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空鉄の宇宙 ~親友と一緒に最難関VRロボゲーで最強を目指す~  作者: アカツキ八流
二章:新たな帝王、そして古き者との対決
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初会合/An Unexpected Encounter

今日は時間通りに投稿だ!


しず姉と(はじめ)と別れ、昨日あらかじめ指定したVR筐体の元に向かう。

隣には筐体に接続された設定端末を操作している店長が立っている。


「すみません、お待たせしました。」


「来たね、龍斗君。準備は終わっているからぁ、いつでもログインしていいよぉ。」


「ありがとうございます。では行ってきます。」


「行ってらっしゃい。頑張ってねぇ。」



店長に見送られ、俺は筐体の中に入る。聞き慣れたアナウンスが流れる中、俺は体の力を抜き、目を閉じる。


体全体を奇妙な感覚が押し寄せる。

フルダイブが開始したことを認識し、目を開ける。



いつもと違い、真っ暗な空間に迎えられる。


周りを見ると、自分の体が何もない空間に浮いていることに気付く。

何か不具合があったのか気になっていると、先程とは違う声のアナウンスが鳴り響く。



「筐体識別番号IS-PGS0079よりJPNクリエイターメタバースへの接続申請を確認しました。使用アカウントのアクセス許可状況を確認します。」


「アカウント名『レイドラ』に限定アクセス許可を確認しました。これよりJPNクリエイターメタバースへ接続します。」



真っ暗だった空間に星の様な光が無数に輝き始める。

小さな点だった光はゆっくりと動き出すと共にその光を増していく。



そして、光が最高潮に達すると同時に再び意識が無くなる。





生放送について知らされた日の夕方。

生放送に『空鉄の宇宙』の筐体を使って参加することを知った俺は、色々とフルダイブVRについて調べてみることにした。

その時知ったのが、フルダイブVRという技術が思っていた数倍珍しい技術だということだ。



その最も大きな理由が、フルダイブVR設備を設置できる条件がかなりシビアなことである。

現在のフルダイブVR設備はかなり大きいため、場所を取る。普通のワンルームアパートに設置した場合、そのほとんどを埋め尽くさんと言わんばかりの大きさだ。


さらに、人を完全な無意識に状態にすることから、かなりの安全対策を行わなければいけない。常にダイブしている人の状態を管理できる人員が必要になる。『ペガサス』にそれを行っている人を見たことは無いが、恐らく裏方でずっと画面に張り付いている状態なのだろう。


そして、何より厳しいのが費用である。ただでさえ筐体事態とその維持費がかさむのに、安全対策のための維持費なども追加されると、とても個人では払いきれない額になる。



だが、そんな中で現れた数少ないフルダイブVR設備を利用できる施設が『フルダイブVRハブ』である。


「よりリアルなゲーム体験」を売り文句に登場したフルダイブVRゲームは、数々のゲーマーを虜にした。

ファンタジーでしか見ることのできなかったゲーム体験が、自分でも行えるようになったのである。プレイするには金を払わなくてはいけないが、そこでしかできない体験を味わえるのであれば安い出費だ。

