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月影のもとへ  作者:
15/50

14話

「逃げられましたね…」


実際は、逃げたのではなくたまたま帰るタイミングだっただけなのだが…。

合流した厘と侺が二人で悪魔がいた場所に隕石を落としたのだ。

これは土魔法の流用で、重力操作によって巨大な岩を上空から一気に落とす。

そこに、厘の炎で岩を包み込むのだ。

それによって隕石が落ちてきたような魔法に見えるというわけだ。


「相変わらず二人は魔法の流用で面白い技を編み出しているようですね」


菫は二人の魔法を目の当たりにして驚く。

魔法を二人で組み合わせて新たな魔法を作ってしまうなんて、前代未聞である。

双子ならではの魔力の波長の合致によるアイデアであるため、他にマネできる人もいないだろう。


「そうなんだ、すぅ姉。今のは新技で!思った以上にうまくいったし威力も申し分なかったんだけど…」


悪魔が逃げたことで、隕石がそのまま地面に到達するとそこら辺一帯が抉れてしまうため、

隕石を吸収したのだ。そう、菫の闇魔法、ブラックホールによって吸収された。


「すぅ姉には敵わない」


普段特に顔色を変えない侺までも目に見えて落ち込む。

相性の問題ですなどと慰めてくれるが、二人の渾身の魔力を詰め込んだ魔法を

パクリと飲み込めるブラックホールを作り出せる菫の魔力量がすごいとしか言いようがない。


「魔力量、俺たちも少ないわけじゃないんだけどなぁ…すぅ姉はそれ以上だもんなぁ」


また、悪魔が消えたこと確認したその一瞬の判断で魔法を発動したのだ。

かなりの瞬発力である。

総合的に菫の力は二人を上回っていた。


「まぁまぁ。とにかく、今は学園の状況確認と被害者の治癒をしに戻りましょう」


「はーい」


菫の言葉に厘は返事を、侺は頷くと3人はまずは寮の方へ向かった。

今回の襲撃でけが人は多数出たが、死人はいなかった。

これはユウの功績だろう。

寮内を一通り見て回ったが、命に係わるような重大な怪我を負った生徒は居なさそうだった。

治癒魔法が得意な生徒だけで十分対応できるだろうと判断できたため、次は校舎の方へ向かう。

すると、モンスターの襲撃によって壊された校舎を教師や一部の生徒たちが修復していた。

その中に見知った顔が居た為おどろく。


「ユウ!お前何やってるんだよ!!」


その人物、ユウに声を掛けると、こちらに向かってきた。


「厘、侺!戻ってきたんだな!何って校舎の修復だけど…」


「お前はほとんど魔力がなくてまともに魔法なんて使えなかったのに急に使える様になってたらおかしいだろ!?」


近づいてきたユウに小声で厘が叱咤する。するとユウはあ、という顔をしてごめんと誤ってきた。

周りには大勢の生徒がおり、ユウがやったか他の誰かがやったかわからなかったため、

一度その場から離れることにした。

幸い、多くの生徒が校舎の修復を実施していたため、ユウの力でどれだけの校舎が回復したのかはわからなかった。

また、周りの生徒たちは修復作業に没頭しており、他人の事を気にする余裕はなさそうだった。

ひとまずはユウの進化がバレることなく済みそうでよかったと胸をなでおろした。


「厘、侺、ごめん。俺、魔法が使えることがうれしくてつい…」


「いや、良いよ。校舎の修復を手伝ってたんだろ?悪い事じゃない」


「ありがとう、厘」


「だが、誰に見られてるかわからないんだ。今後は注意する様に」


「わかったよ、侺。気を付ける」


修復作業は着々と進められている。

その間にもう一度、召喚魔法が発動されていた音楽室へと向かうことにした。

自警団がすでに到着しており、現場の状況確認を行っていた。


「これだと部屋の中に入るのも難しいかもね」


「そうですね…それに魔法陣は既に消えているし、証拠という証拠はもう残っていないと考えた方が良さそうですね」


「あまり目立った行動もよくないし、一度寮に戻ろう」


修復作業自体は今いるメンバーで対応が可能なのと、それぞれの得意魔法による持ち場が

ある程度ある為、現状ではやる事がなくなった4人は寮へ戻ることにした。

しばらくの間学園は復旧作業に追われ、休校となる。興復旧作業をやりきる必要はないのだ。


「すぅ姉、また明日!」


「えぇ」


寮の前で菫と別れる。

また、部屋の前でユウとも別れる。


「ユウ、また明日な!」


「おう!」


二人は自室へと入る。

すると、そこには一人の生徒が二人の帰りを待っていた。

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