魔との交戦が続いていた。

悪魔は名前を持たない下位種だが、厳しい戦いになりそうだ。

初めて学園に来た際は絶望しか感じなかったが、休み中に地下神殿で訓練した甲斐あってか、

二人の能力も連携も格段に上がったため、互角程度には戦えそうだと感じる。


「やっぱり、あの地下神殿での特訓には特別な力が加わっている気がする」


「やっぱり、侺もそう思う?力がみなぎってくるというか、すごく調子もよくなるんだよね」


「おしゃべりしながらなんてよゆうだねぇ、そういう生意気な子供を殺すのは大好物だけどね!」


悪魔は内心焦っていた。なにこいつら。この前より格段に強くなっているじゃない。

だが、それでも力は互角。それも2対1でだ。どちらかを倒せたら勝機はあるわ。

少しでも魔力を温存して格闘術で対応したいのだが、

あの双子の兄弟は接近戦にはさせてもらえない。

だいぶ体力が落ちてきているから、もう少しかな。

あとはこの異空間から出る方法を考えないと…。やっかいねぇ。

まずは隙を付いてアイツらを引き離さないといけないわね。


「厘、アイツは下位種で、なにも情報を持っていないように思う」


「あぁ、俺もそう思う。生け捕る必要がないのであれば、全力で倒す」


侺は頷くと、魔法の準備をする。

この異空間は、もう少し持ちそうだ。

何故なら、さっきユウの光の空間切りで一瞬次元が交わった時、菫が異空間の補強をしてくれたのだ。

本来なら人の魔力に干渉するのは難しいのだが、この異空間の生成は菫直伝である事に加え、

魔力感知能力の高い菫には、魔力の波動を合わせることも容易なのだ。

現状悪魔は防御に集中しており攻撃してくる様子がない。

魔力の充填が完了する。

厘と侺は目配せして、タイミングを合わせて力を解放する。


「炎龍よ、すべてを焼き尽くせ!」

「氷龍よ、すべてを凍てつかせろ」


ここ異空間では街の様子が見えるのだが、実際には何もない空間が広がっている。

そのため、二人は高出力の技で確実に悪魔を倒すことにした。

全力以上の力を出さないと倒せないのだ。

炎龍と氷龍が絡み合い、大きな1つの球となる。

その巨大な球を二人は悪魔目掛けて解き放つ。

悪魔はとっさに防御態勢をとり、バリアを貼るが、即席バリアでは防げない。

バリアごと悪魔を飲み込み大きな爆発が発生する。


「なっ…こんな力どこから…!?うわぁぁぁぁぁぁ…」


大きな爆発とともに悪魔の気配が消えた。無事に倒せたようだった。

悪魔の敗因は、二人がそろうと相性がかなり良いため、単純な足し算ではなく割り増しでの攻撃力が発揮される事を知らなかったことだ。

相性が良い人と巡り合うのは難しいため、この攻撃力割り増し


「よし、悪魔を倒せた」


「何とか勝てたな」


「うん!」


正直なところ、今回の悪魔と二人の力は互角だった。

だが、実はユウが空間を切り裂いたタイミングで、菫は異空間の補強に合わせて二人の身体強化、回復も行っていたのだ。

菫のおかげで、形勢は二人がかなり有利になった。

異空間の維持も限界に近く、もし現実空間に戻った場合、街や森への被害を出さずに戦うのが非常に困難だったため、

菫の補助で異空間を維持できたことが勝因の一つになったのだ。

相手の悪魔との力は互角で、ギリギリ倒せるかどうかだったため、未使用の大技を使用することにしたのだ。


「やっぱりこの技は現実世界では使えないね」


「あぁ、半径50Kmってところか…」


かなり広範囲が爆発に巻き込まれることになる。

街中や森などで使用したら大惨事だ。

二人が編み出す技は広範囲へ影響を及ぼすものがほとんどで、

実戦で使用することが難しいものが多いのだ。

菫からは1点集中型の攻撃を検討しろといわれているのだが、どうしても大技にばかりなってしまう。

もっと範囲が狭い技を検討する必要がありそうだ。


「やっぱりこの前の隕石を小さく高出力にして落とすとかの方が良いのかな?」


「だが、あの技の欠点は、上から落ちてくる間に避けられる可能性があるという事だ」


「魔力を解放してから相手に届くまでの時間が長いのか」


侺は頷く。そうなのだ。隕石は、範囲を限定的に出来てかつ上から落とすことで威力を増大している。

そのため、ターゲットにたどり着くまでに時間が掛かるのだ。

二人の技は被害が大きいからもう少し狭い範囲の攻撃を検討して下さいとの菫の言葉に従って考えた攻撃魔法だった。

範囲的には少なくて済むのだが、上から落とすことで地面を抉る可能性が高いのも欠点だ。


「もっと別の業考えないとすぅ姉に怒られちゃうね」


「だな、もう一度地下神殿で技の開発および特訓を実施するか」

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