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空鉄の宇宙 ~親友と一緒に最難関VRロボゲーで最強を目指す~  作者: アカツキ八流
二章:新たな帝王、そして古き者との対決
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放送開始/The Stream Begins


直前リハも終わり、スタッフ達が本放送の準備を始めている。


そんな中、俺はリハーサル前に会った共演者との会話を思い出す。




「げ、現空帝ですか?!」


白髪の青年が発した言葉に驚きを隠せず、思わず聞き返してしまう。


「そうか、そういえばまだ初めて二週間だったね。知らなくても別に不思議じゃないよ。」


俺は首を振る。


「いえ、名前は知っていますし、試合の動画とかは見たことあります。でも、アバターは見たことなかったので…」


ブレイヴさんはクスリと笑う。


「確かに、対戦動画とかではアバターを見る機会は無いからね。アバターが広く知られているのは有名な動画投稿者くらいじゃないかな?それこそ君の友達のエンシェントさんとか。」


ブレイヴさんの物言いに少し含みを感じるが、さすがにそこを詮索する度胸は今の俺にはない。


何とか話題を逸らそうと考えていると、とある事実に気付く。


「ブレイヴさんがもう一人のゲストということは、もしかしてエキシビションマッチの対戦相手って…」


「もちろん、僕だよ。でも別に心配しなくていいよ、エキシビジョンマッチの第一目的は武装の性能紹介だから、ちゃんと動けていればすぐに試合終了に持っていくようなことは無いよ。」


「す、すぐに撃墜されないよう気を付けます。」


何故か分からないが、ブレイヴさんの物言いにすごく圧を感じる。



すると、リハーサルが始まることを知らせるシステムアナウンスが鳴る。


ブレイヴさんは振り返りながら俺に手を振る。


「僕にも使えなかったARWを使いこなせたんだ、君には期待しているよ。」


それを聞いた瞬間、俺はブレイヴさんの圧が私怨によるものだと察した。




「本番まであと3分です。指定された場所に移動してください。」


システムアナウンスにより現在に引き戻される。


指定された席に行くと、隣には同じくスタッフに指示された席にブレイヴさんが座っている。

目線があったので軽く会釈をすると、涼しい表情を崩さず頷き返される。


先程まで放っていた威圧感は全くないが、気を抜くことはできない。


指定された席に座り、放送が始まるのを待つ。


すると、準備が整ったのか、スタッフがカウントダウンを始める。


カウントダウンがゼロになると同時に、カウンターテーブルの逆側に座っている男性が明るい声で司会を始める。



「さあ始まってまいりました、『空鉄の宇宙』の月初め恒例放送です!」





「本日は司会進行兼実況を担当させていただきます、アンカーゲームズ所属Wolv(ウルブ)です!よろしくお願いしまーす!」



モニターに映る放送では、出演者達が自己紹介を始めている。


実況解説のアンドーさん、プロデューサーの藤岡さん、制作プロデューサーの鈴中さん。


それぞれが自己紹介を終えた辺りで、俺の左側に座っている静香さんが俺の耳元で(ささや)く。


「もうすぐ龍斗の自己紹介かな?」


「た、多分次ですね。」


いけねぇ、意識が飛ぶところだった。囁きは反則だろ。またやられたら確実に意識が消し飛ばされる。


深呼吸して何とか平静を取り戻していると、司会のWolvさんに再びカメラが向く。


「では、本日のゲストを紹介していきたいと思います!まずは、先週行われたニューカマーズ・ジャンクヤード・トーナメントで見事優勝を果たしましたレイドラ選手です!自己紹介をお願いします!」


