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空鉄の宇宙 ~親友と一緒に最難関VRロボゲーで最強を目指す~  作者: アカツキ八流
二章:新たな帝王、そして古き者との対決
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接敵/Down to Business

睡魔に負けたので昼投稿です。


「ああクソ、嘆いていてもしょうがねぇ。とりあえず状況確認だ。」


好きなだけ叫んだことにより、頭はだいぶ冷静になってきた。


まずはフィールド確認。

見たところ、フィールドはデブリベルト。よく抽選されるフィールドで、始めてからの二週間の内でもかなりの回数プレイしたフィールドだ。


次は相手の機体タイプの絞り込みだ。

デブリの間を縫いながらしばらく様子を見るが、攻撃がくる気配はない。

どうやら相手の機体は高火力砲撃機ではないみたいだ。


俺の機体が近距離機体ことを考えると、相手も近距離機体ということは無い。

もしそうだった場合、新しい武装が近距離機体に偏りすぎてしまう。


となると、残された選択肢は―


「中距離機か狙撃機、か。正直どっちでも辛いな…」


古兵曰く、現在上位帯で多く使われている機体タイプが中距離機と狙撃機らしい。その為、多くの上位プレイヤーは最低でも中距離機と狙撃機を一機ずつ使えるようにしているらしい。

全国大会を勝つほどの実力者であるブレイブさんがこの例から漏れるはずがない。どちらの機体タイプでも、かなりの高レベルで使いこなせるはずだ。


「全く、初心者にもうちょっと優しくしてくれよ…」


狙撃機をうまく使いこなせるブレイブさんに任せるという理屈は分からなくはない。

だが、だからと言って初心者に使いづらい近接機体を任せるのはどうかと思う。


またもや文句が口から漏れそうになったが、何とか止める。

警戒心を高めつつ、腰から唯一中距離戦で使えそうなビームジッテを引き抜く。


粒子バリアは完全に防御用だし、アンカーフックは近~中距離でしか機能しない武装だ。

ビームジッテであればビームを跳ね返すことにより牽制ができる。正直これだけで腕の立つプレイヤーと中距離戦を行うのは心許ないが、無いものをねだっても仕方がない。


スラスターの出力を前進できる最低限にし、ゆっくりと敵の気配を探る。


今のところ敵の動きは全く感じられない。

もう少し移動しようと、スラスター出力を僅かに上げる。



その瞬間、前方左側から光の弾が襲い掛かる。

咄嗟にビームジッテを展開し、何とか受け止める。


「狙撃機か!」


弾が飛んできた方向に突撃しようとすると、背筋が凍るような感覚に見舞われる。


直感でビームジッテを頭上で振る。

ビームジッテは飛んできていた光の弾をとらえ、反射された弾はデブリに直撃し、鉄塊を一瞬にして溶かす。


「っ!」


攻撃が予想できなかった。

直感で何とか迎撃できたが、少しでもタイミングが外れていたら間違えなく今頃宇宙(そら)の藻屑と化していた。


なんとか体勢を立て直そうとするが、相手の攻勢はまだ終了していない。今度は機体の下方向から光の弾が飛来する。


上に振るったビームジッテでは迎撃が間に合わない。なら―


「粒子バリア展開!」


機体の各所にある装甲が少しずつずれる。できた隙間から大量の粒子が散布され、機体全体を覆う球体の形をとる。


飛来してきた光の弾は球体に激突し、霧散する。


「正直、ここでは使いたくなかったけど…!」


粒子バリアは強力な防御武装ではあるが、かなりリチャージ時間が長い。

出来れば相手に接近するタイミングで使いたかったが、背は腹に変えられない。


粒子バリアの耐久値は光の弾を防いだことにより残り三割ほど。

継続時間は残り10秒ちょっと。


「使わされたからには存分に活かす!」


スラスター出力を一気に上げ、突撃する。



現在自分が考えている相手の機体タイプの可能性としては二つ。


一つ目は最初の攻撃を受けた時に導き出した狙撃機。

先程撃たれた敵の弾はかなり弾速が早かった。昨日の機体練習時の狙撃銃よりは少し遅い気はするが、まだ銃の特性として納得できる範囲内だ。粒子バリアの耐久値が七割削られたことから威力も申し分ない。



