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その日の夜、いつも通りカインとご飯を食べ、一旦部屋に戻りカインが訪ねてくるのを待った。




カインとは部屋が隣同士で、部屋から部屋へ行き来できるようになっている。


まだ婚約者の立場なので一応部屋は分かれていて、その扉から行き来し、お茶を飲みながらお話をするちょっとしたお茶会をいつも開催している。



今日はそのお茶会を終わりにしようと伝えるつもりだ。


夜の方が一人の時間は長いし、今後来なくなる訳だから早めに終わらせて準備の時間に充てようと思っている。


…と思っていたのだけど、どうしてか今カインの膝の上に座っている。


どうしてこうなったの?




◇◆◇◆


時を遡ること数分前―――。

いつも通りカインが2つの部屋を繋ぐ扉から入ってきたので、カインの傍まで行った。

そうしてぎゅっと抱きしめられたかと思うとそのままひょいっとお姫様抱っこで持ち上げられた。


そのままソファまで歩いていき、カインの膝の上に座らせられ今の状況にいる…。


逃げ出そうにもお腹をがっちりホールドされているので抜け出せない。


「あの、カイン様」


そう言うと「ん?」と優しい声が帰ってきた。


「離してくださると助かります…」

「どうして?」

「は、恥ずかしいので…」


恥ずかしいどころでは無い。体重も気になるし、すぐにでもここから早く降りたい…!


そんな願いも虚しく「だめだ」と一蹴されてしまった。



あまり体重をかけないように意識しながらじっとしていると「今日…」と話し始めたので耳を傾けた。


「今日、ルイスと会ったそうだな」

「ルイス様…?会いましたが…」


どうしてルイスの名前を?それに会ったのはたまたまだし…。なにかカインに伝えるような事あったかな?と考えていると、


「何を話した?」


と聞かれたので、「ええっと…今日はどこに行くのかと、婚約おめでとうって言われました」と正直に答えた。


「そうか…」


どうしてそんな話を?と思っていたら「ルイスが羨ましいな」と言われた。


「街へ行く時には着替えたのだろう?俺はその姿を見れなかったのに…この瞳も、頬も、耳も、髪も…唇も全て俺のなのにな?」


そう言いながら、優しくひとつひとつ丁寧に唇を寄せられる。


これは…とても恥ずかしい…!

顔を真っ赤にしながら固まっていると、カインはくすくすと笑っていた。


「…からかっているんですか?」

「そんなことはない。ただ可愛らしいな、と思っただけだ」


なんだかしてやられた感がある。


私もなにか仕返しがしたいと思い、カインに思い切り抱きついた。


「…リリー、これは…?」

「仕返しです」


そう言いふふんと笑った。


「はぁー…全く…こんな可愛いことをされると困ってしまうな…」


そう言いながら肩に顔を埋められた。

肩にかかる髪が少しくすぐったいな、と思いながら「このまま王城に閉じ込めてしまいたい…」という言葉は聞こえないフリをした。



その後、いつも通りたわいのない話をしカインは「おやすみ」とおでこへキスをし、隣へ戻って行った。


私もそろそろ寝ようと思い、布団に潜り(そう言えばお茶会辞めようって言えなかったな…)なんて思いながら眠りについた―――。


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