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記憶を取り戻した私の最終的な目標は、円満な婚約破棄―――だ。


カインの事は好きだけど、好きな人が他の子に優しくしていたりするのは見ていられない。


しかもリリーにはどんどん態度が冷たくなっていくのに…。


そんなの私には耐えられない。

ゲーム通り嫉妬し、魔力暴走を起こすなんて以ての外だ。


だから、主人公が来る前に婚約破棄をしたいと思う。

詳しい日時は分からないが、主人公と出会うまでまだ数ヶ月はあるはず。


確かゲームでは主人公と出会う1ヶ月程前に「執務が忙しい」と、会いに来なくなったとリリーが言っていた。


会いに来なくなるのを目安にし、会いに来なくなって少ししたら婚約破棄をする。これが目標だ。


その時にはカインの気持ちも離れてるはずだから上手くいく。その後は、魔物退治でお金を稼ぎながらまったり過ごして行きたい。




◇◆◇◆


まず、ゲームの覚えている内容を引き出しに置いてあったノートに書き出し、続いて今後の目標も書き出した。


これがあれば牢獄行きは避けられるはず…!


ノートの仕上がりに満足しているとノックの音が聞こえた。


「はい、どなたですか?」


そう問うと「カインだ」と返事が返ってきた。


急いでドアを開けに行くと、カインが立っていた。


「カイン様、どうかされました?」


そう声をかけるとぎゅっと抱きしめられた。


「顔が見たくなってな」


そう言われ顔が暑くなるのを感じた。


そんな私の様子を見て「かわいい」と言い、おでこに唇を落とされた。

そうしてさらに顔が暑くなるのを感じる。


少し話をしたあと、カインは「執務に戻る、また夜に」と言い私の手の甲に軽くちゅっとキスをし、部屋を後にした。


こうして会いに来てくれることも今後減っていくのだと思うと悲しくなってくる。


運命に抗いたいが、私はニセモノの番みたいだから勝ち目は無い。


これ以上好きにならないようにしないと、いざその時が来たら別れが辛くなるだけだ。




◇◆◇◆


ひとまず私は婚約破棄に向け、準備を進める事にした。


ある程度の資金調達と、あとは新しく住む場所も考えなければならない。


番じゃないんだし、迷惑料みたいな感じでお金を貰いたいが、逆に「番を語った罪」なんて牢獄行きになっても嫌だし、侯爵家も家を出た身だし、あまり迷惑をかけたくないのでやはり自分で何とかするしかない。


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