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〜方虎武神伝〜 戰國転生物語  作者: 蒼井玉薔
転異の章
2/11

弌之巻 転生

すいません本編はじまります。お待たせ致しました。

本当は零巻を投稿したらすぐ一話を出す予定が、時間掛かってしまいました。


…………年……月……日。この日、日ノ本を……せしめた……、……朝臣方虎(みちとら)…が亡くな…れた。


…身一つで…も止め…事の出…なかっ……乱の世を…めた伝説の英…。


こ…書は…が知…うる彼…の全て…記した…伝記也。



ーー方虎武神伝(ほうこぶしんでん)ーー



全身を包む暖かな光。鳥の(さえず)り。静かなる心に響く草木の音。   眩しいな。


自然に瞼が開き、飛び込む景色に目を奪われる。


「ここ……何処?」


理解が出来なかった。つい先程まで駅にいたはずである。


確かに、私は内心焦っていた。単位が取れず留年どころか自主退学を強要される手前まできていたからだ。


"次のテストは落とせない" そう意気込み無理して三徹目に突入した日の事だ。


いかにも青春を満喫中の、カラフルヘアーの女子高生の鞄に押され、あろうことか線路に飛び出た所までは覚えてる。

汽笛の音で死の直前に気絶出来た事が不幸中の幸いだと思っていたんだが、これはどういう状況なのか?


助かったとは思わなかった。まず最初に鼻に届いたのが、畳の香。そして花の香りだった。

普通は薬品の香だろう。その時点で自分のいる所が病院ではない事は容易に想像出来る。


で瞼を開けたら折り上げ格天井である。


いやいやおかしいって。どうなってんの。

何?私死んだの?生きてんの?

いや生きてるんだけどさ、なんでこんな所にいるの?

ここ何処なのよ?!


全てが謎である。


周囲を見渡せば、おそらく私の頭についさっきまで乗っていたであろう暖かい布と、それを絞るお湯の入った桶。

松竹梅や桜が描かれた奥の襖に、開かれた障子の間から見える少々残った溶けかけの黒ずんだ雪に、綺麗に整備された枯山水の庭。


明らかに普通じゃない。例え死ぬ前に誰かに助けてもらったとしても流石にこの展開はねーだろ?全然分からん。


そうして頭に浮かぶ疑問に困惑していると、ミシっと床の軋む音が聞こえた。

反射的に音のする方こ奥の襖を見てると、ゆっくりと静かに襖が開かれ着物を着た女性が現れた。


「姫様、あんべーなじらに御座いますか?ーってあっきゃー!!!」「っ!! わー!!」


入ってきた女性の大声に釣られて私も思わず、声を上げてしまう。そのまま女性は尻餅をつき、私は目を見開いてその女性を見つめていた。


「あっ痛い…ててて。こうしちゃおれんね、殿と和尚様を呼ばねばね!」


女性は立ち上がるなり大慌てな様相で部屋を出て行った。

その行動の速さに私は、声を掛けようとしたにも関わらず何も出来なかった……所で姫様って??え?私の事?


素直に待ってみる事にした。一人で動いてもろくな事ないだろうし。しっかし外の景色や花から想像するに、恐らく春なんだろうけど、めちゃくちゃ寒いんだけど……


ー暫くしてー…激しい足音と廊下の軋む音で、うとうとしてた目が覚めた。するとものすごい勢いで襖が開かれた。


「目が覚めたから!緒虎(おとら)!!」


入室してきた月代の男は開口一言に叫んだ。そして凄い勢いで私に近づき額に手を当てた。


「うむ。熱もないようじゃ。お末(おすえ)ようやった。感謝しきれぬ」


男は続いて入ってきた先程の女性にそう告げた。


「はぁ…はぁ。と、殿。お気持ちは分かりますが、廊下は余り走るものでは御座いませんよ。…はぁ、はぁ…

姫様に関しては私も、乳母として当然の事を…したまでです。」


「うむ。…所で緒紺の奴はまだこんのけ?ようやっと娘の体調が回復したがんに…」


「全く誰です?家臣達の間をかき分け我先に突っ込んどった猪さんは…」


そう言いながら現れたのは素人から見ても分かる高貴な衣装を見に纏う女性と小さな男の子だった。


「緒虎、体調は如何ですか?」 「え?まぁ…元気です。」


優しい声。包み込まれるような気分になる。


「そうですか?私には嘘を付いているように見えますが?」


あっ、嘘ごめん反転して凄い怖いです。顔や声は優しいままだが目が笑ってない。まるで虎のような鋭い視線が私を突き刺すようだ…


「え…あ。あの…うぅ…」


何か言い訳をしたいと思う気持ちがあるが言葉に出来ない。

まずそもそも今自分の身の周りで何が起きているか理解すら出来ていないのだ。


良い回答が出来ずあたふたしていると小さな男の子がスッと手をのばし、私の頭を撫でた。


「よしよし。いい子いい子。母上、緒虎を許して欲しいのです。緒虎は今の今までずっと寝っていたのです。多少の混乱は致し方ないのです。」


なんて優しい子なんだろう。心がスッと軽くなった。


私は少し深呼吸をし正直に「実は目覚めてからというもの記憶がすっぽり抜けておりまして」と伝えた。


本編ご覧頂き誠に有難うございます。

出来るだけ時間を空けずにまた二話を投稿する予定です。

末永く見守って頂けると幸いにございます。


因みに、tipsという事で喋ってるのは上越の西越方言のつもりです。その他方言がちょくちょく登場します。

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