2.不文律
トン
マハラジャの不文律
東通りを一人歩くオレ
今夜も目指すはマハラジャ
まんだらけの前を通り過ぎあと数メートルで
マハラジャというとき、いつも店の前の
無料案内所のポニーテールのおじさんに声を
かけられる
「今日も行くの」
「そやでぇ」そう答えていそいそとマハラジャに入るオレ
マハラジャも毎月行ってるとよくみかける人がいる
大勢、男性も女性も。
そういう人たちとは自然と顔見知りになって話もするようになる。
みなノリがいいというか、アメリカン気取りなのか
よくハグしたり、中には男性によりかかる女性もいます。
ま、あいさつ代わりなんだろう。
ハグ好きのオレもよく女性に抱き着く、いやがってないだろう多分
その中でもよく来てる、常連の女
マユミとケイコのことだが
店の営業が終わって店の外、例の風俗案内所の前で
マユミとケイコに遭遇
マユミは半泣き、ケイコはなぜか激怒してる。
ふたり、ケンカでもしてたのか。
「おつかれさん、・・・てかどしたんなんで泣いてるの」
オレはマユミとケイコに話しかける。
「私、もうマハラジャに来たくない」マユミは半泣きで言う
「あいつら、まじ、ムカツクんですけど」ケイコはあいかわらず怒ってる
確かにトンとサブローは女の子に声かけ倒してるけど
そんなんで怒るわけないし・・
わけをきくと
「私らな、時々ここに来るけど
最初から来てる常連の女たちがいてるねんな」マユミが言う。
「帰りになトイレの中にロッカーあるやん、あの中でな
常連のちょっとケバイおばさんがな」ケイコがつづけて言う・
「なんか、男前の人っていうかイケメンの男性客は、みんな自分の物みたいに
オモテるらしく、私ら喋ったり腕くんだりしてたんやけど
それが気にイラン言うて。メチャメチャ怒られてん」マユミが言う
「わけ、わからんわ!!」ケイコが激しく怒る。
そんな話を永遠にきかされる
マハラジャには、常連のイケメン男には手を出したら
あかんという不文律があるらしい
「もう、自分らイケメンに声かけるのやめて、おいらみたいな
ザコキャラと遊んどき」とオレは携帯のラインの画面を出す
「ほい、オレらとライン交換しよ」と画面を見せるが
「私らもう帰るまた、ここで会ったらまた遊んでな」
と言って東通りのまんだらけの前を通って消えていった。
なんでオレやったらあかんねん
女心って難しいな、
オレはボソっとつぶやき帰路につく。