22話
バリアの存在は悪魔が学園に入れないことで気付けたのだが…まさかこの二人も気付いていたとは。
魔物襲撃事件があった時、大量のモンスターに気をとられて悪魔の存在に気付くのが遅れたのだ。
悪魔の存在に気付いた時、ぞっとした。モンスターの対応で疲弊しているのに、またあの惨劇が繰り広げられるのか、と。
学園の上位メンバーはみんなは悪魔に備えて準備をしたが、一向に悪魔が学園内に侵入してくることがなかったのだ。
その際、学園を覆う様に薄い膜でバリアが貼られていることに気が付いた。
最初はこんなに薄いバリアいつ壊されてもおかしくないと思ったのだが、悪魔が侵入してこないところをみると、かなり強力なのだろう。
いつ貼られたのか、誰が貼ったのか不明なことにも驚いた。通常、バリアが貼られるときは大きな魔力の波が発生するし、バリア自体も目に見える。
そこで、現在バリアの調査のため、魔力を解析しているが、巧妙に暗号化されていていまだに判明していないのだ。
そして通常のバリアは時間が経つにつれてどんどん威力が弱まっていくのだが、数日間観察した結果威力は維持されていた。
残念ながら、この学園にはそんな強力なバリアを貼れる人は存在しないのだ。
実力を隠していない限りは。そう、たぶんこの学園には実力を隠している生徒が居るのだ。
前回悪魔に襲撃された日、悪魔を引かせるほどの魔法を放ったものが居る。
そしてこの前の魔物襲撃の際にも、バリアの外でものすごい勢いで隕石が落ちてきたのだ。
あれは悪魔が居たとされる場所に向かって魔法で作り出されたものであると判断された。
隕石を人為的に発生させる魔法なんて聞いたことがない。
しかし、それを上回る衝撃があった。その隕石魔法が地面に落下する直前で消えたのだ。
魔力無効化などの魔法は存在しているが、発生した事象を無効化は出来ない。
魔力無効化はあくまで発動前にキャンセルさせる事なのだ。
そのため、地面落下の直前に隕石が消えたことで、あれは実体ではなく幻の類ではないのか?という方向に考えられていた。
だが、あそこまでリアルな幻術魔法も今のところ確認されていないのだ。謎は深まるばかりなのである。
悪魔を引かせた人物、バリアを貼った人物、隕石を落とした人物。
今はその3人あるいは全て同一人物なのではないのか?との方向で操作が進められている。
もちろん、ヨウも多大な人脈を利用し、その様な魔法を見たことがないかと各方面へ確認している最中だ。
「君たちは、どうやってバリアの存在に気付いたの?」
「それは、私が教えたからです」
「菫さんが?」
「えぇ、バリアを貼られた時に」
「菫さん、あなたは凄い能力を持っているんだね」
「すごい能力…特にすごいと思ったことはないですけど…バリアの存在は誰も気付いていなかったのですか?」
「うん、悪魔が動かないのを不思議に思った時にやっと確認できたんだ」
「そうなのですね」
菫は昔から人の気配や魔力の流れを感知する能力が高かった。
実は、オリジンの中でも能力はかなり高い方だったのだが、リオほどの力がなかったため、
突出して強いという印象はなかった。
が、今思えばかなり強かった気がする…。
「バリアはいつ貼られたのかな?」
「前回の悪魔騒動があったその日の夜…でしたね」
「そんなに前から!?魔力を維持したまま…。どんな魔法の使い手なんだ?」
確かに、二人の魔力は強いが、補助アイテムなしではここまで強力なバリアは貼る事は出来ない。
しかも、今回使用した補助アイテムはあの地下神殿から持ち出したものでかなり高性能であるのだ。
「学園側はバリアを貼った人を探し出してどうするつもりですか?
私としては、学園に仇なすモノではない限り無理に探し出す必要はないかと思います」
「仇なすモノ…ではないのだろうが、今の悪魔にいつ襲われるかわからないこの状況、協力を仰ぎたい」
「そうですね。けど今現状、協力してくれていますよ?」
「確かに、そうなのだが…」
「それに、本人たちが隠したいから隠しているのを無理に暴くのはどうかと思うのですが」
「…わかった。これ以上詮索しない」
「そうですか、理解いただけて良かったです」
「詮索はしないが一つだけ教えてくれ。菫さんは正体を知っているのか?」
菫はふふっと笑う。それで正体を知っているが教える気はないという回答であった。
そうか、たぶんここにいるメンバーの誰かなのだろう。
そういう意味では、間違いなく味方だ。しかも、傭兵団に入ることも確約している。
今はダメでも、いつかは教えてもらえるかもしれないから、深追いはしないことにする。
「そろそろ買い物再開しようか。文房具屋にも行かないとだしね」
パンケーキを堪能出来たのと、話が一区切りついたので移動を促す。
文房具屋、クッキーのお店などにも行く予定なのだ。




