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空鉄の宇宙 ~親友と一緒に最難関VRロボゲーで最強を目指す~  作者: アカツキ八流
二章:新たな帝王、そして古き者との対決
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武装分析/Weapon Analysis


「これはクソ武装ということでいい...のか?」


隣に立っている元帥さんが喜ぶべきなのかどうか分からず、少し迷った様子で首を傾げている。


「いえ、正直この武装に関してはクソ武装ではないと思います。自衛用に持つ武装としては、近距離自衛以外でも機能するだけでも破格の性能です。ただ、今回の様に近接攻撃主体の機体に装備する武装ではないと思いますが...」


恐らく、周りのプレイヤー達が困惑している理由の大きな部分は、攻め寄りの性能を期待していたからだ。何せ、近接機体の主力武装として持たせて紹介しているのだ。

なのに、蓋を開けてみると相手の攻撃へのカウンターというどちらかというと防御寄りの性能。


皮肉にも、この武装は強化するはずだった近接機体ではなく既に強い中距離機体を強化する武装なのだ。


「おい、これ結構マズくねえか?反射できるビームの種類によってはこの武装一つで砲撃機や狙撃機にかなりの有利を取れるようになるぞ。」


「今回のエキシビジョンマッチの結果次第では調整される可能性がありますけど、限りなく低いですね。」


俺はブレイヴさんの機体を眺めながら答える。


ブレイヴさんの機体は狙撃機。

元帥さんの懸念通り狙撃機の弾を反射できる場合、それだけ相手が迂闊に弾を撃てなくなる。その場合、一方的に片方が弾をばら撒ける状況になりかねない。


問題は、今回ビームジッテを使っているのが射撃武装のない(と思われる)機体だということだ。

確かに相手の弾を跳ね返すことにより攻め易くすることはできるが、射撃を行える機体が使った時ほどの恩恵は無い。よほど一方的な試合にならない限り、調整は見込めないだろう。



そう談義している内に、試合に動きが見え始める。


ブレイヴさんはレイドラを視認したのか、ライフルを構える。

しかし、その手順におかしな点がある。

スナイパーライフルを撃つ場合、停止してから狙い撃つのが常識だ。これは宇宙戦でも地上戦でも同じであり、サブ機体として普段から狙撃機を使っているブレイヴさんはそれをよく理解しているはずだ。

だが、今画面に映っているブレイヴさんは停止することなく、移動しながらライフルをレイドラに向けている。


「あいつ何やってんだ?あんなことしてたら射線切れちまうぞ。」


元帥さんが指摘した通り、射線を遮るようにデブリが前を通り過ぎる。

しかし、何を考えたのかブレイヴさんは銃口を思い切り右に向け、引き金を引く。

放たれた光の弾丸はレイドラのいる場所とは全く別の場所へ飛んでいく。


「ブレイヴさんは何を―」


俺がそう言いかけた瞬間、光の弾が急にその進路を変える。

直角に曲がった弾丸が向かう先は、ビームジッテを構えて周囲を警戒しているレイドラの機体。


「おいおい、誘導するスナイパーライフルとか洒落になんねえぞ...!」


ブレイヴさんの攻勢はまだ止まらない。

続けて二発目、三発目を違う方向へ撃つと、スナイパーライフルのマガジンを取り外し新しいマガジンを再装填する。


なんとかブレイヴさんの攻勢を退けるレイドラ。何やら見慣れない武装を使用したレイドラの機体は、淡い粒子の殻に覆われている。



プロデューサーの解説を待つことなく、俺は今の攻防で理解できた情報を話始める。


「誘導スナイパーは高誘導低弾速俺の予想だと一度ロックした敵に誘導している弾数三発の撃ち切り手動リロードリロードタイプは難2十手はスナイパー弾対応ただ反射方向は振った方向に依存バリアは機体自体に組み込んでいるからコストは重め耐久力そこそこ発生かなり速い」


「オッケー全部メモった。相変わらずの観察眼で助かるよ。もう少し遅めに言ってもらった方が分かりやすいけど。」


横で聞いていた静香さんは驚いた様子で俺達のことを見ている。


「えっと、今の何かの呪文?」


静香さんを完全に置いてきぼりにしていたことに気付き、俺は慌てて説明する。


「すみません、今やっていたのは新武装の分析です。一応放送が終わった後解説動画を投稿する予定なので、その為のメモを取っている感じです。」


「すごいね、あの短い時間だけでいっぱいなことが分かるんだ。」


「ま、まあそれなりに長い間やってるゲームなので知識だけは一丁前ですから。」


横で生暖かい目で見守っている元帥さんが「知識だけ、ねぇ...」と呟いているが、あえて無視する。



大型モニターには狙撃をしてきたブレイヴさんを必死に探すレイドラが映し出されている。

しかし、さすがに別方向からの狙撃の種を導き出せていないのか最後の狙撃が飛んできた方角へと向かっている。


このままだとまた不意打ちされるのではないかと思いブレイヴさんを追っている画面を見ると、意外な光景が映っている。

ブレイヴさんの機体は次の攻勢の準備をすることなく、レイドラの機体をただ見つめている。ライフルは背中に背負われており、全く戦意が感じられない。


レイドラの機体の周りにあるバリアが消えると同時に、ブレイヴさんはライフルを背中から外す。

その動作によりブレイヴさんの位置を察知したレイドラは、警戒した様子でビームジッテを構える。


ブレイヴさんはレイドラの前で徐に銃を構え、銃口を横にずらしてから撃つ。

飛来してきた弾をレイドラはビームジッテで跳ね返すが、ブレイヴさんは難なくそれを避けた後に逃走する。



その一連の流れに周りのプレイヤー達はざわつく。


「おい、今の絶対煽りでやったよな。」


「性能紹介にも必要ないし絶対そうだろ。」


「仮にも全一取った奴が初めて二週間のプレイヤーを煽るとかオワってるだろ。」


公式放送でも解説を行っている鈴中Pの横でアンドーさんが気まずそうな顔をしている。



そして、肝心の煽られた本人であるレイドラは、数十秒前に比べるとかなり荒々しい動きでブレイヴさんの後を追う。


「...レイドラの奴結構ブチギレてねえか?」


「あいつ何でもできて基本的に煽られないから、煽り耐性低いんですよ...」



試合の雲行きが怪しくなり、武装性能より試合展開が心配になり始めた俺であった。


前回を書いた後に気付くブレイヴのクズさ...

公式生放送で煽り行為を行うとか出禁案件だろ

ストーリーの都合上多分出禁にならないけど


次回はまたレイドラ視点になります。

戦闘が進むペースが滅茶苦茶遅いですがご容赦ください...

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