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その後色々な魔法を思いつく限り試して見たが、火の魔法と水の魔法しか使えなかった。
けれど、魔獣は全て一撃で倒していた。
リリー、恐ろしい子…!
後はゲームで回復魔法も使っていた記憶があるけど…
今日は怪我をしていないので確かめようがない。
とりあえず、テレポートと攻撃魔法は使えることがわかったので一旦自室へ帰ることにした。
『テレポーテーション』
◇◆◇◆
またふっ、と一瞬暗くなりドサッと言う音と共に気がつくとカインの上にいた。
「リリー!?」
どうしてカインがここに!?そう思うと同時にぎゅっと力を込めて抱きしめられた。
「無事でよかった…」
その顔は心底ほっとしたような顔をしていた。
私のことを本当に心配してくれていたんだと伝わり、胸がぎゅっと苦しくなった。
「…心配かけてごめんなさい」
「無事だったからよかったが…もう少し遅かったら騎士団総出で探しに行くところだったぞ」
危なかった…!そうならなくて本当に良かった!
間に合ってよかった、などとほっとしたのも束の間。
「…ところでどうやって外に出たんだ?」
なんて聞かれてしまった。
ニコニコ笑っているけど、後ろにどす黒いオーラが見える…!
私は観念してテレポートで外に出たことを話した。
「…テレポートで?」
「はい…」
私はテレポートで外に出たとだけ伝えた。
さすがに魔法を試したかったからとは言えない。
「外のどこに行ったんだ?」
「えっと…街の人目につかないところにテレポートして…その後は適当に歩いていました…」
少し苦しい言い訳だったかな、と思ったがカインは「そうか…」とだけ言うと私をまたぎゅっと抱きしめ、「本当に無事でよかった」と言い執務に戻って行った。
◇◆◇◆
それから私はひとりで行動することが出来なくなり、どこに行くにも騎士と侍女が着いてくるようになり、おはようからおやすみまで一人の時間が無くなってしまった。
朝は起きると侍女が待機しており、夜は私が眠るまでカインがそばに居る。
「ひとりになりたい」と言えば、「絶対にダメです」と言われてしまう。
さすがに魔法を試すのは早かったかな…と思いつつ、いや、でもリリーの魔法能力気になるし、仕方ないよね?
主人公がいつ来るか分からない今、少しでも準備を進める必要があるし、私の判断は間違えてないはず…!と自分に言い聞かせる事にした。