そして、俺が考えている一つの可能性。それは―


「まさか新型ARW搭載機、か…?」


一番自分の中で引っかかっている点が、攻撃が飛んできた方向だ。


一発目は左、二発目は上、三発目は下。

狙撃地点を変えて撃ってきているにしては、あまりにも移動が速すぎる。


しかし、ARWを利用した攻撃であれば納得がいく。

予め三か所にARWを設置し、連続して攻撃を行う。

現在実装されているARWでこれほどの威力の射撃を行えるものは無いはずだが、新武装であることを考えると十分考えられる。



どちらだとしても、接近しなければまともな試合にならない。


俺は血眼になりながら相手の機体の位置を探す。


狙撃が飛んできたのはこの方角で合っているはず。

狙撃機ならあまり離れた場所にいないはずだし、ARWなら離脱しているのをとらえることができるはず。


だが、周りを見回しても敵の様子はない。


そうこうしている内に粒子バリアの持続時間が終了する。

粒子が霧散し、装甲が元の位置に戻る。


すると、タイミングを計っていたかのように何かが動く。


「上?!」


見上げると、赤目の機体が狙撃銃を両手で持ちこちらを見下ろしている。

だが、相手の位置はさっきまで俺の機体の位置にいたにしては離れすぎている。


「どうやったらそんなに離れて―」


俺が言い終える前に、相手の機体が狙撃銃を構える。

迎撃するために、こちらもビームジッテを機体の前に構える。



だが、相手は突如銃口を右にずらすと、そのまま引き金を引く。


全く理にかなっていない行為に困惑するが、その感情も一秒後に消える。



相手の銃口から放たれた弾はしばらくまっすぐ進むと、急に進行方向を変える。その向かう先は、勿論俺の機体。


「この程度!」


弾の挙動に少し驚きはしたが、あらかじめ来るのが分かっている弾であれば恐れるものは何もない。弾が飛んでくるタイミングに合わせ、ビームジッテを思い切り振る。


「ノックの時間だオラァ!」


ビームジッテによって跳ね返された弾は猛スピードで相手に直進する。

危険を察知した相手は余裕をもって回避行動を取り、機体の横を弾が通り過ぎる。


回避したのを確認した敵の機体は、俺を一瞥すると機体の向きを変え、スラスターを吹かす。


「てめぇ、逃げるな!」


俺は頭に血が上るのを感じながら機体のスラスターを吹かし、相手の後を追う。


先程の一連の流れは、全く相手が得しないものだった。

バリアが切れた後の行動から始まり、丸見えの状態での狙撃。


バリアが切れると同時に狙撃を行っていれば、不意打ちができた。

姿を見せずに狙撃を行っていれば、俺に銃の性能をばらさずにいられた。

わざと銃口をずらさずに撃っていた場合もそうだ。


さっきの相手の行動は、新武装の性能を俺にばらすために行ったものだ。

それは自分の有利をあえて捨て、相手に有利を与える行為。

それによって分かったことは一つ。



完全に相手に舐められている。



「絶っっ対に後悔させてやる…!」


乱暴にペダルを踏み込むと、俺の怒りに共鳴するかのように機体が吠えて加速する。


やっとちゃんとした戦闘だー!


そしてさっそく舐めプをかまされるレイドラ。

しょうがないんだ、相手全一だから...

あれ、全一マナー悪くね?


適当な話は置いておいて、この戦闘中はテンポ的に視点変更を可能な限り話毎に行うことにしました。


なので、次回は『ペガサス』で視聴している一達の視点になります。

次回もよろしくお願いします!

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