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月影のもとへ  作者:
20/57

19話

「それは、今まで仲良くなったみんなには一緒に卒業しようって言ったんだけど…」


そう言って、みんなが学園を退学していった内容を話しだす。

ヨウ曰く、学園を去った人たちはみんなヨウの実家で傭兵団として活動しているらしい。

というのも、ヨウの実家はムトスという、ウェヌディアの内陸部にある地域にあるのだが、

その地域は中央に大きな山があり、その周りは広大な森で覆われている。

その森の外側に円を描くように集落地が出来上がっているのだが、

その森と山が厄介であり、森には大量のモンスターが住み着いている。

さらに山にはドラゴンが住み着いており、時折森へモンスターを狩りに来る。

そしてモンスターたちは森の外へ逃げてくる際に集落をついでと言わんばかりに襲いに来るのだ。

だから、ムトスには傭兵団が多数存在しており、街を守ったり、森のモンスターを狩りに行ったりという仕事が盛んなのである。

ヨウは学園を卒業したら傭兵団の団長として地元で働くことが決まっている。

そのため、この学園で自分の傭兵団に入らないかとスカウトをしていたらしい。

元々の人気もあってか、ヨウの話を聞くとみな今すぐにでもその傭兵団へ入りたいと志願してくれたらしい。

ただ、ヨウ自身は学園を卒業しないと団長にはならないと言っているのに、その前に傭兵団に入って

ヨウが来た時にすぐに出迎えれるように準備すると言ってみんな早々に退学届けを出して行ってしまったというのだ。

何故、ヨウが居ないのに?と思って話を聞いていると、どうやら待遇がかなり良いみたいだった。

モンスターの討伐など、常に危険と隣り合わせな現場なのだが、それ以上に手厚い福利厚生があるらしい。

曰く、全寮制、住むところは全て傭兵団から提供される。家賃は無料。

その寮は食堂、トレーニングルーム、プロジェクタールーム、グラウンド有りで、各個人の部屋に風呂、トイレ付き。

また、小さな街の図書館並みに保管されている書籍の数も多いらしい。

学園での勉強が途中でも、そこで自主的に学ぶことが可能なのである。

そんな感じで、環境が物凄くいいのだ。更に、食堂はじめすべての施設に関して一切の料金が必要ない。

至れり尽くせりな傭兵団なのだ。なぜそんなことが可能なのかというと、

ヨウの家はムトスの領主で、更に大富豪なのである。実はこの学園の土地もヨウの実家の持ち物で、

土地の借地代だけでもかなりな金額になるらしい。傭兵団の全てを賄えるくらいに。

何故ムトスの領主なのにヴァルバスにある土地を所有しているのか気になるところだが…。

とにかく、好待遇過ぎて話を聞くなりすぐに傭兵団に入団希望を出されたらしい。

それはそうだ。学園はお金を払う必要があるが、傭兵団に入れば訓練しつつ給金も出る。

もちろん、モンスターと戦うという死と隣り合わせな仕事内容であるが、それでも好条件には違いない。

学園を出るのは高収入な企業に入る為だが、傭兵団に入るのであれば学は必要ないのだ、

そしたらわざわざ高いお金を払ってまで勉強したくないと思うのが通常だろう。

加えて勉強があまり得意でなく、好戦的な人ばかりに声を掛けていたということも要因である。


「僕としては、一緒に学園生活を送りたかったんだけどね」


「あははっ!それはそうでしょ、俺だったとしても早く学園辞めて傭兵団に入ると思う」


今までヨウに怯えていた厘だが、話を聞いて悪い人じゃないと感じたのか、

いつもの調子に戻っている。

少なくとも、今のヨウ(今までもだが)には敵意は全く感じられないので、

侺も警戒を解いている。


「まぁそうですね、魅力的な職場だと思いますよ」


「そお?なら…」


「俺たちは入れないですけど」


俺たちは、リオを探さないといけない。

二人はどこかのギルドに出たり入ったりして、冒険者になる予定だ。


「君たちなら僕は大歓迎だよ」


「俺たちはただのオリジンですから」


傭兵団としては役に立たないという意味を込めて。

実際には違うのだが。


「けど、僕は君たちと一緒にいたいから、やっぱり傭兵団に入ってほしいな」


悪魔に目を付けられたことを考えると、ヨウの力を必要とする時が来る気がしている。

だが、そうするとヨウに自分たちの秘密を暴露する必要がある。

今はこれ以上秘密を共有する人を増やしたくない。

また、ヨウの目的もリオを探し出すことだから、俺たちに付きまとうのは間違いないのか…。

傭兵団を私的利用しようとしているヨウはやっぱり強かなのだろう。


「うーん…。それなら、君たち4人は僕の側近として、特殊任務に就くというのはどうだろう?」


「あら?それは私も頭数に入っているという事でしょうか??」

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