表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〜方虎武神伝〜 戰國転生物語  作者: 蒼井玉薔
天文の章
9/11

捌之巻 天文の乱②ー動向

今回の話からいよいよ緒虎が歴史の流れを変えようと動き初めます。

しかし天文の乱は有名な割にはざっくりとしたストーリーしか分からないので、自由に物語を創造できる反面、詳細が分からないのが逆に致命的でもありますね(−_−;)



天文11年 後期 戦競は稙宗側が有利に事を進めていた。


津川城に入った時宗丸を保護した稙宗側の蘆名盛氏と、同じく稙宗側に属する越後の豪族・中条氏が互いに協力。


越後国内、特に国境で妨害工作や直接の危害を加えていた黑川氏らの勢力を少しずつ削り、翌12年には越後の反乱は鎮圧された。


越後の守護・上杉定実も、初めては謀反の影響を恐れ、守護代の長尾晴景の助言に従うそぶりをみせるものの、劣勢の晴宗側につく気にならず、稙宗に蘆名と合流し、婚儀を開く策を練っていた。


「殿、手筈整いました。」


「うむ。ワシの娘を頼む。しかと蘆名殿の下に」


天文14年 この頃には稙宗側は晴宗側を抑え西山城奪還の一歩手前まできていた。


ここが好機とばかりに定実は敵である晴宗側の大義を潰そうとあえて戦地である奥州に自分の娘を差し向ける手を打った。


ー林泉寺ー

「御館様は伊達様と是が非でも御手を組みたい御様子ですな。」

  ー上杉家家臣(長尾家客将)・金津新兵衛尉義舊ー

立場上は同じ上杉家の家臣であるが、彼の妻が私・長尾緒虎の乳母を務めている為、客分として長尾家とも深い関係にある。

乳母であるお末の夫である彼は、この時代における父親代わりの存在である。


「今更だよ。所で兄上様はなんと?」


「は、最悪の場合は上杉館を囲い守護様を"保護せよ"との事にございます。」


「そうか……」


正直驚いた。

私の知ってる長尾家の当主・左衛門尉晴景は病弱と聞いていた。

その上家臣をまとめる力もなく、愛想を尽かされ謀反を起こしては、私・景虎の力を借りて反乱を鎮圧した。

その時の戦ぶりや指揮采配を見た家臣に祭り上げられたのが歴史の流れだったはす……


しかし実際はどうだろうか?

四人も男子がいて、それが偶々当主晴景以外が全滅する事などあり得るのだろうか?


現に病がちながら次兄らの手を借り、積極的に越後の情勢に関与しているように見える。


「なら、少し手を貸してあげようか…」


「え?!手を貸すとは?如何なさるおつもりで?」


相当悪そうな顔をしていたのか、新兵衛は眉間に皺を寄せ少し険しい表情をする。


「ねぇ新兵衛、汝は誰の家臣なの?」  「は、はい?」


「もし、御館様でも兄上でもなく、妾だと申してくれるなら、このまま黙って着いてきて欲しい。」


 天文15年9月 ー沼垂郡奥山庄 鳥坂城ー

「ったく!なんなんじゃ!こんな忙しい時に!!」


「どうしても急ぎでお会いしたいと懇願されまして、断るにも断れきれず…それに、無視をされると後でとんでも無い事になりそうなので(−_−;)」


「ちっ!!」


彼は揚北衆・筆頭格 鳥坂城主:中条越前守籐資。


相模に由緒を持つ中条三浦氏19代目当主。


長尾爲景の死後、越後上杉家は当時奥州で絶大な力を持った伊達家に近づいた。


それにより元から伊達家と血縁関係であった中条家は家中で頭角を表し、現在一癖も二癖もある揚北の筆頭に登り詰めたのだ。


ー鳥坂城・本丸 大広間ー


ただならぬ空気が流れている。

中央に座る二人は金津新兵衛と長尾の姫君、現守護代の妹で、上杉家当主・定実と敵対している勢力の代表である。


家臣達がソワソワする中、廊下より甲冑の擦れる音と共に、ドスドスと足音が響き、襖が開き上座に城主・藤資が現れる。


「待たせたな、こっちも忙しいのでな!して何用じゃ?!表をあげられよ!」


「あ、父上、言葉には気を付けた方が……」


命じられ表を上げた面々にイライラしていた藤資の顔が急に青ざめた。


「な、長尾の姫君?!それに、そちらは、まさか…」


「御館様の御息女に御座います。」


「な、なんと!!」


藤資は驚いた。目の前で少し震えて怯える少女こそ、上杉の新当主候補の時宗丸の妻となる予定の姫君であったからだ。


他にも驚いた理由もある。 ほんの数ヶ月前の事である。

上杉館を出立した守護:定実の娘・お凛は親伊達派である家臣・中条家と友方稙宗派の蘆名氏の所領を目指していた。


守護定実は国が二分されてるとはいえ、主君の行列陣を襲う不忠義ものがいるとは微塵も思わなかったのだ。


ようは揚北衆を甘く見ていたのだ。


結果的に姫君を乗せた輿を率いる行列は反伊達派の襲撃を受け壊滅、姫の生死すら不明であった。


この事件により反伊達派の勢いは増し、中条家は反乱の鎮圧にやっきになり今日にいたる。


「ふふふ。お嬢が生きておいでで…ふふふ」


自然と笑みが溢れた。


「まさか敵対している守代の姫に助けられるとは、ワシも家臣失格だな。して態々助けた上でこの危険な場所に来たのには如何な訳が?」


そう呟き藤資は緒虎の顔を見る。


彼女は静かに口角を上げ笑ってみせた。



お久しぶりです。約半年?それ以上?が経ってしまいました。

この通り考えてはいたのですが、意外とストーリーを考えるのが難しかったり、他にやりたい事やしたい事が増えたり、作者の面倒くさがりな所が影響し、ここまで間が空いてしまいました。申し訳ございません。

一応まだまだ続けていくつもりです、謙信主人公なのに天文の乱で終わりは流石にマズイですからねw


本日もご覧頂きありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