第7話 城探索と地下鉄
女子高生として人生を送っていた、妹の彩華と姉の沙耶が突如として時空の歪みに飲み込まれてしまう。そして、そこで待ち構えていたのは…。
ココは、ノーゼンカムイ王国にある地下鉄のターミナル…。
このノーゼンカムイ王国は、地下鉄が主な交通手段となっており、東西南北に路線が出ていてる。
東西を繋ぐ、東西線。
南北を繋ぐ南北線。
そして、西から北を経由して東へ行ける上周線。
東から南を経由して西に行ける下周線がある。
ただ、誰にも明かされていない極秘路線が多数存在している。
普段ノーゼンカムイ王国に住む民が使える路線が主に東西線と南北線。上周線と下周線の計四路線である。
このノーゼンカムイ王国の真ん中に位置する噴水のある公園の地下が、ノーゼンカムイ王国を走る地下鉄の車両基地であり起点でもある。
ちなみにこの噴水のある公園からは、王の住む城が見えて街としてとても栄えている場所となっている。
話は戻り、沙耶の活躍によって国に迫る脅威を回避することができた。
それもあってノーゼンカムイ王国の民は、勇者候補についての様々な噂を飛ばしまくっていたのだ。
筋骨隆々で力持ち。
何処か古の女番長。
サブカルチックな少女。
等の噂が広がっていてどれが正しくどれが間違いなのかが、一切分からない状況になっていたのだ。
そんなある日…沙耶と妹の彩華は、カムイ陛下に呼ばれて城の中の探索をしていた。
カムイ陛下が二人に城の内部を全て知ってもらおうと思い、二人を連れて城の探索へと向かうのであった。
「ここは、歴代の王が使っていた執務室。今現在も我が国務を行うときに使っている部屋だ。そして、飾られている写真は、歴代の国王のものだ。」
執務室を案内してもらっている中で、沙耶にある疑問が生まれカムイ陛下にその疑問を投げかける。
「カムイ陛下。ここに飾ってある写真は歴代の王のものだとはわかりましたが、カムイ陛下は今何代目に当たるのですか?」
その疑問に、丁寧に答えるカムイ陛下。
「我で、三十代目だ。そして、名前でもあるノーゼン・F・カムイは代々受け継がれてきたものだ。だから正しく名前を表記すると…。ノーゼン・F・カムイ三十世。一応これでいいかな?沙耶。」
そう聞くと沙耶は、‘‘うんうん‘‘と頷き理解する。
そして、カムイ陛下は次の場所へ二人を案内する。
「ここが、城のキッチンでその隣が大食堂だな。キッチンは彩華が、前に使ったことがあるな。そして、その隣にある部屋が、永久の間。ココは、主に王家に関係するものたちが休む場所である。」
カムイ陛下は次々と二人に部屋や食堂を案内していった。
そしてついに、城の地下へと降りていく。
「二人とも、ここからは地下の案内だ…。えーと、ここに二つの扉があって、左の扉を開けると…。有事の際の避難場所として使える部屋で、食料も四十人が、半年は食べても余るくらいに常備されていて万が一の時はここを使うこと。それでもって、右の扉を開けると…。ここは、秘密の地下路線だ。沙耶が、この間南端駅からここまで利用したな。この地下路線は、王家の人間の避難と食糧の輸送、あと国に張り巡らされた地下鉄の各路線に行けるものとなっている。」
そう言うとカムイ陛下はある場所を指さした。それを見た二人が驚きを見せる。
『こ、これは…。凄い。』
その二人の目線の先には、各路線で使用される車両と、特別車が留置されていた。
すると、カムイ陛下は二人が飽きないように説明を始めた。
「ここに止まっているのは、この国の地下鉄の車両で…。城の者が用事で各路線の主要駅に行くときに使われる車両たちだ。勿論、この列車たちにはプライベート保持の為に、駅通過の際に窓ガラスがスモーク状態になるよう設計されており、更に車内アナウンスでは行き先を放送するが、行き先表示は回送と表示することができて、民からしたら唯の通過列車だと思わせることができるというものだ。」
カムイ陛下は飽きないように説明をしたのだが…二人は飽きる以前に“”何が起きているの?“”状態になってしまい。
それに気が付いたカムイ陛下が慌ててフォローする。
「すまぬ二人とも、鉄ヲタの部分が出てしまった。ごめんよ。」
カムイ陛下の”ごめんよ”。の部分でハッと気付き、我に返る二人。
そして、城の案内をすべて終えて、王座の前と帰ってくる。
すると、アストが慌てた様子で駆けつける。
「カムイ陛下!!大変です。また新たに脅威が現れました。今回は、ロボット兵と思しき大群が、近づいてきています。即命令をお願いします。」
すると、カムイ陛下は少し悩んでから命令を下す。
「沙耶よ。カムイ陛下が命じる。国に迫る脅威を殲滅せよ。身の安全は第一に!」
そして、沙耶はカムイ陛下の命令を受け入れて、ノーゼンカムイ王国の東の端に向かい始めるのであった。
沙耶は、城の地下へ降りて地下鉄に乗り込み運転準備をする。
「えーと、東の端だったよね。そうしたら、行き先を東端駅にすれば着くはずだよね。」
沙耶は、ひとり呟きながら行き先の設定をする。
そして、準備が完了して地下鉄がいよいよ出発する。
「ノーゼンカムイ王国上周線、北回り経由東端門行きです。間もなく発車いたします。閉まりますドアにお気を付けください。」
車内アナウンスが流れると、開いていたドアが閉まり、戸閉のランプが光りブザーが鳴る。
そして、列車がゆっくりと動き出す。
「本日も、ノーゼンカムイ王国上周線をご利用いただきありがとうございます。この列車は、北回り経由快速東端門行きです。途中、国立図書館駅にて後続の特別快速南端公園行きが先行するため、三分ほど停車いたします。次は、国立図書館、国立図書館に止まります。」
沙耶は、上周線を使い東端門駅に向かい、そこから歩いて十五分の場所へ行くことになった。
そして、沙耶は前にもやったのと同じように、運転席に座り流れゆくものを見ていた。
果たして、沙耶は無事に東端門駅へと辿り着き、ロボット兵と思しき脅威からノーゼンカムイ王国を救うことができるのであろうか…。
日常から急転して、非日常へと落ちていくがふたりは無事に乗り切れることができるのか…。そして、もといた世界に帰ることができるのであろうか。