第2話 語り継がれる伝説と能力
女子高生として人生を送っていた、彩華と沙耶が突如として時空の歪みに飲み込まれてしまう。そして、そこで待ち構えていたのは…。
【前略】なんと、時折発生していた時空の歪みに巻き込まれてしまい…異世界のノーゼンカムイ王国に飛ばされた。
妹の彩華と姉の沙耶は、見知らぬ執事に事の顛末を聞き、一応は状況を理解したのであった。
だが、炬姉妹が飛ばされた経緯が国王陛下にあると知ることになったのであった…。
そして・・・アストに導かれるがまま、二人はノーゼンカムイ王国の国王陛下が居る城へと案内される。
二人が王座の間へと着くとそこには・・・ノーゼンカムイ王国国王陛下が二人の到着を待っていた。
二人の姿が見えるや否や、国王陛下が口を開く。
「アスト!少し遅かったな。その小娘たちの長話にでも付き合わされたか?」
ノーゼンカムイ王国の国王陛下がアストに向かい話しかけると、アストは冷や汗を拭いながら応答する。
「大変申し訳ございません。国王陛下。少々話に花が咲きましたが故、到着が遅くなりました。」
その返答を聞き、事の状況に納得した国王陛下。
そして、ハッと思いだしたかのように話を始める国王陛下。
「おっと、失礼。申し遅れたな…。我はノーゼンカムイ王国国王のノーゼン・F・カムイだ。我の事は、カムイ陛下と呼ぶといい。いきなりこの世界に呼び寄せてしまって申し訳ないな御二人さん。」
カムイ陛下が炬姉妹に一言謝罪すると、姉の沙耶がカムイ陛下に事の本題を持ち掛ける。
「カムイ陛下…。何故、あたしたち姉妹をこの国に呼んだのですか?しかも、あたしを勇者として迎え入れるという理由は...一体どういったものなのでしょうか?」
姉の沙耶の投げかけれた質問に、一呼吸おいて回答を出すカムイ陛下。
「君たち姉妹は、選ばれたのだよ。実を言うと...この国がとある脅威に晒されかけているという状況に陥ってしまい…一応は軍隊にも応援要請はしたのだが・・・あまり良い反応がもらえずにいたところ…。君たち姉妹がこの国を護る為の重要な力を秘めていることに気付き、荒い手ではあるがこうして呼ばせていただいたという訳だ。」
姉の沙耶は、陛下の説明にある程度の理解を示したのだが・・・国を護る重要な力について深く切り込む。
「カムイ陛下…。この国を護る重要な力とは一体何でしょうか?あたしたち姉妹に秘められていると言われている力とは…。」
その言葉を聞き、カムイ陛下が少し考えてから話始める。
「君たち姉妹…。いや人間に皆に言える話ではあるのだが…。能力という特殊な力を操れる人間が少なからずいるのだが...それに気づき能力を開花させられる人類がほんの一握りしかいない。しかし、君たち姉妹はその能力を開花させかけていて、尚且つ高レベルな能力を内に秘めているのだよ。」
カムイ陛下が言う話によると・・・人間には能力という特殊な力があるというのだが…。
その存在に気付き更に開花させるという者が一握りしかいない一方。
炬姉妹は、その能力開花させかけている状況であって更に、高レベルな能力を有しているとカムイ陛下が話した。
だが、姉の沙耶は能力を開花させるという事に疑問を抱き、カムイ陛下に尋ねる。
「カムイ陛下一ついいですか?能力を持っているという事については理解できましたが、開花させるという事は、どういった事をするのでしょうか?」
姉の沙耶からの疑問に冷静に答え始めるカムイ陛下。
「ただ、体を鍛えるというレベルの簡単な話ではないが…。自分自身を信用する。それが、能力開花への第一歩だ。それができたら次に、自身がどういった事をしたいかを具体的に上げてそれに対してはっきりとした答えを導き出した時に、その能力が開花される。と言った流れだ。」
それを聞いた姉の沙耶は、うんうんと頷く。
そして続けざまにカムイ陛下が話をする。
「ただこの世界にも…。悪の組織があるのは間違いないのだ。だがしかし我々が生まれる何世紀も前の話だ。その当時、能力による悪と戦うべくして立ち上がったものが居た。それが、君たちの様な姉妹だったのだ。
その姉妹の姉が、神に匹敵するほどの能力を持ち、各並行世界に現れた悪を倒していき最終的には、自身が住む世界を崩壊から救ったという伝説があるのだよ。その姉妹もその家系の人間も出会う仲間たちも、能力を開花させて世界を護ったという話がある。それが、この国にも伝わって一種の伝説として扱われているという事だ。」
なんと過去にある姉妹が世界を救ったという伝説をカムイ陛下から聞いた炬姉妹は、その話を深く掘り下げようとしたのだが…。
「これ以上は、まだ話せないんだ。すまないね。だが、君たち姉妹も時期にわかるよ…。その姉妹が残した伝説の話の全貌がね。時が満ちたとき真実が明るみに出るそう言う事だよ。」
そう言ってカムイ陛下が話の深堀りに釘を刺して阻止をした。
そしてカムイ陛下が炬姉妹に、ある提案を持ち掛ける。
「君たち、衣食住する場所はあるかい?もしなければ、この城の空いている二部屋を使うと良い。そこに、君たち家ごと転移させることができるのだが…。どうかな?」
カムイ陛下は、炬姉妹の生活を心配して、炬姉妹の家ごと城の空いている部屋に転移させるというのだ。
その言葉を聞いた炬姉妹は驚きを隠せなかった。
そして姉の沙耶がそれについてカムイ陛下に話始める。
「良いのですか?カムイ陛下。あたしたち姉妹を住まわせて貰っても…。見ず知らずのあたしたちにここまで優しくしてくださって…。カムイ陛下!心より感謝を申し上げます。」
そう姉の沙耶が、言い終わるのを待ってから、アストが二人を部屋へ案内したのであった。
「えーと此処が、貴女方姉妹の部屋になります。どうぞ。」
そう言うとアストが、部屋の扉を開ける…。
すると、ある光景が広がっていた。
その光景を見た妹の彩華が、思わず口を開く。
「えっ…。まじ?すごいんだけど…ねぇねも見てよ。」
姉の沙耶も部屋の中を見て驚き言葉を口にする。
「噓…。えっ。私たちの家の内装…。そしていつも使っている家具じゃん。」
なんと、炬姉妹が部屋で見たものというのは…。
いつも過ごしている家の光景だったのだ。
そして・・・驚きを隠せない姉妹にアストが、声をかける。
「貴女方姉妹の住まいをそのままこちらへ、転移させました。これで、気兼ねなく過ごせるはずです。もし何か御用やご意見があれば、何なりとこのアストにお申し付けくださいませ。では失礼します。」
そう言ってアストは、自身の持ち場へ帰っていった。
すると、妹の彩華が部屋のドアを閉めて、部屋の中を歩き回り始める。
そして、あることを口にする。
「ねぇね。部屋の扉閉めたら、いつもと変わらない景色だね。ある一点を除けばね。」
こうして炬姉妹の部屋が城の空き部屋に転移されて、本格的にノーゼンカムイ王国に住み。
更に王国を護る勇者としての任務を開始しようとしていた。
だが、それに並行して姉妹の能力開花させるという訓練を開始することとなった。
果たして、炬姉妹は能力を開花させることができるのであろうか…。
日常から急転して、非日常へと落ちていくがふたりは無事に乗り切れることができるのか…。
そして、もといた世界に帰ることができるのであろうか。