多くの熱心なゲーマーが唯一無二のゲーム体験の為にフルダイブVRハブへお金を注ぎ込んだ。


この盛況により、フルダイブVRハブはフルダイブVRの開発者たちから重要なデータ源として重宝されている。



そして、このフルダイブVRの波に乗ってきたのがメタバース業界だ。


これまでのメタバースはVRヘッドセットを利用して接続するものが主流だったが、やはりヘッドセットとヘッドホンだけでは「対面とは違う」とケチをつける人が出てくる。

その理屈と対抗するためには、現実と全く同じ状況をオンライン上に作れる技術が必要になる。

それを可能にするのが、現在のVR技術の発展形ともいえるフルダイブVRだった訳だ。



フルダイブVRとメタバースの開発者達が協力し、全世界でいくつかの試験用メタバースが開発された。


そして、最もフルダイブVRハブが栄えていた日本で作られたのが『JPNクリエイターメタバース』である。


フルダイブVRゲームの開発者またはその関係者のみが使用できるメタバース。

基本的に部外者は利用できないが、招待を受け取ることにより一時的にゲストとして利用できることがこのメタバースの特徴である。



この機能により、JPNクリエイターメタバースは多くのフルダイブゲーム開発者により『情報発信の場』として利用されるようになったのである。


情報発信の為にこのメタバースを利用し、実力のあるプレイヤーをゲストとして招く。


プレイヤーにモチベーションを与えると同時に、メタバースへの注目を集める方法として利用されたのである。



他のゲーム程名前が有名ではないテツソラも例外ではないらしく、度々大会優勝者や優秀な戦績を残しているプレイヤーが放送に呼ばれ、新武装のお披露目などを行っている。




ただでさえ珍しいとされているフルダイブVR設備を利用して、限られた人しか利用できないメタバースに接続する。



俺がもらった一通の招待メールが思っていたより大事だったと知ったのは俺が承諾のメールを送った半日後であった。





再び目を開けると、現実世界とほぼ変わらない見た目の控室にいた。


近くの鏡をのぞき込むと、赤紙の青年が覗き返してくる。

普段は油臭い環境で見ることしかなかった自分のアバターを現実に近い環境で見ることに違和感を覚えつつ、部屋の中を見て回ろうと立ち上がる。



しかし、立ち上がると同時に控室の扉が開く。


入ってきたのはいたって普通な見た目の男性。

それもテツソラ基準の普通のではなく、日本基準の普通である。

着ているTシャツには「スタッフ」と書いてあり、何やら右手でウィンドウを操作しながら入室する。


「あなたが『レイドラ』さんですね?もうすぐリハが始まるので、一緒に来てもらえますか?」


「あっ、はい、分かりました。」


言われた通りにその男性に付いていく。

控室と同様に廊下も現実世界に寄った見た目で、自分の見た目がアバターでなければ本当にVRなのか疑いたくなるほどリアルになっている。


しばらく歩くと、番組を行うスタジオに辿り着く。

工房を意識して作られたその空間は、中央のカウンターテーブルを囲うように様々な工具やテツソラに登場する銃などが壁に飾られている。

このスタジオはVRであることを全力で生かさんとばかりに、あらゆるものが本物でできている。現実ではグリーンスクリーンや模型などでごまかすようなものも、すべて実際に存在している。

恐らく壁に飾られている銃なども、手に取ってみれば撃つこともできるのだろう。



現実と同じような環境で仕事をしやすくしつつも、VRでしかできないこともしっかりやっている。

そんなコンセプトが見て取れるこのスタジオに感心しながら、中央のカウンターテーブルに指示された通り行く。



そこには既に一人待機しており、テーブルに肘をつきながら遠くを見つめている。


少し現実離れした整った顔と異様なまでに白い白髪であることから、運営側の人間でないことはすぐに分かる。

となると、今日対戦する相手のプレイヤーだろう。


俺は恐る恐るそのプレイヤーに近付き、話しかける。


「あの、すみません。今日一緒に共演させていただくレイドラと言います、よろしくお願いします。」


白髪の青年は話し掛けられて俺の存在に気付き、俺の方を見る。そして、微笑みながら自己紹介をする。




「初めまして、レイドラ君。君の噂は聞いているよ。僕はブレイヴ。一応今年の空帝戦を優勝して、現空帝を名乗らせてもらっているよ。」


一側と同じところまで進める予定出たけど思ったより説明が長くなってしまった...


最初からこの作品でやりたいと思っていたのが、VRMMOが可能になるまでの過程を描くことです。

割と多くの場合天才が作ったオーパーツ的な扱いをされがちなVRMMOですが、普通に考えれば段階を踏みながら少しずつ必要なものが出来上がっていくはずです。


そしてその一部になると感じたのが、メタバースです。

何かと最近耳にしがちな言葉ですが、コンセプトを聞いた時「あれ?VRMMOって似た要素多くね?」と思いました。

だとすると、VRMMOを作る過程の中に「フルダイブVRを利用したメタバース」が挟まってもおかしくないのかなと思いメタバースの存在を設定にぶち込むことにしました。


そして、本題ともいえる現空帝の登場。

共演者だからあらかじめ知っているはずではというツッコミはご愛嬌ということで。

レイドラ君があえて見ていなかったということで許してください。


次回からは生放送部分。

まともさは多分ゼロです。

お楽しみに!

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