㐅之巻 覚悟
今回は短めで御座います。
いつか編集で立ち絵を投稿したいなと思いますw
因みに今回の"㐅之巻"ですが、これで"ごのまき"と読みます。
メじゃないですよ、よく見て下さい。
5→㐅 め→メ ⑸㐅 メ 微妙ですけど違うでしょ?
私は逃げられないと悟り、大きく深呼吸して口を開いた。
「ボクは自分が間違ってるとは思いません。何かを変えるためには何かを犠牲にして生きていかねばなりません。では男と女の溝は一生埋められないのですか?女はどこまで行っても男の言いなりになればいいのですか?」
「それは…」
姉の言葉が詰まる。
私はグッと握り拳に力を込めて想いを吐き出した。
「違う。そうでしょ?かつて幕府を裏で操った北条政子や、日野冨子に今参局もおりますが、それは女が表に出てはいけなかったから。
なら表に出れるようにすれば良いのです。女の仕事は裏方をすることではないです。男だって必ず戦に出なくてはいけないわけじゃない。
皆が皆自分の出来ることを精一杯やることが寛容でそれを強制するのは違うとボクは思います!」
「緒虎…」
「綾姉ぇの言う事も分かります。ですがこのままではあと400年は日ノ本はこのままです。それではダメなのです。
日ノ本にいつまたモンゴルのような外国人が攻めてくるか分からない、そんな非常事態がまた起きても、男だの女だの言ってる暇はないのです。
いい加減この日ノ本を一つにしなければ日ノ本の1500年続いた歴史は途絶えてしまう。それだけは何としても阻止せねばならぬのです。」
「でもそれなら父上や兄上にも…」
緒綾の言葉に私は優しく話しかける。
「ボクじゃないと、ボクが女だから。ボクが表に出れば否が応でも女に負けられないと下らない理由で男は奮い立つ。
ボクが活躍すればその分批判もされるだろうが、女の地位も上がる。
ボクは、皆のようにいつまで経ってもこない誰かを待つよりその誰かになりたい。ごめんなさい。
ボクは、いえ私は未来を、日ノ本を変える為、この世界に舞い降りた、毘沙門天の化身なのですから。」
その力強い言葉に私は胸を打たれた。
あんなに暴れん坊で我儘な妹とが…
いつまでも頼りないと思っていた妹が…
ふふっ…そっか、ふふふ。
「いいよ。私、認めてあげる。なんか懐かしい事、思い出しちゃった。そっか、お母様は本当に"多聞様の子"を宿されていたのですね。」
「綾姫様?緒虎様?どう言う事ですか?」
それまでずっと黙っていたお末が遂に口を開いた。
「お末にもきっと分かる日が来ます。このご縁は大事に。そうだ、今度新兵衛殿を呼んでは如何です?きっと興味を持たれると思いますよ。」
そういうと姉上達は帰り支度を済ませ、「私達はこれにて。また」と帰っていった。
ー7年後ー
緒虎は13歳になった。思いの外身長が伸びず未来の寸法でいくと161cmくらいである。
史実の世界での彼女は156cmなので5cmも上がったのだが、個人的にはもう少しいけると思っていた。
それは勿論大柄であったとの記録からである。
この記録を知ってるからこそもしかしたらと淡い期待をしていたが、残念な結果になってしまった。
しかし全体的に悪くないと思ってる。
というのも謙信公めちゃくちゃの美人だったのだ。
13歳にして既に未来の私よりもマシュマロが育ってるし、鍛えてるせいか腰がキュッとしまってすらっとしていた。
私の努力もあるとは自負しているけど、元々美人な人なんだろうなーとは思ってる。だって同じくらい頑張ったところで未来の私だったらこうはならないしからw
そんな軽い冗談を思いながら日々鍛錬を続けていたある日。
「ひ、姫様〜!!」
廊下を慌てて走ってくる乳母がいた。
「どうしたのお末?そんなに慌てて…」
私は落ち着くように諭すため、お茶を差し出した。
「はぁ、はぁ、、、ちょいと失礼。」
そういうとお末は私が入れた茶をズズズズズズと飲むと、ぷはぁ〜…と一息ついた。
「おっさんかえ貴女はw
で、どう?落ち着いた?」
そう聞くとお末は深呼吸をして喋り出した。
「はい。お陰様で。……ふー…実はですね。姫様のお父上、御先代の信濃守様が身罷られました。」
「え?」
その知らせは越後の梟雄・長尾爲景の死であった。
今話もご覧頂き誠に有難う御座います。
今更ですが、今回の副題に使ってる数字は古字のものです。
今までのタイトルも全部古字数字で表記しておりますw
大字を使う漫画家はいても古字を使う人はいないですし、PCで表記出来たので使ってみましたw
次回をお楽しみに。