カメラが切り替わり、画面には龍斗、もといレイドラのアバターが映し出される。


「初めまして、レイドラです。まだこのゲームを始めてあまりたっていない不束者(ふつつかもの)ですが、よろしくお願いします。」


少し緊張しているのか肩に力が入っているレイドラに少し違和感を覚える。


俺は右隣に座っている元帥さんに小声で話しかける。


「なんかレイドラがいつも以上に緊張している気がするんですけど、何か心当たりありません?」


「さあ?一応生放送に呼ばれるのは結構大事だし、それで緊張してるんじゃね?」


元帥さんの言う通りの可能性もなくはないが、これまで龍斗はもっと大規模な大会などでも全く緊張した素振りを見せたことすらなかった。いまさら生放送に出るからと言って緊張しダストは考えにくい。


レイドラの緊張の理由を探っていると、Wolvさんが次のゲストの紹介を始める。


「二人目のゲストは、皆様に取っては既にお馴染みになっていると思います、第4回空鉄の宇宙空帝戦の覇者、ブレイヴ選手です!」


「どうも、現空帝を名乗らせていただいています、ブレイヴです。本日は話題の逸材がいるということなので、楽しみにしながら待っていました。どうぞよろしくお願いします。」



その自己紹介を聞き、俺はレイドラがどうして緊張していたのか理解する。

どうやら元帥さんも同じ結論に辿り着いたらしく、苦い顔をしている。


「ブレイヴの野郎、絶対レイドラの奴に何か言っただろ。」


横から聞いていた静香さんが首を傾げる。


「あのブレイヴさんって人と龍斗の間に何かあったの?」


「龍斗というより僕ですね。僕とブレイヴさんの間に少し因縁みたいなのがあって、龍斗を誘ったのが僕だから少し飛び火したのだと思います。」


「まあ実際にそうかは本人に聞かないと分からないけどな。」



そうこう話している内に、番組は既に進み始めている。

現在はエキシビジョンマッチについての説明が行われており、画面の前で見ている他のプレイヤー達は暇そうに携帯を弄り始めている。


正直俺達が気にしたところで、レイドラの為に出来ることは何もない。大人しく画面を眺めながら、試合開始まで待つことにした。





司会進行がエキシビジョンマッチの説明を行っている中、俺は今回のエキシビジョンマッチの戦略を立てることにした。


まずは中距離機体。

恐らく一番なのがこのタイプだ。

ある程度適当に弾をばら撒き、オプションがあればそれも使う。新しい自衛用武装などがあれば少し近くに寄ってから使えばいいし、特に難しくない。


砲撃機も楽だ。

一対一では使いづらい武装でも、一度使えばある程度性能が把握できる。最初から使えるため武装性能を見せられないなんてことは無いから、そこに関しては中距離機より楽かもしれない。自衛用武装があった場合中距離機体より機動力が低い分少し難しいが、まだまだ何とかなるレベルだ。


狙撃機は少し難易度が上がる。

狙撃銃は砲撃機と違いちゃんと射線を確保しないといけないため、撃てる条件が限られる。強化機能も扱い辛いものだった場合機体性能を活かせないまま撃墜されてしまう危険性がある。それだけは絶対に避けたい。


一番渡されて問題なのは恐らく近距離機体だ。

近距離機体は一度近づいたら決着がつくというコンセプトを持つ者が多い。だが、エキシビジョンマッチでは装備された全ての武装を紹介しなければいけない。なので、何度も接近し相手を撃破せずに攻撃をするというループを行わなければいけない。正直一番来てほしくないタイプの機体だ。


残されたタイプは後―



「では、これよりエキシビジョンマッチを開始したいと思います!両者には健闘を祈っています!それでは、行ってらっしゃーい!」



目の前が真っ白になる。

俺は使いやすい武装を割り当てられることを祈りつつ、テツソラに移されるのを待った。


二つの視点を同時進行させるの難しい...


前回言い忘れていたのですが、筐体識別番号の『IS』の部分は、英語名として考えていた『Ironclad Skies』の略称です。『PG』は店舗名の『ペガサス』から、『0079』はお馴染みの数字って感じです。分からなかったら調べてみよう。


次回からエキシビジョンマッチ開始です!二つの視点を同時進行で行うので少し進みは遅くなると思いますがご了承ください。

それでは!

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